

この記事はこんな方におすすめ
- 「船乗りの彼氏と付き合ってるけど結婚して大丈夫?」
- 「船員だけど出会いがなくて結婚できる気がしない」
- 「船乗りとの結婚生活ってどんな感じか知りたい」
- 「子育てやお金の管理が不安」
- 「結婚を機に船種を変えるべきか迷っている」
この記事は、筆者自身の内航船員5年・3社の経験と、同僚や掲示板・SNSで集めた船員家庭のリアルな声をもとに構成しています。
※外航と内航では勤務サイクルや通信環境が大きく異なります。この記事は主に内航船員の視点で書いています。
結論:船乗りの結婚は「無理ではないが、陸と同じ感覚だと破綻する」
先に結論を言うと、船乗りでも結婚はできるし、うまくいっている夫婦はたくさんいます。
ただし、陸の夫婦と同じ感覚で生活しようとすると確実に破綻します。乗船中は家にいない。休暇の日程は直前まで確定しない。子供の行事にも出られないことがある。この前提を夫婦で共有できているかどうかが、すべての分かれ目です。


「デメリット2倍」は正直なところです。でも裏を返せば、会えない時間がある分、会えたときの喜びが大きいのも事実。休暇のたびに新鮮な気持ちになれるという声もあります。
一方で、結婚後に後悔する声があるのも現実です。

「船員としての人生」と「家庭人としての人生」の両立は簡単ではありません。だからこそ、事前に現実を知っておくことが大事です。

船乗りとの出会い──そもそもどこで出会うのか
船員にとって最大の壁は出会いの少なさです。乗船中は基本的に男性しかいませんし、港にいても自由時間は限られます。

実際に結婚している船員の出会いパターンは、大きく分けて以下の3つです。
① 学生時代の交際相手と結婚
船員になる前から付き合っていた相手とそのまま結婚するパターン。最も多い印象ですが、注意点もあります。

船に乗る前は毎日会えていたのに、結婚後は数ヶ月会えない生活になる。このギャップに耐えられるかどうかが鍵です。
② 休暇中・陸上勤務中の出会い
休暇中にマッチングアプリや合コンで出会うパターン。まとまった休暇が取れる船員は、その期間を集中的に婚活に使えるメリットがあります。
ただし、休暇中に付き合い始めても、乗船が始まるとすぐに遠距離になります。「待つことに耐えられるか」を付き合う段階でお互いに見極める必要があります。
③ 社内結婚
同じ船会社の陸上スタッフや、関連業界の人との結婚。筆者の周りでは、このパターンが一番うまくいっている印象です。

船員の仕事を理解した上で結婚しているので、「こんなはずじゃなかった」が起きにくい。筆者の知り合いにも、事務員さんと結婚してうまくやっている人が複数います。
付き合う・遠距離の現実


内航船の場合、日本沿岸を走っているので1日の大半は電波が入ります。ビデオ通話ができることも珍しくありません。これは外航と大きく異なるポイントです。
外航の場合は衛星通信に頼るため、通信速度が遅く費用も高い。数日間連絡が取れないこともあります。

これは本当にそう。パートナー側に「一人の時間を楽しめる力」があるかどうかは、船員との恋愛・結婚で最も重要な要素の一つです。
もう一つの問題は休暇の日程が直前まで確定しないこと。下船日が急に延びたり、逆に前倒しになることもあります。

旅行の予約が取りづらく、友人との約束も立てにくいので、パートナー側にはかなりの柔軟性が求められます。
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結婚のタイミングと手続き
船員の結婚で地味に困るのが手続きのタイミングです。
婚姻届の提出は片方だけでも可能なので、乗船中でもパートナーに提出してもらえます。ただし結婚式となると、休暇に合わせるしかありません。
筆者の周りで多いパターンは「まず入籍だけ済ませて、式は次の長期休暇に合わせる」というもの。結婚式を挙げない選択をしている船員も少なくありません。
会社への届け出も必要です。結婚すると扶養手当や家族手当がつく会社もあるので、忘れずに手続きしましょう。筆者の経験上、会社によっては経理に直接連絡する必要があるので、事前に確認しておくのがおすすめです。
子育てとワンオペ育児
船員の結婚で最も大きな課題は子育てです。乗船中は物理的に育児に参加できません。
パートナー側から見ると、ほぼシングルマザー(シングルファザー)のような状態になります。
筆者の周りでも、知恵袋やガルちゃんなどの掲示板でも、「ワンオペがきつい」という声は非常に多いです。特に深刻なのは「緊急時に相談すらできない」という点。子供が急に熱を出しても、乗船中の夫には電話が通じないこともあります。
さらに、長期間家を空けていると子供との関係にも影響が出ます。
掲示板では「3歳まで父親にギャン泣きされる」という声もあり、これはかなりきつい。
パートナーの本音は、もっとストレートです。

これは掲示板で奥さん側の声として紹介されていたものです。稼いでくれるのはありがたい。でも子供が小さいうちは「お金より時間」が欲しい──この気持ちを理解できるかどうかが、夫婦関係の分かれ目になります。
育休は取れるのか?
船員の育休については、業界内でも意見が真っ二つに分かれます。


後者のような価値観がまだ業界の多数派なのが現実です。制度として育休が整備されていても、「取れる雰囲気ではない」という船が圧倒的に多い。
ただし、これは業界全体がゆっくり変わりつつある部分でもあります。最初から「育休は無理」と決めつけず、会社の制度や先例を確認しておくのは無駄ではありません。
ワンオペを乗り切るコツ
筆者の同僚で子育てがうまくいっている人に共通しているのは、パートナーの実家の近くに住んでいることです。
義実家ではなくパートナー側の実家。これが非常に重要です。いざという時に頼れる人が近くにいるかどうかで、ワンオペの負担はまったく違います。
船員の子育てで意識すべきこと
- 住む場所はパートナーの実家の近くがベスト
- 乗船中は「何もできない」前提で役割分担を決めておく
- 電波が入る時間帯を共有して、定時連絡の習慣を作る
- 休暇中は子供との時間を最優先にする
お金の管理──高収入の落とし穴
船員は陸の同年代に比べて収入が高い傾向があります。乗船中は食費もかからないので、貯金しやすい環境ではあります。
しかし、高収入ゆえの落とし穴もあります。

これは冗談半分・本気半分です。船員の給料を「妻が全額管理して夫は小遣い制」というパターンは多いのですが、度が過ぎると夫婦関係が壊れます。

筆者が聞いた話では、妻が過度に貯蓄して夫の小遣いを月3万円に絞り、仕事の交際費もガソリン代もその中でやりくりさせた結果、精神的に追い詰められて離婚に至ったケースがあります。
逆に、休暇中に散財しすぎるパターンも。乗船中にお金を使う機会がないので、休暇になると財布のヒモが緩みがちです。
お金の管理で大事なのは「お互いが納得できるルールを決めておくこと」。給料に見合った生活費・貯金・自由に使えるお金のバランスを、結婚前に話し合っておくことをおすすめします。
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結婚を機に船種を変える・転職する
結婚や子供の誕生を機に、勤務サイクルの短い船や日帰りの船に転職する船員は少なくありません。
既婚船員の中には、本当は辞めたいけれど家族を養うために乗り続けている人もいます。

「辞める」か「続ける」かの二択ではなく、船種を変えるという第三の選択肢を知っておくと、気持ちが楽になります。
日帰りの船に転職する
タグボート、短距離フェリー、港内作業船などは日帰り勤務の船が多く、毎日家に帰れます。給料は長距離航行の船より下がることが多いですが、家庭との両立を優先するなら有力な選択肢です。
筆者の知り合いにも、結婚を機に日帰り船に転職した人がいます。
勤務サイクルの短い船に移る
内航フェリーの中には「1週間乗船→1週間休暇」のサイクルで回している会社もあります。3ヶ月乗船の貨物船に比べれば、家族と過ごす時間は格段に増えます。
陸上職への転職
海務監督、配船、営業、海事代理士など、免状や乗船経験を活かせる陸上の仕事もあります。ただし、陸上職に転職すると収入は大幅に下がるのが一般的。船と陸の収入差を理解した上で判断しましょう。

結婚を機に転職を考えている方へ
転職先の探し方や会社の選び方、面接で確認すべきポイントなど、筆者が3社を経験して分かった内航船員のリアルをnoteにまとめています。
女性船員の結婚事情
近年は女性船員も増えてきていますが、結婚となると特有の課題があります。
女性区画が整備されていない船では、結婚を機に退職せざるを得ないケースがあるのが現実です。制度としては男女平等でも、物理的な環境が追いついていない会社はまだ多い。
また、船員カップルが同じ会社で働く場合、配乗上の制約が発生することもあります。同じ船に夫婦で乗ることを禁止している会社もあれば、逆に同じ船に乗せてくれる会社もあり、対応はさまざまです。
女性船員で結婚を考えている場合は、事前に会社の制度や先例を確認しておくことをおすすめします。
まとめ
この記事のポイント
船乗りの結婚は可能。ただし陸とは違うルールがある
・「乗船中は家にいない」を前提に、夫婦で役割分担を決めておく
・パートナーには「一人の時間を楽しめる力」が求められる
・住む場所はパートナーの実家の近くがベスト
出会いの少なさは最大の壁
・学生時代の交際相手、休暇中の婚活、社内結婚が主なパターン
・社内結婚は仕事への理解がある分、うまくいきやすい傾向
お金と子育てが最大の課題
・ワンオペ育児の覚悟は必須。実家の近くに住むのが現実的な対策
・育休は制度があっても「取れる雰囲気ではない」のが現実。ただし変わりつつある
・お金の管理はルールを決めておく。過度な貯蓄も散財もNG
ライフステージに合わせて船種を変える選択肢もある
・日帰り船(タグ・短距離フェリー)への転職
・子供が大きくなるまでは短距離、その後また長距離に戻るキャリアプランも


※この記事は筆者の3社勤務経験、および掲示板・SNS上の船員家庭の声をもとに構成しています。結婚・子育て・お金の事情は個人・会社・船種によって異なります。
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