
今回は3社を経験した僕の実感を正直に書くよ。

この記事で分かること
- 船にいる「ヤバい人」の具体例
- なぜ船には独特な人が集まりやすいのか(構造的な理由)
- 新人が最初にぶつかる人間関係の壁
- 大半はまともないい人だという事実
- 人間関係の良い船を選ぶ方法
- 合わない船に乗ってしまったときの対処法
船にいる「ヤバい人」の具体例
船に頭のおかしい人がいるのは事実です。ただし、陸にも変な人はいる。違いは「逃げ場がない」こと。5〜10人の乗組員と3ヶ月間、24時間同じ空間で過ごすため、1人でも問題のある人がいると影響が大きい。
僕が3社で実際に見てきた「ヤバい人」のパターンを紹介します。
ギャンブル中毒
仮バース(岸壁に係留しての休み)になると、ほとんどの人がパチンコに行く船がありました。ワッチ中はパチンコの話が一日中続き、いい年した大人がスロットの話だけで4時間の当直を埋めていた。
さらに悪いのは、パチンコで負けて船内の人間から借金を繰り返す人。貸した側もストレスが溜まり、船内の空気が一気に悪くなります。
アルコール中毒
1週間の航海でビール3ケース買い込む人も珍しくない。個人の嗜好なら自由ですが、問題は酒が入ると人格が変わるタイプ。仕事の話からケンカに発展したり、同僚の悪口大会になったり。飲みの席に付き合わされて愚痴を聞かされる側はたまったものではありません。
パワハラ
閉鎖的な船内では、パワハラが日常茶飯事という船もあります。命の危険が伴う作業で声が荒くなるのは仕方ない面もありますが、本当にどうでもいいことに対して怒鳴り散らす人がいるのが現実。

怒鳴ること自体が快感になっている人——これは筆者も何人か見てきました。こういう人は何をやっても怒鳴るので、新人がどれだけ頑張っても改善しません。相手の問題であって、あなたの問題ではない。この認識が大事です。
挨拶を返さない上司
地味だけど精神的にジワジワくるのがこれ。毎日挨拶しても無視される。でも仕事の質問には答えてくれる。意味が分からないけど、こういう人は一定数います。

だけど外からじゃそこまでわからないから難しい
船を辞める人のほとんどの動機は人間関係が大きいんじゃないかな

なぜ船には独特な人が集まりやすいのか
「船乗りは変な人が多い」とよく言われますが、正確には「変な人が船乗りとして残る」です。


この構造には理由があります。
「変な人が残る」構造的な理由
- 閉鎖空間で1年の大半を過ごす:他のコミュニティとの接点がなく、価値観が固定化しやすい
- 人手不足でクビになりにくい:問題を起こしても「代わりがいない」から残れてしまう
- 繊細な人ほど先に辞める:理不尽に耐えられない人から順に去り、鈍感な人だけが残る
- 古い教育観が再生産される:「俺も怒鳴られて育った」→「だからお前も怒鳴られて育て」
つまり「変な人が船を変にしている」のではなく、「船という環境が変な人を残す仕組みになっている」。ここを理解しておくと、乗船してから「こんなはずじゃなかった」と感じるリスクが減ります。

新人がぶつかる人間関係の壁
「ヤバい人」ではなく、普通の先輩相手でも新人はストレスを感じます。ここでは、新人が最初にぶつかる典型的な壁を紹介します。
「足音がうるさい」で教えてもらえなくなる
筆者が業界関係者から聞いた事例。20歳の新人が、足音が大きいだけで「威嚇している」と誤解され、先輩から「もう教えない」と言われたケースがあります。
本人にはまったく悪気がない。でも船内の狭い空間では、ちょっとしたことが問題になる。結局、司厨長が「気にしなくていい。君が大人になりなさい」とフォローしてくれて事なきを得ましたが、こういう「些細なことでキレる上司」は珍しくない。
人によって教え方が違う
Aさんに教わったやり方でやったら、Bさんに「違う」と怒られる。これは陸の仕事でもあることですが、船内の少人数環境ではダメージが大きい。誰のやり方に合わせればいいのか分からず、萎縮してしまう新人は多い。
船長・機関長が変わると船が一変する
船の雰囲気は、船長と機関長で決まります。
穏やかな船長のときは和気あいあいだった船が、船長が交代した途端にギスギスした空気になる——これは筆者も実際に経験しました。逆に、最悪な雰囲気の船でも人事異動で一気に改善されることもある。
つまり、今の人間関係が永続するわけではない。メンバーは1年以内に入れ替わることが多いので、「今がつらくても変わる可能性がある」のは船ならではのポジティブな面でもあります。
陸の中小企業で嫌な上司がいるとかどっちかが辞めるまでずっと不変だからね

新人に求められるのは「安全面だけ」
先輩船員の多くは、新人に高い能力を期待していません。


「3ヶ月の新人に仕事を求めている上司の方がおかしい」——この視点は、新人にとって大きな救いになるはず。仕事ができないのは当たり前。安全だけ意識して、半年を目標にコツコツ覚えていけばいい。

大半はまともないい人
ここまで「ヤバい人」の話ばかりしましたが、大半の船員はまともな普通の人です。
僕が3社で出会った船員のうち、本当に「頭おかしい」と思った人は全体の1〜2割。残りの8割は普通に仕事をして、普通に雑談して、普通に生活している人たちでした。
ただし、その1〜2割のインパクトが強すぎるのが問題。閉鎖空間で3ヶ月も一緒にいると、たった1人の問題行動が全体の印象を支配してしまいます。「船乗りは頭おかしい」というイメージは、この1〜2割が作っているに過ぎません。
文句言う人は何をやったって言うし、狭い船の中で噂されてもしゃーないしほっとくようにしたさ。

この人のように、「気にしない力」を身につけた人は長く続いています。やるべき仕事をやり、危険なことをしなければ、文句を言われることはほとんどない。周りの目を気にしすぎず、淡々と仕事をこなす——これが船内で生き残るコツです。
人間関係の良い船を選ぶ3つの基準
「どの船に乗るか」で人間関係は大きく変わります。完全に運任せではなく、事前にある程度は見極められるポイントがあります。
良い船を見極める3つの基準
- ① 乗組員の定着率を聞く:「直近1年で何人辞めましたか?」。頻繁に人が入れ替わる船は危険信号
- ② 乗組員の年齢構成を聞く:若手がいない船は「若手が続かない理由」がある。逆に20〜30代がいる船は比較的まとも
- ③ 面接での対応を見る:質問に丁寧に答えてくれる会社は、船内でも丁寧な傾向がある。面接で横柄な会社は、船内も推して知るべし
100%の保証はありませんが、この3つを確認するだけで「明らかにヤバい船」は避けられます。
合わない船に乗ってしまったら
どれだけ慎重に選んでも、「合わない船」に当たることはあります。そのときの対処法を整理します。
まず3ヶ月は耐えてみる
最初の1〜2週間は誰でもつらい。新しい環境、知らない人、覚えることの山。この時期に「もう無理」と判断するのは早すぎます。3ヶ月経てば最初の休暇が来る。休暇でリセットしてから、冷静に判断しても遅くありません。
人間関係を「気にしない」働き方に切り替える
船の仕事は、基本的に自分の業務に集中することが可能です。荷役はみんなで行いますが、手順さえ分かっていれば淡々とこなせます。無理に輪に入る必要はない。
やるべきことをやり、危険なことをしない。これだけ守っていれば、周囲から致命的な文句を言われることはほとんどありません。上司の顔色をうかがいすぎるのが、逆にストレスの原因になります。
メンバーの入れ替わりを待つ
船のメンバーは固定ではありません。1年以内に船長や機関長が異動するケースは普通にあります。今の人間関係が最悪でも、人事異動で劇的に改善されることがある。陸の中小企業では嫌な上司がいてもどちらかが辞めるまで変わりませんが、船にはこの「入れ替わり」というセーフティネットがあります。
それでも無理なら辞めていい
暴力やいじめが常態化している場合は、我慢する必要はありません。


「そんなんじゃ他でもやっていけない」は、辞められたくない側の常套句。実際には、会社を変えるだけで環境が劇的に改善されることの方が多い。内航は慢性的な人手不足なので、次の船は見つかります。



まとめ
この記事のポイント
- 船にヤバい人がいるのは事実。ギャンブル・アル中・パワハラ・挨拶無視は実在する
- 「変な人が船に来る」のではなく「変な人が船に残る」構造がある
- 新人がぶつかる壁は「些細なことでキレる上司」「人によって教え方が違う」
- 新人に求められるのは安全面だけ。3ヶ月は「怪我しない・させない」だけでいい
- 大半の8割はまともな人。「気にしない力」が生き残るコツ
- 人間関係の良い船を選ぶには、定着率・年齢構成・面接の対応を見る
- 合わない船はメンバー入れ替わりで改善する可能性あり。暴力があるなら即辞めてOK
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※この記事は筆者の3社勤務経験、および掲示板・業界関係者からの情報をもとに構成しています。人間関係は船種・会社・乗組員の組み合わせにより大きく異なります。