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タンカー船の仕事はきつい?荷役手順の覚え方

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こんにちは。船員くんです。(@tankerkun)
船員くん
ヒヨコくん
タンカー船の仕事ってきついの?荷役ってどんなことするの?
白油タンカーに乗っていた筆者が、荷役の手順から「きつい」と言われる理由まで、経験をもとに解説するよ!
船員くん

この記事では、内航の白油タンカーに実際に乗船していた筆者が、タンカー荷役の具体的な手順と、現場のリアルな労働環境をお伝えします。

「タンカーに乗りたい」「荷役の流れを予習したい」「きついって聞くけど実際どうなの?」という方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

タンカー船の種類

タンカー船は、運ぶ荷物の種類によっていくつかに分かれます。

日本国内(内航)で多いのは以下の4種類です。


白油タンカー:ガソリン・軽油・灯油・ジェット燃料などを運ぶ。内航タンカーの主力
黒油タンカー:重油・原油を運ぶ。白油に比べると航海スケジュールはやや緩め
ケミカルタンカー:化学薬品・食用油・アルコールなどを運ぶ。荷物ごとにタンク洗浄が必要な船もある
ガスタンカー:LPG・LNGを運ぶ。タンククリーニングがなく比較的楽だが、仮バースはほぼない

この記事では、筆者が実際に乗っていた白油タンカーの荷役をメインに解説します。

白油タンカーが「きつい」と言われる5つの理由

「タンカーはきつい」とよく言われますが、具体的に何がきついのかを整理します。

① 荷役を本船の乗組員がやる

これがタンカー最大の特徴であり、きつさの根本的な原因です。

鋼材やコンテナを運ぶ貨物船では、荷物の積み下ろしは陸上のステベ(港湾作業員)がやってくれます。乗組員は係船作業を終えたら、荷役中は比較的自由です。

一方、タンカーは荷役のすべてを乗組員の手で行います。バルブの開閉、油面の監視、ポンプの操作、陸上との連絡――入港してから出港するまでずっと仕事です。

正直もっときつい船はあるが、タンカーは港に入っている間荷役を本船で行うので、入港中出歩く暇がないのが決定的に違うよ。
ガットとタンカーがダメな理由?本船荷役だからに決まってんじゃん。2人分の仕事させて1.3人分の給料だからな。

② 仮バースがほとんどない

「仮バース」とは、荷役バース以外の岸壁に係留して、仕事がなければ上陸できる時間のこと。貨物船なら荷役中や待機中に上陸してコンビニや銭湯に行けることも多いですが、白油タンカーは危険物を積んでいるため、仮バースが極端に少ないのが現実です。

油種によっては仮バースがほとんど取れない。つまり動きっぱなし。手が空いても買い出しとかしないとならないし、製油所なんかは規則の煩い面倒なところが多い。
3年間在籍して仮バース1回しかなかった。その仮バースも16時から翌朝9時まで。年末年始も沖アンカーで、大晦日は16時までサビ打ちとペン塗り。元日8時抜錨。

筆者も白油タンカーに乗っていた時期は、2〜3ヶ月の乗船期間中に上陸できたのは数回程度でした。コンビニに行けるだけでも「今日はラッキーだな」という感覚です。

③ 睡眠が極端に短くなることがある

白油タンカーは航海が短く、入出港が頻繁です。繁忙期(11月〜3月の灯油シーズン)は特に忙しく、まとまった睡眠が取れない日が続くこともあります。

近場で連日一番船の荷役が続いたら、3日間の睡眠時間の合計が5時間切ってた。
月42回入出港で、連続した最も長い休息時間が24時間中3時間45分しかなかった。

これは極端な例ですが、4時間ワッチ+荷役+航海の繰り返しで、まともに寝られない日が数日続くのはタンカーでは珍しくありません。

④ 書類と規制が多い

白油タンカーはガソリンなどの危険物を扱うため、安全管理の規制が他の船種より格段に厳しいです。製油所ごとにルールが違い、荷役前後の書類作成やチェックリストの量も多くなります。

毎航海ごとに3油種以上を積み分けることもあり、タンクの切り替えミスは重大事故に直結するため、緊張感が途切れません。

⑤ タンククリーニングがきつい

油種を変える際にはタンク内の清掃が必要です。ガスフリー作業を行って酸素濃度を測定してからタンク内に入りますが、灯油や軽油を積んだ後のタンクは油が揮発しにくく、ベタベタして目が痛くなるのが本当にきついです。

真夏のタンク内は40度を超えることもあり、体力的にもかなりハードな作業になります。

他の船種と比較すると?


掲示板でよく話題になる「船種別のきつさ」をまとめると、以下のような傾向があります。

比較的楽:鋼材船(荷役は陸側、月2〜5航海)> バラ積み > RORO
きつめ:タンカー(白油)> セメント船 > 石炭セルフアンローダー

ただし、同じタンカーでも会社と船によって環境は大きく違います。仮バースが取れる船もあれば、3年間で1回しか取れない船もある。面接時に「直近1年の航海数」「仮バースの頻度」を確認することが重要です。

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白油タンカーの1日の流れ

タンカーの1日は「航海日」と「荷役日」で大きく異なります。

航海日の例(0-4ワッチの場合)

0:00〜4:00 当直(ワッチ)
4:00〜7:00 睡眠
7:00〜8:00 朝食・デッキ整備
8:00〜12:00 甲板作業(サビ打ち・ペン塗り等)
12:00〜13:00 昼食・休憩
13:00〜17:00 甲板作業 or 荷役準備
17:00〜18:00 夕食
18:00〜24:00 自由時間+入港スタンバイ

荷役日の例

4:00 荷役バースに着桟。係船作業
4:30 荷役ミーティング・安全確認
5:00〜12:00 積荷役(バルブ操作・油面監視・タンク切り替え)
12:00 昼食(交代で短時間)
13:00 離桟・航海開始
14:00〜 デッキ片付け・次港の荷役準備

荷役は2時間で終わることもあれば、12時間以上かかることもあります。大量に積む場合や複数油種を扱う場合は、1日のほとんどをデッキ上で過ごすことになります。

積荷役の手順

白油タンカーの積荷役(荷物を船に積み込む作業)の流れを、実際の手順に沿って解説します。

1. タンクの準備

まず、積み込むタンク内の掃除を行います。前に積んでいた油種と違う場合、異なる油が混ざること(コンタミネーション)を防ぐために入念に清掃します。

タンクに入る前には必ず規定時間のガスフリー作業を行い、酸素濃度を測定します。これを怠ると酸欠で命に関わります。

2. 荷役準備・着桟

荷役バースに着桟する前に、荷役に必要な道具や消火栓の準備、係船索の用意を行います。

荷役バースによって使う係船索の本数・場所、レジューサー(接続金具)のサイズが変わるので、どのバースで何が必要かをメモしておくと作業がスムーズです。

3. ミーティング

陸上の荷役担当者と船員で打ち合わせを行います。積荷のタンク配置、数量、油種の確認を相互で行い、ミーティング後にバルブの閉止確認や空タンクの目視確認を実施します。

4. 陸上アームの接続

陸上のローディングアームと船のマニホールドをレジューサーで接続します。

陸上アームは非常に重く、挟まれると命に関わります。また、アーム内はガスの膨張で圧力がかかっている場合があるため、蓋を外す際は必ずゆっくり圧を抜いてから開けましょう。

接続後、陸上から窒素を送り込み、接続部に洗剤液をかけて泡が出なければ密閉OK。

5. ライン開通(ラインアップ)

アームからタンクまでの船内配管のバルブを開放し、油の通り道をつくります。

ライン配管を覚えていないとバルブの開け間違いで事故に繋がります。新人はまずライン配管図を頭に叩き込むことが最優先です。

6. 通気確認

陸上から窒素圧をかけ、タンク内のベルマウスから勢いよく空気が出る音を確認します。これにより積み先のタンクが正しく開通していることを確認でき、積み間違いを防ぎます。

7. インタンク確認・積み込み開始

陸上から低速で油を送り込み、タンク内に油が到着するのを目視確認します。ベルマウスが油に浸かるまでは静電気の発生リスクがあるため、低速で積み込むのが鉄則です。

全タンクのベルマウスを浸した後、蓋を閉めて規定の流速で本格的に積み込みを開始します。

8. 油面監視・タンク切り替え

積み込み中はデッキ上で油面の監視、係船索の調整、バラスト水の排出などを行います。

タンクが規定量に達したら、無線で連絡を取り合いながら次のタンクに切り替えます。事故防止のため、一発で切り替えず、少しずつバルブを開放して切り替えるのが基本です。

9. エア押し・数量確認・離桟

全タンクに積み終わったら、陸上から窒素を送り込んで配管内に残った油をタンクに押し込みます(エア押し)。

その後、数量を確認して問題なければアームを取り外し、道具を片付けながら離桟。慣れないうちはこの「片付けしながら離桟」がかなり忙しいです。

揚荷役の手順

揚荷役(タンク内の荷物を陸上に揚げる作業)は、積荷役と共通する部分も多いですが、いくつか異なるポイントがあります。

1. ポンプ内残油処理

前回と油種が違う場合、コンタミ防止のためポンプ内の残油を処理します。

2. タンク内検水

荷物に海水や水が混じっていないか確認します。検尺の先に水で色が変わる薬品をつけてタンク内を検査します。

3. 接続・ライン開通

積荷役と同様にアームを接続し、ラインを開通させます。

4. ポンプ操作・揚荷開始

積荷役では陸上から油を送り込みますが、揚荷役では船のポンプを使って油を陸上に送り出します。指定圧力まで回転数を上げ、ゲートバルブを開放して荷役開始。

陸上からの流速指定に応じて、都度ポンプを調整します。

5. さらえ・エア押し

1度に送りきれずにタンク内に残った油を、船首側から順番にポンプで送る作業が「さらえ」です。ポンプの回転数を下げてエア噛みに対応しながら作業します。

さらえ後、ライン内の残油をエア押しして完了。数量確認→アーム取り外し→離桟の流れは積荷役と同じです。

新人が最初に覚えるべき3つのこと

荷役手順はとにかく工程が多く、最初は圧倒されます。でも、1年もやれば嫌でも体が覚えます

最初の目標として、以下の3つに集中しましょう。

新人が優先的に覚えるべきこと

① ライン配管:どのバルブを開ければどのタンクに繋がるか。これが分からないと仕事にならない
② 道具の場所:レジューサー、ホース、消火器、係船索。「あれどこ?」と聞くたびに怒鳴られる前に覚える
③ 係船索の準備:バースごとに使う索の本数と場所が違う。メモ必須

言われてもないバルブを勝手に操作するのは絶対にNG。事故に直結するため、わからないことは必ず確認してから動きましょう。

タンカーの給料とメリット

ここまで「きつい」面ばかり書きましたが、タンカーは内航の中でも給料が高めに設定されているのが最大のメリットです。

白油タンカー甲板部員(未経験):手取り24万〜30万円程度
海技免状あり(職員):手取り35万円以上も可能
黒油タンカーは白油より忙しくない傾向で、手取り30万円〜が相場
タンククリーニング手当:1回あたり1万円程度
タンカーは給料が良いから、きついばかりで安月給にはならない。

また、仮バースが少ない分、乗船中にお金を使う機会がほとんどなく、貯金が勝手に貯まるという面もあります。

きつさと給料のバランスをどう考えるかは人それぞれですが、「まず稼ぎたい」「最初にタンカーで経験を積んでから他の船種に移りたい」という人にはタンカーは選択肢として十分アリです。

給料の詳しい相場は以下の記事で船種別にまとめています。

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まとめ:タンカーの荷役はきついが、やれば覚えられる

白油タンカーの荷役は手順が多く、体力的にもきつい仕事です。でも、物覚えが良くなくても、1年やれば確実に覚えられます

この記事のポイント

タンカーがきつい根本原因は「本船荷役」=荷役を全部乗組員がやること
仮バースが少なく上陸の機会が極端に限られる
睡眠不足になりやすい(特に繁忙期)
その分、給料は高めで貯金もしやすい
新人はまず「ライン配管」「道具の場所」「係船索」を覚えることに集中

タンカーに乗るかどうか迷っている方は、船種ごとの違いや、面接で確認すべきポイントもあわせてチェックしてみてください。

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