STUDY

5級海技士(機関)筆記試験の傾向と対策|過去問12回分析でわかった頻出テーマ

※ PRが含まれる場合があります

こんにちは。船員くんです。(@tankerkun)
船員くん

この記事はこんな方におすすめ

  • 「5級海技士(機関)の筆記試験、何から勉強すればいいかわからない」
  • 「五級機と五級内、どっちを受けるべきか迷っている」
  • 「乗船しながら限られた時間で効率よく合格したい」
  • 「過去問を解いてるけど、どこが頻出なのか整理したい」

 

なぜ5級海技士(機関)を取るべきなのか

ヒヨコくん
6級持ってればとりあえず乗れるし、5級って別に取らなくてもいいんじゃない?
甘い。6級のまま留まると、良いように使い倒されて終わる。5級を取れば4級への最短ルートが開けるし、転職市場での選択肢がまるで違ってくるよ
船員くん

 

5級海技士(機関)は、6級養成講習を修了して乗船した人が次に目指す免状です。

「6級で乗れてるし、別にいいか」と思っている人がいたら、現場の声を聞いてください。

6級で留まれば良いように使い倒される。上級を目指すと吉
6級でも機関長出来るんだぜ。尾道仲間は結構機関長もうやらされてるって聞く。もちろんみんななんもできん

 

6級のまま機関長に就かされるケースは、実際にあります。ただし「何もできない機関長」として現場で苦労するのは自分自身です。

一方、5級を取ると状況は大きく変わります。

6級→1年乗船(職員履歴)→5級取得→その2ヶ月後の試験で4級受験が可能になります。5級は「ゴール」ではなく、4級への最短の踏み台です。

機関の免状保有者は航海より少なく、転職市場で機関長の求人は常に人手不足です。5級を持っているだけで、声がかかる会社の数が6級とは比べものになりません。

 

五級機と五級内の違い|どっちを受けるべきか

ヒヨコくん
五級「機」と五級「内」があるけど、何が違うの?
受験資格の違い。どっちを受けるかは自分で選ぶんじゃなくて、乗ってる船の航行区域と馬力で決まる。ただし試験の中身にも差があるから、それぞれの戦略を知っておくと有利だよ
船員くん

未経験から船員になるルートの全体像はこちら。

こちらもCHECK

未経験から船員転職ガイド

船員くんこの記事は現役・元船員の口コミをもとに、未経験から転職を考えている人のリアルな疑問に答えます。 ヒヨコくん学校に行かずに、未経験から船員になれるの? 船員くん結論から言うとなれる。ただし甘い世 ...

続きを見る

免状の有無で給料がどう変わるかはこちら。

こちらもCHECK

船乗りの給料は安い?海技士の手取り・ボーナス・年収を現役内航船員が解説

この記事はこんな方におすすめ 「内航船員の給料って実際いくらなの?」と気になっている方 「船乗りは稼げる」と聞いたけど本当か確かめたい方 船種や役職で給料がどれくらい変わるか知りたい方 面接で給料につ ...

続きを見る


 

五級機(五級機関)と五級内(五級内燃機関)は、試験科目の一部が異なります。

五級機と五級内の試験範囲の違い


【キ1(機関1)の選択問題】

  • 五級機:問1, 2, 3, 4, 6(500点)→ ガスタービン(問1)+ボイラ(問4㈡)が追加
  • 五級内:問2, 3, 5, 6(400点)→ ボイラなし。代わりにディーゼル機関の運転管理4択問題が増える

キ2・キ3・シ(執務一般)は完全共通です。

 

つまり、勉強範囲の差はキ1だけです。

五級機は「ガスタービン」と「ボイラ」が追加される分、範囲が広く見えます。しかし、この2テーマは出題パターンが極めて明確で、丸暗記で100点が取れます。12回分の過去問を分析した結果、ガスタービンは4パターン、ボイラのトラブル語群問題は毎回ほぼ同じ構成です。

一方、五級内はボイラがない代わりに、ディーゼル機関の運転管理に関する4択問題が増えます。こちらは応用力が求められ、暗記だけでは対応しにくい面があります。

結論として、五級機はパターン暗記が得意な人に有利、五級内は実務経験が豊富な人に有利です。

 

5級海技士(機関)筆記試験の全体像

ヒヨコくん
科目は何個あるの?配点とか時間も教えて
4科目。機関1と機関2がメインで、機関3と執務一般が小科目。全部記述式だから、キーワードだけ覚えても「自分の言葉で書ける」レベルまで仕上げる必要があるよ
船員くん

 

試験科目と配点

  • キ1(機関1):2時間30分。五級機=5問×100点=500点 / 五級内=4問×100点=400点
  • キ2(機関2):2時間。3問×100点=300点
  • キ3(機関3):1時間30分。2問×100点=200点
  • シ(執務一般):1時間30分。2問×100点=200点

 

この記事では、直近12回分の過去問(R5年4月期~R8年2月期)を全問分析し、科目別の頻出テーマと効率的な勉強法をまとめました。

5級(機関)は航海と同様に出題パターンの繰り返しが非常にはっきりしています。「何が繰り返し出ているか」を把握してから過去問に取り組むのが圧倒的に効率がいいです。

 

受験時期の戦略

海技試験は年4回(4月・7月・10月・2月)実施されます。実は受験時期によって難易度に差があるという声があります。

4月7月は実務者が多いのでわりかしやさしめ
10月2月は学生ばっかり数が多くなる

 

4月期・7月期は乗船中の実務者が休暇を利用して受験するケースが多く、10月期・2月期は養成講習の修了者が集中する傾向があります。

出題自体は国交省が作成するため時期で大きな差はないはずですが、休暇のタイミングを選べるなら、4月期か7月期を狙うのも一つの戦略です。

 

キ1(機関1)の頻出テーマと勉強法

ヒヨコくん
キ1って範囲広すぎない?ガスタービンからボイラまであるし……
広く見えるけど、問ごとに出るテーマがほぼ固定されてる。問1はガスタービンの同じ問題が4パターンでローテーション、問6のプロペラ・船尾管も毎回同じ。ここを先に潰せば、それだけで200点分は固い
船員くん

 

問1(五級機のみ):ガスタービン

問1はガスタービンに関する問題で、五級機のみが回答します。12回分析した結果、㈠は5パターン、㈡は3パターンでローテーションしています。

◆ ㈠のパターン(5つのうち毎回1つが出る)

パターンA:穴埋め(構成要素・燃焼器・遠心力・材料)

「ガスタービンは、圧縮機、【⑦】、タービン及び付属装置から構成される」等の穴埋め。語群から選ぶ形式。2回出題。

パターンB:ディーゼル機関と比較した特徴の穴埋め

「構造が【⑦ 簡単 / ④ 複雑】」「潤滑油の消費量が【⑦ 少ない / ④ 多い】」「回転速度が【⑦ 高い / ④ 低い】」等の2択選択。3回出題。

パターンC:特徴の5項目選択

「ボイラ及び復水器は【必要 / 不要】」「後進タービンを設けることが【容易 / 困難】」等。3回出題。

パターンD:軸流圧縮機 vs 遠心圧縮機の特徴選択

「空気の処理量が【多い / 少ない】」「圧縮機の効率が【低い / 高い】」等。2回出題。

パターンE:長所と短所を2つずつ記述

これだけ記述式。長所は「小形軽量化できる」「振動が少ない」等、短所は「燃料消費率が大きい」「高温部品の寿命が短い」等。2回出題。

◆ ㈡のパターン(3つのうち毎回1つが出る)

図付き部品名選択→ガスタービンの概略図が示され、圧縮機・燃焼器・タービン・減速装置等の名称を語群から選ぶ。6回出題で最多。

始動機関連→「始動機にはどのようなものが用いられるか(2つ)」「始動機が回転させるのはガスタービンのどの部分か」。3回出題。

基本構成要素の役目→圧縮機・燃焼器・タービンそれぞれの役目を記述。2回出題。

問1の攻略法


パターンA〜Eの5パターンと、㈡の3パターンをすべて丸暗記すれば、問1は確実に取れます。ガスタービンの原理を深く理解する必要はありません。パターンごとの正解を覚えるだけで100点です。

 

問2(共通):ディーゼル機関の性能・計測・構造

問2は五級機・五級内の両方が回答する共通問題です。

◆ ほぼ毎回出るテーマ

① 熱勘定(熱勘定線図)

12回中6回出題。最頻出テーマです。出題パターンは以下の通り。

「熱勘定線図の⑦・④・⑨はそれぞれ何損失を示すか」→ 冷却水損失・排気損失・放射損失等

「損失熱量のうち最も大きい割合を占めるものは何か」→ 排気ガスによる損失

「正味熱効率は⑦〜⑨の中の何と何の比か」→ 正味出力となった熱量÷供給熱量

「機械効率は何と何の比か」→ 軸出力÷図示出力

② シリンダ冷却(ラッパ状の理由・清水vs海水)

「ライナ内面上部が僅かにラッパ状に広げてあるのはなぜか」→ ピストンリングの挿入を容易にし、ピストンの熱膨張を吸収するため

「海水の場合に比べて清水の場合の長所は何か(2つ)」→ スケールが付きにくい、腐食が少ない

3回出題。問3でも類似テーマが出るため、合わせると5回以上。

③ 用語説明

「機械損失と機械効率」「図示熱効率と正味熱効率」のセットが3回出題。定義を正確に書けるように暗記してください。

◆ 2〜3回に1回出るテーマ

シリンダライナ摩耗(最多部位=上部+理由3つ)→3回。出力の式(図示出力=図示平均有効圧×行程容積×回転数)→2回。計測(上死点隙間・クランクピン軸受油隙間)→2回。ピストン速度穴埋め→1回。圧縮比→1回。排気色不良原因5つ→1回。

 

問3(共通):ピストン・連接棒・燃料噴射ポンプ等

◆ ほぼ毎回出るテーマ

① トランクピストン(構造・材料・穴埋め・図)

12回中5回出題。穴埋め・図・記述がローテーションで出ます。

穴埋めパターン:「ピストンはシリンダヘッドとともに【燃焼】室を形成する」「材料は低速・中速機関では【鋳鉄】、高速機関では【アルミニウム】合金」「クラウン上部の直径は下部より【小さ】い」「側圧を受けるため【スカート】部を長くしている」

図パターン:ピストンの概略図が示され、クラウン・ピストンピン入部・オイルリング等の名称と役目を答える。

② シリンダヘッド復旧時の注意事項3点

「(1)ガスケットは新品を使用する」「(2)シリンダ内に異物がないか確認する」「(3)シリンダヘッドボルトは対角線上に均等に締め付ける」。2回出題だが、回答パターンが完全に固定されているので丸暗記で確実。

③ ピストンリング

「燃焼不良でリングが折れやすい理由」「オイルリングで油がかききれない原因2つ」「新替えの注意事項」等。3回出題。

④ 連接棒

連接棒の図→部品名、穴埋め(上部はピストンピンに、下部はクランクピンに連結)、ボルト折損原因等。3回出題。

 

問4(五級機のみ)・問5(五級内のみ)

【五級機・問4の構成】

問4は㈠がディーゼル機関の運転管理、㈡がボイラです。

㈠の頻出テーマ:

潤滑装置の経路図→「油だめの潤滑油が主機に入るまでの経路を描いて、次の①〜⑤を図中に示せ。①圧力調整弁 ②油冷却器 ③潤滑油ポンプ ④1次油こし ⑤2次油こし」。12回中3回出題。経路の順番を暗記してください。

始動弁関連→「取付け後の確認方法」「さびやすい理由」「漏れの確認方法」。3回出題。

㈡のボイラ頻出テーマ:

2胴D形水管主ボイラの運転トラブル語群選択→これが12回中5回出題の超頻出です。

「⑦ 蒸気管中のドレンの排除が不十分→【ウォータハンマ】」「④ ボイラ清浄剤の使用が不適切→【スケールの付着】」「⑨ 燃料油に水分が混入→【振動燃焼】」「⑩ 給水ポンプが作動不良→【ボイラ水位の異常低下】」

この語群選択は毎回ほぼ同じ組み合わせなので、語群と回答のセットを丸暗記すれば確実に得点できます

ボイラ気醸時の弁操作→「閉じておく弁はどれか」「開いておく弁はどれか」。3回出題。

【五級内・問5の構成】

問5の㈠は問4㈠と同一です。㈡は4択のディーゼル機関運転管理問題が出ます。

「排気弁の固着防止の作業に該当しないもの」「始動不能の原因で適当でないもの」「ターニングを行う理由で正しくないもの」等。ボイラの代わりにこれらの4択問題が出ます。

 

問6(共通):プロペラ・船尾管

◆ 最頻出:海水潤滑式船尾管

12回中7回出題。5級機関の全テーマの中で最も出題頻度が高いです。以下のパターンのどれかが毎回出ます。

「スリーブは、どのようにして軸に取り付けるか」→ 焼きばめ(加熱して膨張させて取り付ける)

「スリーブを取り付けると、どのような利点があるか」→ 軸本体の摩耗を防ぎ、交換が容易

「グランドパッキン部のスリーブが摩耗するのを少なくするため、どのような注意が必要か」→ 海水の供給を十分にする

「船尾管に関する穴埋め」→ 支面材・グランドパッキン箱・材料(リグナムバイタの代わりにゴム製又は合成樹脂製)

◆ プロペラ関連

「プロペラナットを緩める場合、緩める回転方向は何によって判断するか」→ プロペラの回転方向(右回りは左ねじ)。3回出題。

「入渠時、取り外したプロペラはどのような事項について検査するか。3つ」→ 羽根の摩耗・腐食・変形・割れ等。2回出題。

「右回りのプロペラとは、前進のとき、どのように回るプロペラか」→ 船尾から見て時計回り。2回出題。

 

キ2(機関2)の頻出テーマと勉強法

ヒヨコくん
キ2は電気が出るんでしょ?苦手なんだけど……
電気は問2で毎回出るけど、同期発電機の穴埋めと誘導電動機の正誤問題がほとんど。パターンは決まってるから、原理を理解するより「この問いにはこの答え」を覚える方が早い
船員くん

 

問1:ポンプ・冷凍装置・空気圧縮機

◆ ポンプ(㈠)

うず巻ポンプが12回中5回で最多。「正しくないものはどれか(4択)」が2回、「呼び水が必要な場合」「送出量の調整方法」「吸込み側こし器の汚れ判断方法」が記述で出ます。

プランジャポンプが3回。図付きで「上部(④の部分)には何が入っているか→弁」「弁③の役目は何か」「プランジャが上方向に移動すると弁はどう作動するか」。

◆ フロン冷凍装置(㈡)

空気混入時の影響が最頻出(4回)。

「冷媒中に空気が混入した場合、凝縮器内の圧力は【高く】なり、圧縮機の運転に要する動力の【増加】を招き、冷凍機の能力は【低下】する」

「空気が混入すると、【水分】の混入を伴うことが多く、混入した水分が【膨張】弁で氷結する原因となる」

この穴埋めは回答がほぼ完全に固定されています。丸暗記してください。

◆ 空気圧縮機

「空気圧縮機の弁の略図」→弁の役割と部品名の語群選択が2回。「たて形2段空気圧縮機の運転中注意事項」の穴埋めが2回。「運転中の注意事項を記せ」の記述が1回。

 

問2:電気(同期発電機・誘導電動機・蓄電池・電気設備)

◆ 同期発電機

12回中7回出題。最も出る電気テーマです。

記述パターン:「界磁巻線に供給される電気は直流か交流か」→直流。「原動機が駆動しているのは電機子巻線か界磁巻線か」→界磁巻線。「負荷が増すと指針の示度が大きくなるのは電圧計と電流計のどちらか」→電流計。「ガバナモータスイッチの役目は」→原動機の回転速度を調整する(周波数の調整)。

穴埋めパターン:「電気を発生するところが回転するものを回転【電機子】形、磁極が回転するものを回転【界磁】形という」「自励式は発生した電気の一部を【整流】装置により【直】流に変換し…」

◆ 誘導電動機(かご形)

5回出題。「運転中、騒音が高くなる原因は何か(3つ)」「電流計の示度について注意すること(2つ)」「ブラシとスリップリングを必要とするか」「回転子及び固定子のうち回転磁界を生じるのはどちらか」→固定子。

◆ 制御装置の方式

「(1)大きな出力が得られる→【油圧式】」「(2)火災発生のおそれがない→【空気式】」「(3)遠距離の伝達に遅れがある→【空気式】」「(4)自動記録装置と組み合わせて使用する→【電気式】」。3回出題。完全にパターン固定。

◆ 接地(アース)発見法

「接地箇所があることを配電盤の【アースランプ(接地灯)】によって発見する。次に配電盤上の送電中の【ヒューズ(又は開閉器)】を1個ずつ落としてみて…」。3回出題。穴埋めの答えが毎回同じ。

 

問3:計測器具・工具・弁・圧力計

キ2の問3は回によって問2の後半に含まれることもありますが、出題テーマは以下の通りです。

ブルドン管圧力計→「ブルドン管の断面はどのような形か」→楕円形。「圧力計の最高目盛は常用使用圧の何倍が適当か」→1.5〜2倍。4回出題。

船内工具図→名称→工具の略図が示され、語群から名称を選ぶ。たがね、打抜きポンチ、モンキレンチ、箱スパナ等。3回出題。

ガラス製棒状温度計→「封入される液体は(2つ)」→水銀、アルコール。「金属製のさやにおさめて使用することがあるのはなぜか」→破損防止。3回出題。

 

キ3(機関3)の頻出テーマと勉強法

ヒヨコくん
キ3は100点×2問で配点少ないけど、捨てていい?
絶対ダメ。キ3は毎回同じテーマが出る「ボーナスステージ」。LO性状変化5項目と材料の穴埋めを暗記するだけで、2問中1問はほぼ確実に取れる
船員くん

 

問1:燃料油・潤滑油・燃焼・用語・材料

◆ 最頻出:ディーゼル機関用潤滑油(システム油)の性状変化

12回中5回出題。キ3で最も出るテーマです。

出題は2パターンあります。

パターンA:「長時間使用した場合、どのような性状が変化してくるか。5項目あげよ」

パターンB:「使用中に変質する原因をあげよ」

パターンAの回答は以下を丸暗記してください。①粘度が変化する(増加する)、②引火点が低下する、③色が濃くなる(暗色化する)、④不溶解分(スラッジ)が増加する、⑤酸価(全酸価)が増加する。

◆ 用語説明

12回中8回、何らかの用語説明が出題されています。以下のセットで丸暗記してください。

「ゲージ圧」→大気圧を0として測った圧力。「絶対圧」→完全真空を0として測った圧力。ゲージ圧+大気圧=絶対圧。

「潜熱」→物質の状態変化(固体→液体、液体→気体)のときに必要な熱で、温度変化を伴わない。「顕熱」→温度変化を伴う熱。

「完全燃焼」→燃料中の炭素が十分な酸素と反応して二酸化炭素になること。「不完全燃焼」→酸素が不足し一酸化炭素やすすが発生すること。

「密度」→単位体積あたりの質量。「慣性」→物体が現在の運動状態を続けようとする性質。

◆ 材料(青銅・黄銅・鋳鉄)

12回中6回出題。穴埋めか4択のどちらかで出ます。

以下の3つの合金を確実に区別してください。

「青銅(砲金)」→銅とすずを主成分。海水中で腐食しにくい。軸受メタル用としては摩耗が少ない

「黄銅(真ちゅう)」→銅と亜鉛を主成分。鋳造が容易。海水中では腐食しやすい

「鋳鉄」→一般に、もろいから加熱しても鍛造することはできない。圧縮力に強い

◆ 燃焼の3要素

「燃焼の3要素(条件)は何か」→可燃物、酸素(空気)、点火源(着火温度以上の熱)。「燃焼と爆発の違いは」→燃焼速度が極めて速いものが爆発。「完全燃焼の場合、炭素は何に変わるか」→二酸化炭素(CO₂)。3回出題。

◆ 燃料重油

「C重油の場合、加熱するのは何のためか」→粘度を下げて噴霧を良くするため。「引火点は高い方がよいか低い方がよいか」→貯蔵上、高い方がよい。4回出題。

 

問2:船体・非破壊検査・計算問題

◆ ホワイトメタルの長所

「滑り軸受メタルの材料として、どのような点が優れているか」→なじみ性がよい、埋収性がよい(異物を埋め込む性質)、耐焼付き性がよい、摩擦係数が小さい。2回出題。

◆ 船体(主要寸法・船首形状)

「船の大きさを示す4つの主要寸法は何か」→全長(または垂線間長)、全幅(または型幅)、型深さ、喫水。「船首の形状を1つ描き名称を記せ」→直立型船首、傾斜型船首(クリッパー型)、球状船首(バルバスバウ)のいずれか。4回出題。

◆ 非破壊検査

穴埋め形式で出ます。「【目視】検査は、特別な手段を用いることなく【外部】から傷や腐食の状況を観察する方法」「打音(打診)検査は、対象物を【ハンマー】や打音棒などを用いてたたき…」「【浸透探傷】は、対象物の表面に【浸透液】を塗り…」。2回出題。

◆ 計算問題(毎回1問)

キ3の問2には毎回計算問題が1問含まれます。計算テーマは後述の「計算問題の解き方」で詳しく説明します。

 

シ(執務一般)の頻出テーマと勉強法

ヒヨコくん
執務一般って法規みたいなもの?
法規というより「現場の実務知識」。入渠時の点検事項、応急工作、荒天準備、保護具。実務経験があれば書ける内容が多いけど、穴埋め問題は正確な語句が必要だから過去問で確認しておこう
船員くん

 

問1:当直基準・入渠点検・燃料油管理・応急工作

◆ ㈠の頻出テーマ

航海当直基準(運輸省告示)穴埋め→12回中3回出題。

「航海当直を開始しようとするときは、あらかじめ機関の【状態】を確認すること」「機関区域及び操舵機室を適当な間隔をおいて【巡視】するよう措置すること」「機関の【故障】を発見したときは、適切な【修理】を行うよう措置すること」「船橋からの【指示】を直ちに実行すること」「航海当直を引き継ぐ前に機関に関するすべての【事項】を適切に記録すること」

入渠中でなければ点検整備ができない機関部関係事項→3回出題。回答例:船底弁・海水吸入弁の点検整備、プロペラの検査、船尾管の点検、船底・船側外板の塗装等。

燃料油の船内貯蔵管理注意事項→4回出題。空気抜管の位置、閉鎖時期、セットリングタンクの毎日の作業(ドレン抜き)等。

◆ ㈡の頻出テーマ

機関備品及び消耗品12回中5回出題。シで最も出るテーマ。

「備品とはどのようなものか」→使用に耐える期間が比較的長く、繰り返し使用できるもの

「光明丹は何に使用されるか」→金属面の当たり(接触状態)を確認するために使用

「ベルトワックスは何に使用されるか」→Vベルトの滑り止めに使用

この3つの回答はほぼ毎回同じです。丸暗記してください。

はんだ付け作業→「準備するもの」「失敗しないための注意」「終了後に接合部を拭き取る理由」→フラックス(腐食性)の残留を除去するため。2回出題。

やすり作業→「かけ方の名称を2つ」→直進法(まっすぐ)、斜進法(斜め)。「荒削り後に使う目の粗さ」→中目。2回出題。

 

問2:荒天準備・海洋汚染防止・保護具・ビルジ処理

機関室における荒天準備作業→3回出題。可動物の固縛、ビルジの排出、燃料油・潤滑油の補給、通風装置の閉鎖、スペアパーツの固定等。

海洋汚染防止(排出規制)→4回出題。「船舶からの排出が規制されるものは何か。4つ」→油、有害液体物質、廃棄物、排出ガス。

保護具(作業別)→4回出題。「やけどのおそれのある作業」→革手袋、前掛け、保護眼鏡。「粉じんを発散する場所」→防じんマスク、保護眼鏡。「騒音の激しい場所」→耳栓、耳覆い。

ビルジ処理→「機関室内にたまったビルジは、非常の場合及び陸揚げする場合を除き、どのように処理するか」→油水分離器を通して排出する。3回出題。

 

計算問題の解き方【過去問で実践】

ヒヨコくん
計算問題って毎回出るの?
キ3の問2に毎回1問出る。プロペラの速度計算、タンクの容積計算、熱量計算の3パターンが主流。公式自体は単純だから、単位変換でミスしないよう練習しておけば大丈夫
船員くん

 

① プロペラ速度の計算(スリップ含む)

◆ 基本公式

プロペラの理論上の速度=プロペラピッチ × 毎分回転数

実際の船速はスリップ分だけ遅くなります。

スリップ=(理論速度 − 実際速度)÷ 理論速度 × 100(%)

【例題】プロペラ速度の計算


プロペラのピッチが1.4m、毎分回転数が330、平均スリップが20%の船がある。1海里=1852mとして、450海里を航海する場合の所要時間を求めよ。

▼ 解き方

使う公式:理論速度=ピッチ×回転数、スリップ=(理論−実際)÷理論×100%

Step1 理論速度を出す
1.4 × 330 = 462 m/分

Step2 実際速度を出す(スリップ20%を引く)
462 ×(1 − 0.20)= 462 × 0.8 = 369.6 m/分

Step3 航海距離をmに変換
450 × 1852 = 833,400 m

Step4 所要時間を出す
833,400 ÷ 369.6 = 2,254.9分 ≒ 約37時間35分

💡 ポイント:海里→mの変換(×1852)分→時間の変換(÷60)を忘れないこと。スリップ率は「1−スリップ率」を掛けるだけです。

 

② 箱形タンクの容積・油量計算

【例題】箱形タンクの容積・油量計算


縦1.8m、横2m、高さ1.2mの箱形タンクに燃料油が85%積み込まれている。底面から15cmの高さまでの燃料油を使用できないとすれば、使用できる燃料油は何リットルか。

▼ 解き方

使う公式:容積=縦×横×高さ、1m³=1000L

Step1 タンク全容積を出す
1.8 × 2 × 1.2 = 4.32 m³

Step2 燃料油の量を出す
4.32 × 0.85 = 3.672 m³

Step3 使用できない部分(底面15cm)を出す
1.8 × 2 × 0.15 = 0.54 m³

Step4 使用できる量を出す
3.672 − 0.54 = 3.132 m³

Step5 リットルに換算する
3.132 × 1000 = 3,132リットル

💡 ポイント:m³とLの変換(1m³=1000L)を最初にやっておくとミスが減ります。底面積さえ出せば、あとは割り算だけ。

 

③ 熱量の計算

【例題】熱量の計算


燃料重油3.25tの温度を25℃から75℃に上げるために必要な熱量を求めよ。ただし、1kgの燃料重油を1℃上げるのに2.1kJ(0.5kcal)必要とする。

▼ 解き方

使う公式:熱量=質量×温度差×比熱

Step1 温度差を出す
75 − 25 = 50℃

Step2 質量をkgに変換
3.25 t = 3,250 kg

Step3 必要熱量を出す
3,250 × 50 × 2.1 = 341,250 kJ

(重力単位系の場合:3,250 × 50 × 0.5 = 81,250 kcal

💡 ポイント:t→kgの変換(×1000)を忘れないこと。比熱の単位がkJ/(kg·℃)かkcal/(kg·℃)かで答えの単位が変わります。問題文の指定に合わせてください。

 

④ 仕事率・動力の計算

【例題】仕事率(動力)の計算


700kgの荷物を8m持ちあげるために20秒かかった。仕事率はいくらか。

▼ 解き方

使う公式:仕事率P=力F×距離d÷時間t。SI単位系ではF=質量×9.8

Step1 力を出す(SI単位系)
F = 700 × 9.8 = 6,860 N

Step2 仕事率を出す
P = 6,860 × 8 ÷ 20 = 54,880 ÷ 20 = 2,744 W ≒ 約2.74 kW

(重力単位系の場合:700 × 8 ÷ 20 = 280 kgf·m/s

💡 ポイント:SI単位系では「×9.8」でN(ニュートン)に変換するのが最初のステップ。重力単位系(kgf)で解く場合は「×9.8」は不要です。問題文でどちらの単位系か確認してください。

計算問題のまとめ

  • プロペラ速度:ピッチ×回転数=理論速度。スリップ分を引いて実際速度
  • タンク容積:縦×横×高さ。底面の使用不能部分を引く
  • 熱量:質量×温度差×比熱
  • 仕事率:力×距離÷時間。SI単位系では力=質量×9.8
  • 歯車回転速度:大歯車の歯数×大歯車の回転速度=小歯車の歯数×小歯車の回転速度

5級航海の筆記もあわせて受ける人はこちら。機関と航海を同時に受ける人は多いです。

こちらもCHECK

5級海技士(航海) 筆記試験の傾向と対策|過去問12回分析でわかった頻出テーマ

この記事はこんな方におすすめ 「5級海技士の筆記試験、何から勉強すればいいかわからない」 「過去問を解いてるけど、どこが頻出なのか整理したい」 「限られた勉強時間で効率よく合格点を取りたい」 &nbs ...

続きを見る


 

次回試験の出題予想【R8年4月期】

ヒヨコくん
次の試験で何が出るか、ある程度わかるの?
航海ほど「同じ問題が連続で出ない」法則は明確じゃないけど、直近2回で出たテーマを除外すればかなり絞れる
船員くん

 

予想の前提

この予想は直近12回分の過去問パターンに基づく分析であり、出題を保証するものではありません。勉強の優先順位付けの参考としてご活用ください。
最終更新:2026年3月(R7年10月期・R8年2月期の出題を反映)

 

キ1の出題予想

問1(ガスタービン・五級機)

直近2回はR7/10「穴埋め(構成・材料)+出力・冷却不足」、R8/2「軸流vs遠心+始動機」。

→ 次回の予想:パターンB「特徴穴埋め(構造簡単/複雑・潤滑油・回転速度・小形化)」またはパターンC「特徴5項目選択」が有力。㈡は図付き部品名選択の番(直近2回で出ていない)。

問2(ディーゼル機関性能・共通)

直近2回はR7/10「出力の式+冷却不足」、R8/2「計測+用語(機械損失/効率)」。

→ 次回の予想:熱勘定(線図の読み取り)が最有力。直近2回で出ていない。シリンダライナ摩耗(最多部位+理由3つ)も候補。

問3(ピストン等・共通)

直近2回はR7/10「トランクピストン図+始動弁ガス漏れ」、R8/2「シリンダ図+排気弁固着防止+始動不能」。

→ 次回の予想:シリンダヘッド復旧注意3点が有力(直近2回で出ていない)。連接棒の図または穴埋めも候補。ピストンリングの新替え注意事項も。

問4(五級機)・問5(五級内)

㈡のボイラは直近2回で「ボイラ本体に直接取付でない弁」と「気醸開弁+逆火防止」が出た。

→ 次回の予想:2胴Dボイラ運転トラブル語群選択がそろそろ来る(前回はR6/10以来出ていない)。㈠は潤滑装置経路図または始動直後注意事項が候補。

問6(プロペラ・共通)

直近2回はR7/10「ナット操作+ミッチェルスラスト」、R8/2「ナット操作+プロペラ軸腐食」。

→ 次回の予想:入渠時プロペラ検査事項3つが有力。㈡は海水潤滑式船尾管スリーブ(取付方法・利点)がしばらく出ていない。

 

キ2の出題予想

直近2回はR7/10「蓄電池+自動制御動作5つ+操舵装置図」、R8/2「同期発電機記述+電気抵抗+エアギャップ」。

問1:うず巻ポンプの記述(呼び水・送出量調整)、フロン冷凍装置の各機器役目語群選択が候補。

問2誘導電動機の詳細(騒音原因・電流計注意・ブラシ要否)が有力(直近で出ていない)。制御装置方式の語群選択も候補。

問3:ブルドン管圧力計、船内工具図が候補。

 

キ3の出題予想

直近2回はR7/10「潤滑油ドラム缶採取+潜熱・完全燃焼+青銅」「船体+鋼管重量計算」、R8/2「燃料重油加熱理由+温度圧力+主要寸法」「非破壊検査+タンク容積計算」。

問1LO性状変化5項目(長時間使用)が最有力。直近2回は「変質原因」と「ドラム缶採取」が出たので、「性状変化5項目をあげよ」パターンの番。燃焼の3要素も候補。

問2:ホワイトメタルの長所+プロペラスリップ計算が候補。

 

シの出題予想

直近2回はR7/10「入渠点検+機関日誌穴埋め」「ビルジ処理+小破口浸水」、R8/2「航海当直基準穴埋め+備品消耗品」「海水管穴塞ぎ+保護具5つ」。

問1㈠燃料油船内貯蔵管理注意事項が有力(直近2回で出ていない)。

問1㈡はんだ付け作業またはやすり作業が有力(直近で出ていない)。

問2機関室荒天準備作業海洋汚染防止が候補。

 

乗りながら勉強する人への最短ルート

乗りながら勉強は大変。入出港と荷役で忙しいし合間に寝なきゃ

 

5級の受験者の多くは、6級養成講習を修了して乗船しながら受験する人です。勉強時間は限られています。

5級機関の筆記対策で定番はこれです。

おすすめ教材


海技士5E 解説でわかる問題集(海文堂・¥3,300)
→ 頻出問題を図解+専門用語の補足付きで解説。「丸暗記ではなく理解して覚えたい人」向け。5級機関の全範囲をカバーしており、この記事の出題分析と合わせて使えば効率的です。


 

この記事の分析データを活かした最短ルートを提案します。

ステップ1:丸暗記で取れるテーマを先に潰す(全科目共通・2〜3日)

以下の10テーマは、回答パターンが完全に固定されています。これだけで全体の3割以上をカバーできます。

→ LO性状変化5項目(キ3)
→ 海水潤滑式船尾管スリーブの取付・利点(キ1-問6)
→ 同期発電機の基本問答(キ2)
→ フロン冷凍装置の空気混入影響穴埋め(キ2)
→ 材料の区別:青銅・黄銅・鋳鉄(キ3)
→ 機関備品消耗品:光明丹・ベルトワックス(シ)
→ 航海当直基準穴埋め(シ)
→ 保護具の作業別対応(シ)
→ ガスタービンの特徴5パターン(キ1-問1・五級機)
→ 2胴Dボイラのトラブル語群(キ1-問4・五級機)

ステップ2:記述系の頻出テーマを自分の言葉で書く練習(3〜5日)

→ 熱勘定(損失名・効率の比)
→ シリンダ冷却(ラッパ状理由・清水長所)
→ トランクピストン(構造・材料)
→ 潤滑装置の経路図
→ 入渠中の点検整備事項
→ 荒天準備作業

ステップ3:計算問題の公式確認(1日)

→ プロペラ速度(ピッチ×回転数×(1−スリップ率))
→ タンク容積(縦×横×高さ)
→ 熱量(質量×温度差×比熱)
→ 仕事率(力×距離÷時間)

ステップ4:過去問を解く(直近6回分で十分)

12回分すべてやる必要はありません。この記事で頻出パターンを把握した上で、直近6回分を通しで解けば十分です。過去問は国土交通省のサイトからダウンロードできます。

4級に直接挑戦したい人はこちら。

こちらもCHECK

4級海技士(機関)筆記試験の傾向と対策|過去問12回分析でわかった頻出テーマ

この記事はこんな方におすすめ 「4級海技士(機関)の筆記試験、何から勉強すればいいかわからない」 「四級機と四級内、どっちを受けるか整理したい」 「乗船しながら限られた時間で効率よく合格したい」 「過 ...

続きを見る

 

まとめ

この記事のポイント

  • 5級海技士(機関)の筆記試験はキ1・キ2・キ3・シの4科目。すべて記述式
  • 五級機と五級内の違いはキ1の選択問題のみ。五級機はガスタービン+ボイラが追加されるが、パターン暗記で確実に取れる
  • LO性状変化5項目(12回中5回)、海水潤滑式船尾管(7回)、同期発電機(7回)が3大頻出テーマ
  • 計算問題はプロペラ速度・タンク容積・熱量の3パターンが主流
  • 乗りながらの勉強は「丸暗記テーマ→記述練習→計算公式→直近6回の過去問」の順が最効率
  • 5級は4級への最短の踏み台。6級のまま留まれば使い倒されるだけ

 

※この記事は過去問12回分(R5年4月期〜R8年2月期)の分析に基づいて構成しています。出題傾向は変更される場合があります。最新の試験情報は国土交通省・地方運輸局の公式サイトでご確認ください。

-STUDY