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4級海技士(航海)口述試験の対策|合格率32%を突破する方法

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こんにちは。船員くんです。(@tankerkun)
船員くん

この記事はこんな方におすすめ

  • 「4級海技士の口述試験に落ちた…次こそ受かりたい」
  • 「口述試験って何を聞かれるの?対策がわからない」
  • 「合格率が低いって聞いたけど、実際どれくらい難しい?」

 

4級海技士の口述試験は「落ちる試験」です

ヒヨコくん
4級の口述ってそんなに難しいの?筆記に比べたら楽なんじゃ…
合格率を見てからそれ言えるかな
船員くん

 

4級海技士(航海)の口述試験に対して、「4級でしょ?入門レベルでしょ?」と思っている人は多いはずです。

ところが、2023年度の4級海技士(航海)の合格率は32.1%です。3人に1人しか受かりません。これは筆記と口述を合わせた数字ですが、口述単体でも決して楽ではありません。

筆者自身、内航船員として3社で経験を積みながら試験官に「航海の基本ができていない」と言われました。それでも後半で立て直して合格できましたが、油断していたら間違いなく落ちていたと思います。

 

合格率の数字を正しく読む

1つ注意したいのが、合格率の見方です。

冒頭の32.1%は筆記+口述を合わせた「総合合格率」です。筆記で落ちた人も含む数字なので、口述だけの難しさとは少し違います。

筆記試験の合格基準は、各科目50%以上かつ3科目の平均65%以上と公表されています。一方で口述試験の合格基準は公式には明らかにされていません。業界内では「おおむね60%程度」と言われていますが、公式の数字ではありません。

つまり、4級が難しいのは事実ですが、「筆記を含めた全体」と「口述段階」は分けて考えたほうが対策しやすいです。口述まで来た人は知識ゼロではありません。ここから先は、暗記量よりも「声に出して答える力」と「六法を引く力」が合否を分けます。

 

口述試験の基本情報

口述試験の情報はネット上にほとんどありません。まず基本的な仕組みを押さえておきましょう。

 

試験の形式

指定された時間に運輸局に行き、待合室で待機します。名前を呼ばれたら試験室に入り、試験官1名と向き合って座ります。

質問はすべて口頭で、試験官が問題を出し、受験者が口頭で答える形式です。

海技試験六法は持ち込みOKです。ただし書き込み・付箋・傍線は原則禁止。また使えるのは船員法や安衛則などの「海事法令」の問題のみです。衝突予防法・海上交通安全法・港則法の問題では六法を開けません。

試験時間は1人40〜50分程度、質問数は15〜16問程度が目安です。

 

当日の服装──スーツが無難

口述試験に服装の規定はありませんが、スーツまたはアイロンのかかったワイシャツ+清潔な靴が基本です。

口述試験は試験官と1対1で向き合う試験です。筆記と違い、あなたの態度・身だしなみ・話し方まで含めて「この人に船を任せられるか?」を見られています。

乗船中で停泊の合間に受ける場合など、スーツの持ち合わせがないこともあるでしょう。その場合はビジネスカジュアル(襟付きシャツ+チノパン+革靴)でも問題ありません。ただしジーパン・パーカー・サンダルはNGです。「なんだこいつ」と思われてスタートラインで損をします。

散髪と靴磨きも忘れずに。安物のスーツでも、清潔感があれば十分です。

 

持ち物チェックリスト

当日の持ち物は以下の通りです。

  • 受験票(忘れたら運輸局に相談)
  • 筆記用具(ボールペン。ホワイトボード用マーカーは試験室に用意されています)
  • 海技試験六法(書き込み・付箋・傍線は原則禁止)
  • 問題集・参考書(待合室での最終チェック用。試験官に言われたらすぐしまうこと)

試験室にはホワイトボードが設置されています。船体構造や前線の作図など、図を描いて説明を求められる場面があるので、頭の中で事前にイメージしておくと落ち着いて対応できます。

 

試験官のタイプで難易度が変わる

試験官には大きく3つのタイプがあります。

淡々・事務的タイプは、答えられなければ「はい、次」と切り替えられ、ヒントは一切ありません。会話型・誘導タイプは、ヒントをくれたり会話を広げてくれます。突っ込み型は、1問に対して「なぜ?」「具体的には?」と掘り下げてきます。

試験官の当たり外れは完全に運です。だからこそ、どのタイプが来ても対応できる準備が必要です。

 

口述に落ちないための5つのコツ──よくある失敗パターンから逆算

筆者自身の反省と業界内で聞いた話から、落ちる人の共通パターンを整理します。

 

① 「知っている」と「言える」を混同している

口述試験の最大の罠がこれです。

テキストを読んで「分かった」と思っていても、試験官の前で口から出てこないことは普通に起きます。霧中信号の「長音1回+短音2回」がどの船のものか、保持船の義務の最初の一言が何か──頭では分かっていてもパッと出てきません。

口述は「知識テスト」ではなく「アウトプットテスト」です。声に出して答える練習をしていないと、本番で詰まります。

 

② 頻出問題リストだけで安心してしまう

口述対策として頻出問題リストを使う人は多いはずです。筆者も100問以上の頻出リストで勉強しました。

しかし、筆者の体験34問+受験者コミュニティの調査35問を合わせた69問を分析した結果、出現頻度TOP10のうち4つが、よく出回る対策リストに載っていませんでした。方位標識のトップマーク(出現5回)、GM・復元力(出現4回)、オートパイロットの調整(出現4回)、トリム(出現4回)──これらは4級口述でほぼ毎回出る鉄板問題なのに、多くの受験者が対策していません。

頻出リストは対策の土台であって、それだけでは足りません。

 

③ 六法を「持っているだけ」で引けない

海技試験六法は持ち込めますが、付箋は貼れません。いざ六法問題が出たときに該当の条文にたどり着けなければ、持っていないのと同じです。

索引で引くキーワードを覚えておくのが六法攻略の核心です。条文番号の暗記よりも、「飲料水」「保護具」「高所作業」などのキーワードで索引を引く練習のほうが本番で使えます。

 

④ 序盤のミスで心が折れる

最初の数問でつまずくと、頭が真っ白になって残りの問題も答えられなくなるパターンです。

口述試験は序盤でつまずいても後半で立て直せます。試験官の厳しい指摘は「不合格の宣告」ではなく「ここを直せ」というメッセージです。筆者も序盤で崩れかけましたが、後半の法規・気象・運用で持ち直して合格しました。

 

⑤ 答え方に「型」がない

知識があっても、だらだら話してしまうと試験官に「結局何が言いたいの?」と思われます。特に淡々系の試験官にはヒントを期待できないので、自分で答えを組み立てる必要があります。

覚えるフレーズは3つだけです。

「結論から述べます」──最初に言うだけで答えが整理されます。

「整理して答えます」──詰まったときの時間稼ぎ。

「以上です」──答えを終わらせます。だらだら話しません。

正直に言うと、筆者は本番ではこのフレーズを意識していませんでした。それでも合格できたのは、たまたま後半で得意分野が出たからです。

型があるかないかで、答えの印象はまったく変わります。筆者の体験から具体例を1つ出します。

序盤、ジャイロコンパスの誤差を聞かれたとき、E/Wを逆に答えました。試験官から「そんなことするの?」と言われ、頭が真っ白になりました。結論が出る前にあれこれ言って迷いが見える答え方をしてしまった典型的な失敗です。

一方、後半のアンカー(錨泊)の問題では、質問に対して淡々と結論から答えました。追加の質問や掘り下げもなく、試験官はすぐ次の問題に移りました。結論が最初に来ていれば、試験官は「分かっている」と判断して深追いしません。

この差を振り返ると、型を意識するだけで後半の「立て直し」がもっと早くできたはずです。

 

出題分野と傾向──69問の分析から見えたこと

筆者の体験34問+受験者コミュニティから収集した35問、合計69問を分野別に整理します。データの内訳は、筆者自身の体験(16問+同日別受験者18問)と、ネット上で公開されている複数の口述試験レポートから重複を除いた35問です。受験地は横浜・博多・福岡・高松・近畿の5箇所にまたがっています。

 

航海(計器・測位・海図)

ジャイロコンパスの誤差、自差と偏差、オートパイロットの調整、音響測深機、ランニングフィックス、レーダーの調整(ゲイン・FTC・STC)、灯台表、潮汐表、方位標識のトップマークなど。

「数字」と「根拠」をセットで聞かれるのが特徴です。「1海里は1,852m」だけでなく「なぜその長さなのか」まで答えを求められます。方位標識は出現5回で鉄板1位です。

 

運用(錨泊・船体構造・気象)

コックビル、GM・復元力、フレーム・ビーム・船体部材、トリム、走錨の検知方法、温暖前線の通過前後、台風の危険半円・可航半円、霧の種類など。

ホワイトボードで描く問題が多いのがこの分野の特徴です。GM・復元力(出現4回)、船体部材の断面図、前線の作図などは、口頭だけでなく図を描いて説明することが求められます。

 

法規(予防法・海交法・港則法)

衝突のおそれの判断基準、横切り船の航法、東京湾の航路、来島海峡の速力制限、備讃瀬戸の交差部の航法、防波堤の航法、右小回り・左大回りなど。

予防法・海交法・港則法は六法を使えません。暗記で勝負する分野です。横切り船の航法は出現4回で鉄板10位。

 

安全・防災

消火設備、救命器具、海中転落者の操船、酸欠が起こりやすい場所と対処法など。

4級は船長職もできる資格です。安全に関する基本的な事項を答えられないと致命的と判断されます。「わかりません」の即答は最も印象が悪くなるパターンです。

 

六法問題(六法使用可)

船員法・船員労働安全衛生規則の条文を六法で引いて答える問題です。給水ホース、船長の在船義務、操練の実施、海技免状の更新、船舶検査の種類など。

六法を引ければ確実に得点できるボーナスゾーンです。索引の使い方を事前に練習しておけば、ここで落とすことはまずありません。

 

英語術語

「投錨の宙吊り、英語で?」(cockbill)、「浮力の英語は?」(buoyancy)など、唐突に聞かれます。事前準備なしではまず出てきません。

 

受験地で出題傾向が違う

69問のデータを受験地別に分析した結果、受験地ごとに出題の「癖」がある可能性が見えてきました。

横浜──ホワイトボードを使う問題が出やすい(ランニングフィックス、GM、航路図)。海図の読み取りはほぼ毎回。

博多──オートパイロットの調整が高頻度。方位標識のトップマークも毎回。灯火カード問題の報告あり。

福岡──誤差三角形が繰り返し出題。海図図式の細かい記号まで聞かれる。コックビル・走錨検知は全員に出たレポートあり。

高松──安全系が充実(火災防止・酸欠・海中転落者操船)。船体部材をWBで描く問題あり。

近畿──水路書誌系が充実。消火設備・救命器具も出ている。

自分が受ける受験地の傾向を知っておけば、対策の優先順位を調整できます。

 

対策の方向性

ここでは筆者が実際にやった対策法の概要を紹介します。

 

AIチャットで模擬練習する

ChatGPTなどのAIチャットに「口述の試験官役をやって」と指示して、1問ずつ声に出して答える練習です。

「知っている」を「言える」に変換するための方法として、非常に効果的でした。

ただし注意点が1つ。AIが出す模範解答には不正確な部分が混ざることがあります。特に法規の条文番号や専門用語の定義は、必ず海技試験六法や公式テキストで裏取りしてください。AIは「勉強の効率化ツール」であって、「唯一の情報源」にしてはいけません。

 

暗記カードアプリで反復する

模範解答をAnki(暗記カードアプリ)に入れて繰り返し回すのも有効です。AIに「AnkiにインポートできるTSV形式で出力して」と頼めば、そのまま取り込める形で出してくれます。

模擬練習で詰まった問題だけを「再学習」に入れて重点的に回すと効率が上がります。

 

ホワイトボードで描く練習もやっておく

口述の対策というと「暗記」と「声に出す練習」に集中しがちですが、図を描いて説明する問題は口頭暗記だけでは対応できません。GM・復元力、船体部材の断面図、前線の作図、ランニングフィックスなどは、手を動かして描く練習を事前にやっておかないと本番で手が止まります。紙とペンで十分なので、声に出しながら描く練習を数回やっておくだけでも違います。

 

六法攻略──索引で引ければ確実に得点できる

六法問題は口述の中で唯一、六法を開いて答えてよい「ボーナスゾーン」です。ここで落とすのはもったいない。

まず大前提として、六法が使える問題と使えない問題を瞬時に判別する必要があります。

六法を使える問題──船員法、船員労働安全衛生規則、船舶安全法、船舶職員及び小型船舶操縦者法など。「飲料水」「保護具」「操練」「在船義務」「船舶検査」のような問題です。

六法を使えない問題──衝突予防法、海上交通安全法、港則法。「横切り船の航法」「来島海峡の速力制限」「防波堤の航法」のような問題です。こちらは暗記で勝負するしかありません。

本番で「今の質問、六法を開いていいのか?」と迷うと時間を浪費します。上の区分を頭に入れておけば、六法問題が来た瞬間に索引を開く動作に移れます。

 

攻略の核心は条文番号の暗記ではなく、索引で引くキーワードを覚えておくことです。付箋が貼れない以上、索引から目的の条文にたどり着く練習を事前にやっておかないと、本番で焦って時間を浪費します。

たとえば4級でよく出る索引ワードを2つだけ紹介します。

「飲料水」で索引を引くと、船員労働安全衛生規則の水質検査・給水設備に関する条文が出てきます。

「保護具」で引くと、安全帽・安全靴等の使用義務に関する条文にたどり着けます。

本番では「索引を開く→キーワードで条文を見つける→見出しを読む→要旨を1文で言う→以上です」の流れで20秒あれば答えられます。

 

残りの索引キーワード8つ+引き方の実践手順、六法を引く5ステップの型はnoteにまとめています。
→ 4級海技士(航海)口述試験の答え方|出題69問の模範解答+鉄板TOP10+受験地別傾向

 

まとめ

この記事のポイント

  • 4級海技士(航海)の合格率は32.1%(筆記+口述の総合)。口述の合格基準は非公開
  • 当日はスーツが無難。持ち物は受験票・筆記用具・六法・問題集
  • 試験官は1名・口頭形式。六法持ち込み可だが予防法・海交法・港則法では使えない
  • 落ちる人の共通パターン:声に出す練習不足、頻出リスト依存、六法が引けない、序盤で折れる、答え方に型がない
  • 69問の分析で鉄板TOP10を特定。うち4つはよく出回るリストに載っていない
  • 受験地(横浜・博多・福岡・高松・近畿)で出題傾向が異なる可能性がある
  • 六法は索引キーワードを覚えれば確実に得点できるボーナスゾーン

 

口述試験に落ちた人も、これから受ける人も、やるべきことは同じです。「声に出して答える練習」と「六法を引く練習」、この2つに時間を使えば合格ラインは超えられます。

 

出題69問の模範解答+20秒回答カード、鉄板TOP10の完全攻略、受験地別傾向(横浜・博多・福岡・高松・近畿)、六法攻略法、AI勉強法、直前チェックリスト、頻出問題リスト130問の完全版はnoteで公開しています。
→ 4級海技士(航海)口述試験の答え方|出題69問の模範解答+鉄板TOP10+受験地別傾向

※この記事は筆者の実体験に基づいています。口述試験の出題は受験時期・地域・試験官により異なります。本記事の情報は対策の参考としてご活用ください。

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