※この記事には船員コミュニティの口コミをもとに構成した部分があります。投稿者の主観であり、すべての職場に当てはまるものではありません。
この記事はこんな方におすすめ
- 「3級と4級、どっちを受けるか迷っている」
- 「3級は4級の何倍くらい難しいのか知りたい」
- 「sin/cosが出ると聞いて不安になっている」
- 「独学で合格できるか確認したい」
- 「4級海技士の勉強法や勉強時間を知りたい」
- 「航海士と機関士、どっちを選ぶか迷っている」















海技士全体の難易度マップ
海技士(航海)の資格は6級から1級までの6段階に分かれていて、級が上がるほど試験の難易度も、乗り組める船の範囲も広がっていきます。「3級」「4級」だけで検索しても自分がどのあたりを目指せばいいのか掴みにくいと思うので、まずは6段階全体の難易度を整理しておきます。
| 級 | 難易度 | 合格率※ | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 6級 | やさしい | 100% | 沿岸の小型船が中心。暗記中心で最も基礎的 |
| 5級 | やや易しい | 70.0% | 天測計算なし。暗記+海図の基本操作 |
| 4級 | 標準 | 65.8% | 天測計算が加わる(足し引きのみ) |
| 3級 | やや難しい | 39.2% | 天測計算にsin/cosが加わり、海図作業も複雑化 |
| 2級 | 難しい | 26.5% | 航行区域が広がり、英語が本格的な試験科目に加わる |
| 1級 | 最難関 | 12.5% | 外航大型船の船長を担う、海技士(航海)の最高峰 |
※国土交通省 近畿運輸局「海技士国家試験実施状況(令和6年度)」より(航海・受験者数ベース)。3級・4級の内訳や年度による変動は、本文後半の「3級・4級の合格率は?」で詳しく解説しています。
数字だけ見ると各級で差が均等についているように見えますが、体感的には6級・5級と4級の間はなだらかで、4級から3級、そして2級以降で難易度の壁がはっきり変わります。6級について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
ここから先は、6段階の中でも特に「どっちを受けるか」で悩む人が多い3級と4級に絞って、実際に両方を受験した経験から違いを解説していきます。















結論:3級と4級の難易度の差は「航海だけ」
3級は4級の約1.5倍難しい、というのが3級・4級両方を受験した管理人の体感です。
ただし、「全部が1.5倍難しい」わけではありません。試験科目は3級・4級ともに航海・運用・法規の3科目ですが、難しくなるのは航海だけで、運用と法規はほとんど変わりません。
科目別の違いを表にまとめました。
| 科目 | 4級 | 3級 | 難易度の変化 |
|---|---|---|---|
| 航海 | 暗記+天測計算(足し引きのみ)+海図作業 | 暗記+天測計算(sin/cos追加)+海図作業 | ★★★ 大きく上がる |
| 運用 | ほぼ暗記 | 暗記+トリム計算+図示問題が追加 | ★★☆ やや上がる |
| 法規 | ほぼ暗記 | ほぼ暗記(範囲が少し広がる) | ★☆☆ ほぼ変わらない |
3級が難しく見えても、最大の難所は航海の天測計算です。そこさえ乗り越えれば、独学で十分合格できます。
まだ海技免状を持っていない方は、5級海技士から始める選択肢もあります。5級は天測計算がなく、暗記と海図の基本操作だけで合格できる試験です。出題パターンの繰り返しがはっきりしているので、過去問を回せば2〜4週間で合格ラインに届きます。
航海が難しくなる理由:天測計算にsin/cosが追加される
3級と4級の一番大きな違いは航海の天測計算です。何が変わるかを具体的に見ていきます。
4級の天測計算
- 正午の観測だけ(子午線高度緯度法)
- 計算は90°からの足し引きのみ
- 「同名/異名」の3パターンを覚えれば解ける
3級の天測計算
- 正午の観測(4級と同じ)
- 午前の観測が追加→ sin/cosを使った計算が必要
- 平均中緯度航法で正午の推測位置を計算
- 位置決定用図(海図作業)で最終的な船位を求める
「sin/cos」と聞くと身構えてしまいますが、三角関数の理論を理解する必要はありません。関数電卓に決まった公式を打ち込むだけで、手順は毎回まったく同じです。変わるのは数値だけで、パターンを体で覚えてしまえば作業になります。
筆者も最初は「sin/cosって何?」という状態でしたが、理屈を追うのは諦めて電卓の打ち順をパターンとして覚えたら一気に進みました。三角関数を「理解する」のではなく「手順として暗記する」のがコツです。
また、4級の天測計算(正午の3パターン)は3級でもまったく同じステップで出てくるため、4級で覚えた知識はそのまま使えます。
運用と法規:4級の知識がベースになる
運用と法規は、3級でも4級の知識がベースになります。航海ほど大きく難化するわけではありませんが、それぞれ追加される要素があります。
運用で追加されるもの
トリム計算(TPC・MTCを使う喫水変化の計算問題)が新しく加わります。河水比重の補正や前後部喫水の変化量など、出題パターンは複数ありますが、どれも同じ公式の応用です。また、船体構造も4級より詳しくなり、二重底の断面図や満載喫水線の図示、溶接欠陥の判定など、図を見て答える問題が増えます。ただし、新しい分野をゼロから大量に覚えるというよりは、4級の知識をベースに一段深く問われるイメージです。
法規で追加されるもの
4級と同じく海上衝突予防法・海上交通安全法・港則法が中心ですが、3級では問題文が長くなり、瀬戸内海の航路通過順序や分離通航方式の詳細、視界制限状態の音響信号を船種別に答えるなど、より細かい知識が求められます。ただし法規は過去問の繰り返しで対応できる科目で、暗記で乗り切れるという構造は4級と変わりません。
3級・4級の合格率は?──数字より「何ベースの数字か」が大事















「3級海技士 合格率」「4級海技士 合格率」で検索すると、サイトによって数字がまるで違います。これは適当な数字を載せているからではなく、「何を分母にした合格率か」が各サイトで違うからです。まずは公式データを見てください。
以下は、国土交通省 近畿運輸局が公表している令和6年度の海技士国家試験(航海)の実施状況です。
| 級 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 6級航海 | 17 | 17 | 100% |
| 5級航海 | 40 | 28 | 70.0% |
| 4級航海 | 301 | 198 | 65.8% |
| 3級航海 | 74 | 29 | 39.2% |
| 2級航海 | 113 | 30 | 26.5% |
| 1級航海 | 48 | 6 | 12.5% |
※国土交通省 近畿運輸局「海技士国家試験実施状況(令和6年度)」より。航海・資料上の受験者数ベース。なお同資料では、受験者数に「申請のみで受験しなかった者」も含まれます
ここで注目してほしいのが4級です。同じ4級航海でも、内訳を分けると数字が大きく変わります。
同じ「4級航海」でも合格率が変わる理由
- 定期試験(大阪・年4回):76人中31人合格、合格率40.8%
- 臨時試験(舞鶴・年3回):225人中167人合格、合格率74.2%
- 定期・臨時を合わせた総合:301人中198人合格、合格率65.8%
つまり、同じ「4級航海」でも、定期試験だけを見るか臨時試験を含めるかで合格率は大きく変わります。資料上は「定期試験」「臨時試験」という区分で公表されており、臨時試験には学校・団体など、定期試験とは異なる母集団が含まれる可能性があります。独学で定期試験を受ける人が見るべき数字(4割前後)と、臨時試験を含めた総合の数字(約66%)は分けて考える必要があります。
数字は年度や運輸局でも動きます。同じ近畿でも、平成30年度は4級航海が82.6%・3級航海が40.4%でした。「合格率○%」という一つの数字を固定値だと思わないのが正解です。
3級の合格率が4級より大きく下がる理由
表のとおり、3級航海(約4割)は4級航海(総合で約6〜7割)よりはっきり低くなります。これは記事前半で見たとおり、航海の天測計算が3級でsin/cosを使う形式に難化するのが主因です。航海は配点のうち約4分の1を計算問題が占め、毎年必ず出題されるため、ここで崩れると合格点に届きません。
合格率の数字を読むときの3つの注意点
公式の合格率を見るときは、以下の構造を知っておくと数字に振り回されません。
3級は全科目を一度に取れなくても、65%を超えた科目は科目合格(3年間有効)になります。複数回に分けて取る人が多いため、単年・受験者ベースの合格率は「最終的に取得できる割合」より低く見えます。
② 受験者の母集団が特殊
口述試験には乗船履歴が必要なため、受験者は現役船員や養成施設の学生が中心です。記念受験の素人がいないぶん、他の国家資格と単純に合格率を比べても意味がありません。
③ 筆記に受かっても口述で落ちる層がいる
海技士試験は、筆記に受かれば終わりではありません。免状取得までには身体検査・口述試験があり、ここで不合格になる人もいます。「筆記の合格率」と「最終的な合格率」は別物です。
結論として、3級・4級の合格率は「3級航海は受験者ベースで概ね4割前後、4級航海は定期試験で約4割・臨時を含めた総合で約66%」と捉えるのが、最も実態に近い読み方です。なお国土交通省は全国・級別の通年合格率を一括では公表していないため、正確な数字を知りたい場合は各運輸局が出す実施状況を確認してください。
4級海技士の勉強法と勉強時間















4級海技士の筆記試験は、独学で十分合格できる試験です。必要な勉強時間と進め方をまとめます。
| 項目 | 4級 | 3級 |
|---|---|---|
| 勉強時間の目安 | 50〜60時間(2〜3週間) | 80〜100時間(3〜4週間) |
| メインの教材 | 成山堂 or 海文堂の過去問集 | 同左+関数電卓 |
| 追加で必要なもの | コンパス・ディバイダー・三角定規 | 同左 |
| 勉強の核 | 過去問5年分を繰り返す | 過去問5年分+天測計算を手順で覚える |
※4級の50〜60時間は休暇中の過去問演習が中心の目安です。乗船中の事前暗記を含めると90〜100時間が目安になります。
道具の選び方:失敗しないために
勉強を始める前に道具を揃える必要がありますが、初めての人は何を買えばいいか迷いがちです。ポイントだけ整理します。
関数電卓
筆者はCASIO fx-375ESを使用しました。試験規定でプログラム機能がついていない関数電卓であることが条件です。4級の天測計算は足し引きだけなので関数電卓の高度な機能は使いませんが、3級に進むとsin/cosが必要になるので、最初から関数電卓を買っておくのがおすすめです。
コンパス・ディバイダー
海図問題で距離を測るのに使います。100均のコンパスは精度が低くずれやすいので非推奨です。ディバイダは両方が針のタイプを選んでください(鉛筆側だと精度が落ちます)。Amazonで1,000円前後のものを買えば十分です。
三角定規・練習用海図
三角定規は海図の上で使うので、小さすぎると作業しにくいです。迷ったら35cm前後のものを選べばOK。練習用海図は第15号・第16号の2種類があり、どちらが出題されるかは回によって異なるので両方買っておきましょう(各198円)。
4級の勉強の進め方
合格ラインは総計65%です。ただし、全科目を一度に受験する場合は各科目で50%以上を取りつつ、全体で65%以上が必要です。科目合格を狙う場合はその科目で65%以上が条件になります。
つまり、航海が配点的に最重要なのは間違いありませんが、運用と法規を極端に捨てる勉強法は危険です。航海を最優先に固め、運用→法規の順で仕上げるのが最短ルートです。
STEP1:過去問を1回通して解く(3〜4日)
まず問題の全体像を把握します。4級は暗記が中心なので、最初は答えを見ながら流して読むだけでもOKです。この段階では「どの科目にどんな問題があるか」を知ることが目的です。正答率は気にしなくて大丈夫です。
STEP2:航海の天測計算を仕上げる(3〜4日)
天測計算は90°からの足し引きと「同名/異名」の3パターンだけ。手を動かして5問も解けばパターンがつかめます。最初の1〜2問は答えを見ながらでも構いません。3問目から答えを見ずに解いてみて、手順が再現できるか確認してください。
4級の天測を1問だけ無料で試す
4級天測で超頻出の「異名パターン」を1問、正中時→真高度→同名異名の判定→公式選択まで、実際の過去問ベースで1ステップずつ進められる無料の体験版を用意しています。パスコード不要です。天測が不安な人は、まずこの1問を通してみてください。
STEP3:過去問を繰り返す(残りの日数)
2周目以降は間違えた問題だけを集中的に潰します。暗記問題は「答えを見て思い出せるかどうか」で仕分けて、覚えていない問題だけ繰り返すのが効率的です。科目合格を狙わず全科目を一気に受けるのが鉄則です。



























無料で試せます
過去12回分の出題データから頻出テーマを整理した暗記アプリ「フネアンキ」の体験版(無料)を公開しています。
乗船中の勉強は可能?
4級は暗記が中心なので、ワッチの合間やフリータイムにテキストを読むだけでも対策になります。ただし天測計算は机に向かう時間が必要です。休暇中にまとめて計算問題を潰し、乗船中は暗記科目を回す、という使い分けがおすすめです。
独学が向かないケース
海技士の筆記試験は独学で十分合格できます。ただし以下のケースでは、勉強順や教材選びを工夫した方がスムーズです。
計算問題でつまずくとそこで止まってしまうタイプの人は、天測計算を後回しにして暗記科目から先に片づけると精神的に楽です。申請期限が迫っている場合は、全科目一発合格より科目合格を狙って確実に取れる科目から押さえていく方が現実的です。乗船中しかまとまった時間が取れない場合は、暗記はスキマ時間に回し、計算問題は休暇の最初の3〜4日に集中して解く形で分けてみてください。
過去問は国土交通省のサイトで無料公開されています。
3Nが三級海技士、4Nが四級海技士です。
3級の勉強はどう変わる?
3級は4級に比べて勉強時間が30〜40時間増えますが、増えるのはほぼ航海の天測計算の分です。4級に合格してから3級に進む場合、運用と法規の追加勉強は10時間もかかりません。
3級の勉強で一番大事なのは、天測計算を「理解する」のではなく「手順として体に覚えさせる」ことです。sin/cosの意味がわからなくても、関数電卓に打ち込む順番さえ暗記すれば解けます。
3級の天測を1問だけ無料で試す
3級で最頻出の「異名パターン」を1問、地方時角→計算高度→方位角→インターセプト→正中時刻→作図まで、実際の過去問ベースで1ステップずつ進められる無料の体験版を用意しています。パスコード不要です。sin/cosが不安な人は、まずこの1問で流れをつかんでみてください。









過去問12回分の出題分析+暗記アプリ「フネアンキ4N」(全234問)+天測手順アプリ「フネテンソク4N」付き。天測計算の全12問解答と2週間の日割りスケジュールをnoteにまとめています。
→ 4級海技士(航海)筆記試験|過去12回分析・天測全12問解答・スマホ暗記アプリ付き
3級を受ける方
過去問12回分の出題分析+暗記アプリ「フネアンキ3N」(全259問)+天測手順アプリ「フネテンソク3N」(全12問)付き。sin/cosを使う天測計算15ステップとトリム計算3パターンを解説しています。
→ 3級海技士(航海)筆記試験|過去12回分析・天測15ステップ完全解説・暗記&天測アプリ付き
「いきなり3級」から受けるのはあり?















海技士の筆記試験に受験資格はなく、どの級からでも受験できます。筆記合格は15年間有効なので、履歴が整ったタイミングで口述試験を受ける方法もあります。
ただし、いきなり3級の筆記を受ける場合は、4級の天測計算(正午3パターン)も事前にマスターしておく必要があります。なぜなら3級の試験に4級範囲の問題も含まれているからです。
筆者は4級を先に取得してから3級に進みました。4級の知識がそのまま3級のベースになるので、遠回りに見えてもこのルートが一番効率的です。
「いきなり3級」ルートのポイント
- 受験自体はどの級からでも可能
- 合格後、口述試験を受けるには乗船履歴が必要(3級は4級より大きい船or遠くの航行区域に乗った履歴が必要)
- 4級の天測計算をマスターしてから3級に進むのが効率的
筆記に受かった後の流れ
海技士試験は、筆記試験に受かれば終わりではありません。全体の流れは以下のとおりです。
筆記試験 → 身体検査 → 口述試験 → 免状取得
ただし、筆記試験だけを受ける段階では乗船履歴がなくても受験できます。先に筆記を通しておき、あとから履歴が整ったタイミングで口述に進む、という受け方も可能です。
科目合格には有効期間(3年)があるので、長期戦にする場合は期限を意識しておきましょう。定期試験は年4回実施されており、申請は原則として試験開始期日の35日前から15日前までです。最新の日程や申請期間は地方運輸局のページで必ず確認してください。
海技免状の取得ルートの全体像は以下の記事で解説しています。
航海科と機関科、どっちを選ぶべき?















この記事は航海の筆記試験がメインですが、「そもそも航海と機関、どっちを選ぶべきか」で悩んでいる人も多いので、求人データと仕事内容の両面から整理します。
仕事内容の違い
| 航海科(甲板部) | 機関科(機関部) | |
|---|---|---|
| 主な仕事 | 操船・見張り・荷役・係船作業 | エンジン整備・保守・機関当直 |
| 勤務場所 | ブリッジ(船橋)・甲板 | 機関室・ワークショップ |
| 体力面 | 荷役や係船作業で体を使う場面が多い | 機器の分解整備に力仕事あり |
| 向いてる人 | 海や操船が好き、外で動くのが好き | 機械いじりが好き、一人で集中できる |
| 最終ポスト | 船長 | 機関長 |
求人データで比較(4級保持者の場合)
海のハローワーク掲載求人1,662件から、4級を持っている場合の航海と機関を比較しました。
| 航海 | 機関 | |
|---|---|---|
| 応募可能な求人数 | 693件 | 514件 |
| 給与中央値(月額手取り) | 40.0万円 | 40.0万円 |
海のハローワーク掲載求人1,662件(2026年3月時点)を独自集計
4級の時点では航海の方が求人件数で約180件多く、給与中央値はどちらも40万円で同水準です。件数の選択肢を求めるなら航海、機械いじりが好きなら機関、というのがデータの示す結論です。


















実際には「航海だから」「機関だから」というよりも、乗る船の種類や会社によって仕事のきつさも給料も大きく変わります。どちらを選んでも後から変更は非常に難しいので、未経験の方は入社前に航海と機関の仕事を見学させてもらうのがおすすめです。
機関科を目指す人は、各級の筆記試験対策をまとめた記事もあります。6級からのステップアップなら5級、現場で選択肢を広げたいなら4級、将来的に大型船・上位職を狙うなら3級の記事から読んでください。
機関科の筆記対策
-



-
5級海技士(機関)筆記試験の頻出テーマと勉強法|過去問12回分析
5級海技士(機関)筆記試験の過去問12回分を全問分析し、科目別の頻出テーマをランク付けしました。五級機と五級内の違い、計算問題の解き方、乗船中14日間の最短勉強ルートまで解説します。
続きを見る
-


-
4級海技士(機関)筆記試験の頻出テーマと勉強法|過去問12回分析
4級海技士(機関)筆記試験の過去問12回分を全問分析し、科目別の頻出テーマをランク付けしました。四級機と四級内の違い、計算問題の解き方、乗船中の最短勉強ルートまで解説します。
続きを見る
-


-
3級海技士(機関)筆記試験の頻出テーマと勉強法|過去問12回分析
3級海技士(機関)筆記試験の過去問12回分を全問分析し、科目別の頻出テーマをランク付けしました。三級機と三級内の違い、記述答案の型、乗船中3週間の勉強スケジュールまで解説します。
続きを見る
求人データで見る「3級と4級の本当の差」
ここまでは試験の難易度と勉強法の話でした。でも多くの人が本当に知りたいのは、「3級まで取る努力に見合うリターンがあるのか」ではないでしょうか。
海のハローワークに掲載されている求人1,662件のうち、航海の求人722件を免状レベル別に分析しました(2026年3月時点)。
応募できる求人の数
| 4級保持者 | 3級保持者 | |
|---|---|---|
| 応募可能な求人 | 693件 | 715件 |
| 手取月額の平均 | 約38.9万円 | 約38.8万円 |
| 手取月額の中央値 | 40万円 | 40万円 |
※海のハローワーク航海求人722件のうち、免状の下限条件が判明している求人を集計。2026年3月18日時点。
意外に思うかもしれませんが、求人の「件数」と「給料」だけを見ると、3級と4級でほとんど差はありません。増えるのは22件(+3.2%)だけです。
これは内航海運の求人の約8割が沿海区域の499t以下の船で、その大半が4級以上を条件にしているためです。沿海499tで働き続けるなら、4級で十分足ります。
3級の真価は「件数」ではなく「選択肢の質」
では3級を取っても意味がないのかというと、そうではありません。3級で初めて応募できるようになる22件の中身を見ると、話が変わります。
3級で初めて開放される求人の内訳
- RORO船: 4件
- フェリー: 3件
- セメント船(大型): 3件
- 練習船・実習船: 4件
- 調査観測船: 2件
- 自動車運搬船: 1件 ほか
近海区域の求人は4級だと65件ですが、3級だと76件に増えます(+16.9%)。遠洋の求人も4級の3件から6件に倍増します。
つまり3級の真価は「求人が増える」ことではなく、「近海」「大型船」「特殊船」への扉が開くことです。フェリーやROROなど定期航路の大型船で働きたい場合や、将来的に船長を目指す場合は、3級が効いてきます。
言い換えれば、3級があるかないかで変わるのは「今すぐ応募できる件数」よりも、「5年後・10年後に選べるキャリアの幅」です。今の船に不満が出てから取ろうとしても、勉強する時間も気力も確保しにくくなります。


















あわせて読みたい
-



-
海技士の年収・給料はいくら?3社経験の現役内航船員が手取りを解説
内航船員の給料は「船種×役職×会社規模」で手取り20万にも50万にもなります。掲示板500件超の声と求人1,662件の独自分析をもとに、船種別の給料表・面接で確認すべき5項目をまとめました。
続きを見る
-



-
6級海技士は意味ない?求人1,662件分析でわかった本当の価値
6級海技士の合格率は100%の年もあり、海技士試験で最もやさしい資格です。独学の費用・養成講習との比較・求人データから見た市場価値・航海と機関の判断基準まで、現役船員がデータ付きで解説します。
続きを見る
結局どっちを目指すべき?4級で十分な人・3級まで取るべき人
ここまでのデータを踏まえて、「自分はどっちに進むべきか」の判断基準を整理します。
4級優先で十分なケース
まず現場に入りたい人、沿海499t以下の船で働く前提の人、できるだけ早く就職・転職したい人は4級を優先してください。4級でも693件の求人に応募でき、給与中央値は月額40万円です。「4級では仕事がない」ということはまったくありません。
3級まで取る意味があるケース
一方で、近海区域に出たい人、フェリーやROROなど大型船に乗りたい人、将来的に船長を目指す人は、3級まで取っておく価値があります。求人件数の差は22件ですが、その22件の中にしか存在しない船種があります。
まだ免状を持っていない場合
免状をまだ1つも持っていない場合は、5級海技士から始めるルートもあります。5級は天測計算がなく、全科目が暗記+海図の基本操作で完結します。5級→4級→3級と段階を踏めば、各ステップで増える勉強量が「天測計算の追加分」だけに絞られるので無理がありません。
判断基準はシンプルです。「今の船で足りるか」ではなく、「次に乗りたい船があるか」で決めてください。乗りたい船が4級の範囲に収まるなら4級で十分。4級では届かない船種が頭に浮かぶなら、3級まで取っておく方が後悔しません。
迷っている場合は、4級を先に取得して現場に入り、働きながら3級の勉強を進めるルートがおすすめです。4級の知識はそのまま3級に活きるので、遠回りにはなりません。
まとめ:3級は航海だけ難しい、それ以外は大差なし
| 4級 | 3級 | |
|---|---|---|
| 難易度 | ★★☆ | ★★★ |
| 勉強時間の目安 | 約50〜60時間(2〜3週間) | 約80〜100時間(3〜4週間) |
| 最大の難関 | 天測計算(足し引き3パターン) | 天測計算(sin/cos追加、海図作業) |
| 独学合格 | 十分可能 | 十分可能 |
| 合格率(航海・受験者ベース) | 約4割(定期)〜約66%(総合) | 約4割 |
| 応募可能な航海求人 | 693件 | 715件(近海+11件) |
※合格率は受験区分(定期・臨時)・年度・運輸局で変動します(本文「3級・4級の合格率は?」を参照)。求人データは海のハローワーク2026年3月18日時点。
3級は4級の約1.5倍の難易度。ただし難しくなるのは航海の天測計算だけで、手順を覚えてしまえば作業として解けるようになります。
運用と法規は4級の知識がそのまま活きるので、4級を先に取得してから3級に進むルートが王道です。
求人データを見ると件数や給料の差はわずかですが、近海区域や大型船への選択肢が広がるのは3級の大きなメリットです。今の環境に満足しているなら4級で十分。キャリアの選択肢を広げたいなら3級まで取っておく。判断基準はシンプルです。
4級を受ける方
4級海技士の口述試験で実際に出題された75問の模範解答、鉄板TOP10、受験地別の傾向データをnoteにまとめています。
→ 4級海技士(航海)口述試験の答え方|出題75問の模範解答+鉄板TOP10+受験地別傾向
3級を受ける方
3級海技士の口述試験で過去に出題された178問を、20秒で答える練習アプリつきでまとめています。天測・六法の答え方や、図を描いて説明する問題の解説も収録しています。
→ 3級海技士(航海)口述試験対策|過去の出題178問の答え方+対策アプリ付き
※この記事は筆者の3社勤務経験、海のハローワーク掲載求人データ(2026年3月・1,662件)の独自分析、および船員コミュニティ上の口コミをもとに構成しています。合格率は国土交通省 近畿運輸局「海技士国家試験実施状況(令和6年度)」をもとにしており、受験区分・年度・運輸局により変動します。最新の試験情報は国土交通省の公式サイトで確認してください。


