この記事はこんな方におすすめ
- 「6級海技士を取ったけど、就職先って本当にあるの?」と不安な方
- 「6級を取るか、免状なしで飛び込むか迷っている」未経験の方
- 「6級って意味ないって聞いたけど、実際どうなの?」と気になる方
6級海技士とは?制度上の位置づけ


6級海技士は、海技士免状6段階(1級〜6級)の最下位に位置する国家資格です。
取得するには、甲板部または機関部で2年以上の乗船履歴を積んだうえで、筆記試験(4択マークシート)に合格する必要があります。水産高校の卒業者であれば、筆記試験が免除される養成講習で取得できるケースもあります。
6級で乗れる船・就ける役職は、航行区域とトン数によって細かく決まっています。
6級海技士(航海)の乗船範囲
| 航行区域 | 就ける役職(総トン数による制限) |
|---|---|
| 沿海 | 200トン未満の船長 / 500トン未満の一航士 / トン数制限なしの二航士・三航士 |
| 近海 | 200トン未満の一航士まで |
| 遠洋 | 二航士・三航士のみ(一航士以上にはなれない) |
6級海技士(機関)の乗船範囲
| 航行区域 | 就ける役職(推進機関の出力による制限) |
|---|---|
| 沿海 | 750kW未満の機関長 / 1,500kW未満の一機士 / 出力制限なしの二機士・三機士 |
| 近海 | 750kW未満の一機士まで |
| 遠洋 | 二機士・三機士のみ(一機士以上にはなれない) |
出典:船舶職員及び小型船舶操縦者法施行令 別表第一
制度上は「既得権益者への救済措置」の意味合いが大きく、業界内での評価も分かれるところです。では、実際に6級を持っていると求人市場ではどう見られるのか。海のハローワークの全求人データから見ていきます。
【独自データ】6級で応募できる求人は全体の何%?


以下は、保有する免状のレベル別に「応募可能な求人が何件あるか」を集計した表です。
| 保有免状 | 応募可能件数 | 全体比 | 給与中央値(月額手取り) |
|---|---|---|---|
| 免状なし | 382件 | 23.0% | 28.0万円 |
| 6級 | 844件 | 50.8% | 32.0万円 |
| 5級 | 1,306件 | 78.6% | 35.0万円 |
| 4級 | 1,572件 | 94.6% | 35.0万円 |
| 3級以上 | 1,609件〜 | 96.8%〜 | 35.0万円 |
海のハローワーク掲載求人1,662件(2026年3月時点)を独自集計
ポイントは3つあります。
1つ目:6級を取ると応募可能求人が2倍以上になる
免状なしだと応募できるのは全体の23%(382件)。6級を取るだけで50.8%(844件)に跳ね上がります。「免状1枚でここまで変わるのか」というのが正直な感想です。
2つ目:でも4級を取ると全体の95%に到達する
6級で50%、4級で95%。つまり6級はまだ半分のドアが閉じている免状です。6級で満足せずに上位免状を目指すべき理由が、この数字に凝縮されています。
3つ目:免状なし→6級で給与中央値が月4万円上がる
月額手取りの中央値が28万円から32万円へ。年間にすると約50万円の差です。さらに4級まで取ると35万円になります。


では、6級の462件の求人の中身をもう少し掘り下げてみます。
6級求人の87%は職員(士官)ポジションです。航海系は二航士94件・航海士53件・一航士51件・船長18件、機関系は一機士69件・機関長41件・機関士29件・二機士18件と、部員ではなく職員としての採用が大半を占めます。
ただし注意点があります。6級+経験不要の求人はたった45件。全体のわずか10%です。6級を取っただけで経験がないと、選択肢は極端に狭くなります。経験不要の給与中央値は31万円、経験要は39.5万円と月8.5万円の差があります。
一方で、完全未経験(免状なし×経験不要)でも235件の求人があります。つまり「6級を先に取ってから就職する」ルートだけでなく、「免状なしで飛び込んで経験を積みながら取る」ルートにもちゃんと求人上の根拠があるということです。
6級の就職事情|「日帰りは無理」は本当か?


6級で応募できる462件の求人を船種別に見ると、トップ5は以下の通りです。
| 船種 | 件数 |
|---|---|
| 貨物船 | 146件 |
| タンカー | 74件 |
| ケミカル船 | 46件 |
| ガット船 | 34件 |
| 給油船 | 19件 |
日帰り・通勤型の求人はどうか。全体で117件あるうち、6級で応募可能なのは58件。内訳は曳船・給油船・タンカー・旅客船が中心です。



掲示板の声とデータは概ね一致しています。日帰り系は「まず無理」ではなく「58件あるが選べる立場ではない」。6級で就職先を確保するなら、まずは大型船の部員や下位職員ポジションを狙うのが現実的です。
航海と機関で就職事情はどう違う?
| 航海 | 機関 | |
|---|---|---|
| 6級求人数 | 291件 | 170件 |
| 給与中央値 | 38.0万円 | 40.0万円 |
| 主な職種 | 二航士94件・航海士51件 | 一機士64件・機関長38件 |
機関は件数こそ少ないですが、給与中央値は航海より2万円高く、機関長や一機士など上位ポジションの比率が高いのが特徴です。
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6級は取るべきか?航海・機関・年齢別の判断基準


筆者自身は、免状なし・未経験で内航船に飛び込みました。乗りながら免状を取得し、3社5年の経験を積んで今に至ります。その経験から言えるのは、6級を先に取るかどうかより「とにかく早く乗ること」の方が大事だったということです。
ただし、これは甲板部(航海)の話。機関部は事情が違います。
航海(甲板部)の場合

データが裏付けています。免状なし×経験不要の求人が235件あり、その多くがタンカーや貨物船の甲板員・機関員です。航海志望であれば、6級養成講習に時間とお金をかけるより、甲板員として乗り始めて経験を積みながら4級の筆記試験を先に受ける方が効率的です。
機関の場合

免状不問で機関部の求人は限られます。尾道海技学院の6級養成なら就職先の斡旋も受けられるため、機関志望なら6級養成講習を経由する価値はあります。実際、6級機関の求人は170件あり、一機士64件・機関長38件と職員ポジションが中心です。
年齢別アドバイス
20代前半:海技短大で4級を取る方が長期的に有利です。

20代後半:6級を取って小さい船で職員になり、1年で4級の履歴をつけるルートもありです。
30代:迷わず乗ってください。6級でも直乗りでもどちらでもいいので、とにかく早く経験を積み始めることが最優先です。
40代:


40代以上の場合、6級養成に通う時間がもったいないという意見が多数派です。未経験OKの会社に直接飛び込むか、予算と時間があれば海技短大で4級を取る方が合理的です。なお、学校によってはホームページに書いていない暗黙の年齢制限があることもあるので、事前に確認が必要です。

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6級からのキャリアアップ|4級・3級への現実的なルート


改めて、6級と4級の差を求人データで確認します。
| 6級 | 4級 | 差 | |
|---|---|---|---|
| 応募可能件数 | 844件 | 1,572件 | +728件 |
| 全体比 | 50.8% | 94.6% | +43.8pt |
| 給与中央値 | 32.0万円 | 35.0万円 | +3.0万円/月 |
6級→4級で新たに開放される728件の内訳を見ると、船長108件・機関長96件・一航士90件と、上位ポジションがずらりと並びます。4級を取ると「どの船種でも、どの役職でも選べる」状態に近づきます。
キャリアアップの実例



現実的なルートとしては、6級取得後に大型船の部員として経験を積みながら、4級の筆記試験を独学で突破するのが最も一般的です。4級までなら講習でも取れますが、自力受験の方がコストはかかりません。3級まで取れば内航での選択肢はほぼ無制限になります。
業界の本音|「6級なんて意味ない」は本当か


掲示板では、6級免状の価値をめぐって大論争が繰り広げられたことがあります。
「6級は意味ない」派の声



「免状だけで人を測るな」派の声




どちらの意見にも一理あります。ただ、求人データが示しているのは明確です。
6級で応募できる求人は全体の半分。4級なら95%。
「6級に意味がない」のではなく、6級で止まることに意味がないのです。6級はゴールではなく通過点。そこから上を目指すかどうかで、選べる船も給料も大きく変わります。
まとめ
この記事のポイント
- 6級を取ると応募可能な求人が23%→51%に倍増する。給与中央値も月4万円アップ。
- ただし4級なら95%の求人に応募可能。6級はまだ半分のドアが閉じた状態。
- 航海志望なら免状なしで飛び込むルートもあり。機関志望なら6級養成の価値が高い。
- 日帰り船は6級だと厳しい。大型船の部員→経験を積んで上位免状が現実的。
- 「6級は意味ない」のではなく「6級で止まること」に意味がない。通過点として活かそう。
※この記事は筆者の3社勤務経験、海のハローワーク掲載求人データ(2026年3月・1,662件)の独自分析、および掲示板からの情報をもとに構成しています。求人状況は時期により変動します。就職・転職の際は最新の公式情報や、会社への直接の問い合わせで確認してください。