この記事はこんな方におすすめ
- 「4級海技士(機関)の筆記試験、何から勉強すればいいかわからない」
- 「四級機と四級内、どっちを受けるか整理したい」
- 「乗船しながら限られた時間で効率よく合格したい」
- 「過去問を解いてるけど、どこが頻出なのか整理したい」
- 「次回の試験で何が出るか、ある程度目星をつけたい」
4級海技士(機関)筆記試験の全体像


試験科目と配点は以下の通りです。
キ1(機関1):2時間30分。四級機=5問×100点=500点 / 四級内=4問×100点=400点
キ2(機関2):2時間。3問×100点=300点
キ3(機関3):1時間30分。2問×100点=200点
シ(執務一般):1時間30分。2問×100点=200点
この記事では、直近12回分の過去問(R5年4月期~R8年2月期)を全問分析し、科目別の頻出テーマと効率的な勉強法をまとめました。
4級は5級と比べて出題バリエーションが若干広いですが、それでも12回分を並べると明確なローテーションパターンが見えてきます。「何が繰り返し出ているか」を把握してから過去問に取り組むのが圧倒的に効率がいいです。
四級機と四級内の違い|どっちを受けるべきか


四級機と四級内の試験範囲の違いは以下の通りです。
【キ1(機関1)の選択問題】
四級機:問1, 2, 3, 4, 6(500点)→ 蒸気タービン+ガスタービン(問1)+2胴D形水管主ボイラ(問4㈡)が追加
四級内:問2, 3, 5, 6(400点)→ 主ボイラなし。代わりに補助ボイラ(問5㈡)が出題
キ2・キ3・シ(執務一般)は完全共通です。
5級と同じ構造ですが、4級の四級機は蒸気タービンの問題が本格的です。5級ではガスタービンだけでしたが、4級ではSTプラント系統図やST断面図の部品名まで問われます。ただし、出題パターンは7種類しかなく、すべて暗記可能です。
四級内は補助ボイラが追加されますが、こちらも8パターンの繰り返しなので対策しやすいです。
キ1(機関1)の頻出テーマと勉強法


問1㈠(四級機のみ):蒸気タービン
問1㈠は蒸気タービンに関する問題で、四級機のみが回答します。12回分析した結果、7パターンでローテーションしています。
◆ 最頻出:STプラント系統図(語群選択)
12回中3回出題で最多。船用蒸気タービンプラントの系統図が示され、⑦〜⑤の機器名を語群(①主給水ポンプ ②エコノマイザ ③第3段給水加熱器 ④第1段給水加熱器 ⑤復水ポンプ ⑥デアレータ)から選ぶ形式です。加えて「真空ポンプの役目は何か」「タービンから流れる蒸気を何というか(→抽気蒸気)」が問われます。
語群と配置の組み合わせを丸暗記すれば確実に取れます。
◆ STプラント復水装置系統図
2回出題。①のポンプ名称、②③の名称、④⑤の管内を流れる水の出所、主復水器内の空気排除が必要な理由を問われます。
◆ ST主機の一部の図(語群→形式名+高圧or低圧)
2回出題。A〜Dの名称を語群(①ノズル ②ロータ ③動翼 ④静翼)から選び、「この形式のタービンの名称は何か(→衝動タービン)」「前進タービンの高圧側か低圧側か(→低圧側)」を答えます。
◆ ST断面図(部品名)
2回出題。A〜Dが動翼・ノズル・ラビリンスパッキン・仕切板(ダイヤフラム)のどれかを答え、E部分の蒸気名称(→漏洩蒸気)を答えます。
◆ その他(各1回)
ST主復水器(真空装置名・器内圧力変化・構成要素役目)、ST主機潤滑装置管系統図、ST危急遮断装置の作動状態5つ。
問1㈡(四級機のみ):ガスタービン
12回中8回が「性能及び構造上で要求される事項をあげよ」という記述問題です。対象が「圧縮機」「燃焼器」「タービン」の3つでローテーションしています。
この3つの要求事項をそれぞれ暗記すれば、㈡はほぼ確実に取れます。
圧縮機の要求事項:効率が高いこと、安定運転範囲が広いこと、翼の汚れに強いこと、小形軽量であること
燃焼器の要求事項:燃焼効率が高いこと、圧力損失が少ないこと、出口温度分布が均一であること、始動が容易であること、不完全燃焼を起こさないこと
タービンの要求事項:高温高圧ガスに耐える材料を使用すること、翼の冷却が十分であること、効率が高いこと、振動が少ないこと
残りの4回は、GT圧縮機の形式(軸流・遠心)、GT特徴穴埋め、GT構成要素穴埋め、航空転用形GT図の部品名です。
問2(共通):ディーゼル機関の性能・構造
問2は四級機・四級内の両方が回答する共通問題です。
◆ 最頻出:点火順序
12回中3回出題。以下の3点がセットで出ます。

(1) 多シリンダ機関の点火順序は、どのようなことから定められているか
→ 各シリンダの燃焼圧力がクランク軸に均等に作用するよう、また軸受の負荷が均一になるよう、各シリンダの爆発間隔が等しくなるように定められている
(2) 6シリンダ機関の点火順序が1-5-3-6-2-4の場合、○番シリンダが上死点にあるとき、同時に上死点にあるシリンダは何番か
→ 1番と6番、2番と5番、3番と4番がペア
(3) ○シリンダ機関の場合、点火の間隔はクランク角度で何度か
→ 4サイクルの場合=720°÷シリンダ数(8シリンダなら90°、5シリンダなら144°)
◆ 超頻出:シリンダライナ関連
㈡や㈢で12回中6回以上何らかの形で出題されています。摩耗、冷却水漏れ防止、冷却水温度が高過ぎる害、ライナ形が一体形に比べ優れている点、低速運転困難になる理由──いずれも頻出です。
◆ 機械効率・熱効率
4択(正しいもの/正しくないものを選べ)と穴埋めの両方で出ます。「機械効率=軸出力÷図示出力」「低負荷になるほど機械効率は低くなる」が定番の正解ポイントです。
◆ その他(各1〜2回)
圧縮比、シリンダ供給空気量(理論空気量・空気過剰率)、連接棒ボルト4択、行程穴埋め、クランクアーム開閉作用、燃料噴射圧穴埋め、ピストンリング、シリンダヘッド、ディーゼルノック、シリンダ注油。
問3(共通):ピストン・主軸受・クランク軸・燃料噴射ポンプ等
◆ 最頻出:主軸受
12回中4回出題。図付きで部品名を答えるパターンと、「軸受が発熱するのはどのような場合か」「メタル新替え後のすり合わせ運転要領」を記述するパターンがあります。
◆ ボッシュ式燃料噴射ポンプ
12回中3回出題。図付きで①②③の名称を答えるパターン、突き始め時期の調整方法に関する4択、燃料カムの歯のかみ合わせ位置を変えることでクランク角度何度変わるかの計算が出ます。
◆ ピストンリング
3回出題。合い口隙間の計測方法、運転中の変化と理由、オイルリング作動不良の場合、コンプレッションリングとオイルリングの形状差(略図)が問われます。
◆ 連接棒ボルト(クランクピンボルト)
2回出題。作用する力の穴埋め(締付力・慣性力・遠心力)と、リーマ部ボルトを用いる理由・段をつけて細い径部分を作る理由の記述があります。
問4(四級機のみ):DE運転管理+ボイラ
◆ ㈠(DE運転管理)の頻出テーマ
「機関停止して調べる場合」と「回転速度変動の原因」がそれぞれ2回出題で最多。他に清水冷却装置、始動前ターニング、排気ターービン過給機、始動→燃料切替停止原因、低負荷運転注意、ターニング目的、噴射弁手入れ注意が各1回。
◆ ㈡(2胴D形水管主ボイラ)の頻出テーマ
以下の7パターンが2回ずつ繰り返されています。
① 主蒸気止め弁通気要領
② 安全弁(圧力上昇時の処置手順+吹出しが止まらない原因3つ)
③ 自動制御(押込み送風機の空気量増減・燃料油量の自動制御・燃料危急遮断装置の作動状態)
④ 燃料危急遮断装置の作動状態(③に含まれることも)
⑤ 燃焼装置(エアレジスタの役目・重油加熱器出口温度が高過ぎ/低過ぎの害)
⑥ 圧力の高い順に並べよ(過熱器出口>蒸気ドラム>主給水ポンプ送出し圧)
⑦ プレパージ(定義+行う理由)
問5(四級内のみ):DE運転管理+補助ボイラ
問5㈠は問4㈠と同一(DE運転管理)です。㈡が補助ボイラに変わります。
◆ ㈡(補助ボイラ)の頻出テーマ
8パターンでローテーション。特に以下が2回ずつ出ています。
プライミング:ボイラ水が蒸気とともに激しく持ち出される現象。処置は負荷を減じ、水面を下げ、ボイラ水を底部吹出しする。
ウォータハンマ:蒸気管内に溜まったドレンが蒸気流で急加速され管壁に衝突する現象。防止策はドレン弁を開放し、暖機を十分に行う。
安全弁:漏れは弁座の汚れや弁の当たり不良から発見。封鎖とは試験後に鎖とワイヤで封する操作。
蒸気内管:蒸気ドラム上部に取付。飽和蒸気中の水分を分離する目的。スリット付きパイプ形状。
問6(共通):プロペラ・船尾管・クラッチ
◆ 超頻出:海水潤滑式船尾管
12回中7回出題。4級機関の全テーマの中で最も出題頻度が高いです。
出題パターンは、グランドパッキン方式の穴埋め、シール装置図の部品名語群選択、端面シール図の名称と海水漏入防止方法、ゴム軸受構造2つ、シールリング形の正しくないもの4択、プロペラ軸検査の正しくないもの4択など多岐にわたりますが、「スリーブ」「パッキン押さえ」「支面材」「ランタンリング」「Oリング」「シールリング」等のキーワードを覚えれば対応できます。
◆ プロペラ関連
プロペラ部分名称(図付き)が4回、正誤4択が4回。「羽根前進面」「プロペラボス」「キー溝」「羽根レーキ」の4部分を略図で描けるようにしておいてください。
◆ 油圧多板クラッチ
4回出題。穴埋め問題と図付き問題があり、「スチールプレート」「シンタープレート」「ピストン」「ばね」「油穴」等の名称と、「湿式とはどのような形式か(→潤滑油の中で作動する形式)」が問われます。
キ2(機関2)の頻出テーマと勉強法


問1:ポンプ・油清浄機・冷凍装置・空気圧縮機
◆ うず巻ポンプ(12回中6回)★超頻出
呼び水装置(必要理由・設置場所・コック付呼び水じょうご使用法)が2回、穴埋め(利点=電動機に直結して連続運転・流量調整=回転速度変えず吐出弁)が1回、略図が1回、正しくないもの4択が2回。
◆ 遠心油清浄機(12回中7回)★超頻出
調整板の役目、始動時の振動原因、始動通油時の注意事項3つ、分離できない不純物2つ、穴埋め(水分・スラッジ・きょう雑物を遠心力で分離+封水供給+温度変化→分離線移動→調整板取替)。
◆ フロン冷凍装置/冷媒(4回)
冷媒の穴埋め問題が定番。「水に溶け【にくい】→膨張弁で【凍結】」「冷凍機油に溶け【やすい】→泡」「火炎→【有害】ガス」。温度自動膨張弁の感温筒の役目も頻出。
◆ 空気圧縮機(4回)
たて形2段空気圧縮機の中間冷却器役目2つ、設置場所、運転中注意事項4つ。2段圧縮の穴埋め(1段で3MPa→高温→潤滑阻害→焼損。2段で中間冷却器→空気も収縮→圧縮効率向上→動力少)。
問2:電気
◆ 同期発電機(4回)
記述パターン:「回転速度は極数のほかに何で決まるか(→周波数)」「励磁電流を増加させると交流の何が変わるか(→電圧が上昇する)」「並行運転中に負荷分担が不均一→配電盤でどう操作するか(→ガバナモータスイッチで原動機回転速度を調整)」
穴埋めパターン:発電原理略図で⑦コイル・④右手の法則・⑨A→B方向・回転電機子形等を語群から選ぶ。
◆ 電気回路計算(4回)
4級では5級にない電気回路の計算問題が出ます。オームの法則(V=IR)、直列抵抗の合成(R=R₁+R₂)、並列抵抗の合成(1/R=1/R₁+1/R₂)、電力(P=V²/R=I²R)を使います。ニクロム線の直列/並列の消費電力計算も出題されています。
◆ 誘導電動機(3回)
「ファンの役目」「長期停止後の始動前確認事項」「電源周波数が低下すると回転速度はどう変化するか(→低下する)」「エアギャップの計測方法」「回転方向の変え方(→3本の電線のうち2本を入れ替える)」「回転磁界が発生するのはどこか(→固定子)」。
問3:計測器具・工具・弁・操舵装置・自動制御等
キ2問3は回によって出題テーマが大きく変わりますが、以下が頻出です。
油圧装置:油圧回路の作動油(内燃機関用LOよりタービン油が適している)、同一仕事量に対する作動油量(高圧式の方が少ない)、油圧ポンプへの空気混入の害。3回出題。
船内工作工具語群選択:「軸心の振れ→ダイヤルゲージ」「穴の深さ→デプスマイクロメータ」「はつり→たがね」「穴の仕上げ→リーマ」。2回出題。
ブルドン管圧力計:指針の振れを小さくする方法、圧力が高くなるとブルドン管がまっすぐになること、連成計が大気圧以下も測定できること。1回出題。
自動制御装置:「電気式=信号伝達に⑦時間の遅れがない+遠距離に④送信できる」「空気式=構造が⑤簡単+故障が⑬少ない」「油圧式=出力が④大きい+耐久性がある」。2回出題。
キ3(機関3)の頻出テーマと勉強法


問1:燃料油・潤滑油・材料・用語
◆ 超頻出:燃料重油(12回中6回)
以下のテーマがローテーションで出ます。
「C重油はA重油と比べてどのような性状の違いがあるか。5つあげよ」→ 粘度が高い、残留炭素分が多い、硫黄分が多い、灰分が多い、引火点が高い
「引火点とは何か。引火点を重視する理由は」→ 燃料油に点火源を近づけたとき蒸気が引火する最低温度。貯蔵上の安全のため高い方がよい
「着火性の良否はどのような項目で比較するか」→ セタン価(セタン価が高いほど着火性がよい)
◆ 超頻出:潤滑油(12回中5回)
「ディーゼル機関用潤滑油(システム油)として必要な性質を5つあげよ」→ ①適正な粘度 ②酸化安定性 ③清浄分散性 ④耐摩耗性 ⑤防錆性
穴埋め:「軸受圧が高い→粘度は【高い】方がよい」「役目=減摩+【冷却】+【防錆】+清浄」「燃料油混入→引火点が【下がる】」「色が薄い→密度は【低い】」
◆ 材料(鋳鉄vs炭素鋼・ホワイトメタル・青銅・銅)
鋳鉄と炭素鋼の比較が2回、ホワイトメタル穴埋めが2回、青銅穴埋めが1回、銅穴埋めが2回。
◆ 用語説明
潜熱と顕熱、摩擦抵抗、絶対温度、比熱、加速度、慣性と慣性力、力の分解と合成、仕事──これらのセットが繰り返し出ます。定義を正確に書けるよう暗記してください。
◆ 船体構造
穴埋め(⑦キール+④船首材+⑨船尾材+⑬フレーム+⑮ビーム)が4回、正しくないもの4択が2回、造船用語説明(重心・トリム・乾舷・浮心・浮力)が6回以上。
問2:材料・非破壊検査・計算問題
キ3問2には毎回計算問題が1問含まれます。4級の計算問題は5級より種類が多く、以下の12パターンが確認されています。
① 箱形タンクの容積・油量計算(2回)
② ウインチの巻上速度・仕事量・動力計算(2回)
③ 油圧シリンダのピストン力・移動速度(1回)
④ クランクピンメタルの軸受圧力計算(1回)
⑤ 燃料タンクの密度混合計算(1回)
⑥ 単動ピストンポンプの送出量計算(1回)
⑦ 鋼材の線膨張・体膨張計算(1回)
⑧ 冷却水ポンプ弁座の水速計算(1回)
⑨ プーリの直径計算(すべり率考慮)(1回)
⑩ 潤滑油冷却器の熱量計算(1回)
⑪ ニクロム線の消費電力計算(1回)※キ2
⑫ 電気回路の合成抵抗・電流・電力計算(4回)※キ2
公式だけ見てもピンとこない人のために、過去問から頻出5パターンの解き方を紹介します。
【例題1】箱形タンクの容積・油量計算(R6/10出題)
縦2.0m、横1.5m、高さ1.8mの箱形の燃料油タンクがある。このタンクに送出し量が毎分20Lのポンプで送油する場合、次の問いに答えよ。
(1) 25分間送油すると油面は何センチメートル上がるか。
(2) 空の状態からタンク容積の70%まで送油するのに要する時間は、何分か。
▼ 解き方
使う公式:容積=縦×横×高さ、1m³=1000L
Step1 タンクの底面積を出す
2.0m × 1.5m = 3.0 m²
Step2 (1) 25分間の送油量を出す
20 L/分 × 25分 = 500 L = 0.5 m³
Step3 油面の上昇高さを出す
0.5 m³ ÷ 3.0 m² = 0.1667 m = 約16.7 cm
Step4 (2) タンク全容積を出す
2.0 × 1.5 × 1.8 = 5.4 m³ = 5400 L
Step5 70%の容積を出して、送油時間を計算
5400 L × 0.7 = 3780 L
3780 L ÷ 20 L/分 = 189分
💡 ポイント:m³とLの変換(1m³=1000L)を最初にやっておくとミスが減ります。底面積さえ出せば、あとは割り算だけ。
【例題2】ウインチの動力計算(R6/4出題)
6tの荷物を8秒間に5mつりあげるウインチの動力は、いくらか。また、その動力を1/2に減少させて3tの荷物を10mつりあげるには、何秒かかるか。
▼ 解き方
使う公式:動力P = 力F × 距離d ÷ 時間t。SI単位系では F = 質量 × 9.8
Step1 力を出す(SI単位系)
6t = 6000 kg → F = 6000 × 9.8 = 58,800 N
Step2 動力を出す
P = 58,800 N × 5 m ÷ 8 s = 36,750 W ≒ 36.75 kW
Step3 動力を1/2にして3tを10m
P' = 36,750 ÷ 2 = 18,375 W
F' = 3000 × 9.8 = 29,400 N
t = F' × d ÷ P' = 29,400 × 10 ÷ 18,375 = 16秒
💡 ポイント:t(トン)をkg→Nに変換するのが最初のステップ。「×9.8」を忘れると全部ずれます。重力単位系(kgf)で解く場合は「×9.8」は不要ですが、SI単位系で解く方が現在の試験では推奨されています。
【例題3】電気回路の合成抵抗・電流計算(R7/4出題)
R₁は4Ω、R₂は5Ω及びR₃は6Ωの3個の抵抗が接続されている場合、回路の合成抵抗は何オームか。また、この両端に24Vの電圧がかかると、回路に流れる合成電流は何アンペアか。
▼ 解き方(並列接続の場合)
使う公式:並列の合成抵抗 → 1/R = 1/R₁ + 1/R₂ + 1/R₃、V = IR
Step1 合成抵抗を出す
1/R = 1/4 + 1/5 + 1/6
= 15/60 + 12/60 + 10/60 = 37/60
R = 60/37 = 約1.62 Ω
Step2 合成電流を出す
I = V ÷ R = 24 ÷ (60/37) = 24 × 37/60 = 14.8 A
💡 ポイント:4級の電気回路計算はオームの法則(V=IR)と直列・並列の合成抵抗だけで解けます。分数の通分が面倒なので、電卓が使えない試験では60や120など最小公倍数を先に出しておくと速いです。
【例題4】鋼材の線膨張・体積計算(R7/4出題)
長さ4m、直径10cmの鋼材が温度17℃から68℃になったときの長さ及び体積を求めよ。ただし、鋼の線膨張率を0.000013℃⁻¹とし、体膨張率は線膨張率の3倍として計算せよ。
▼ 解き方
使う公式:ΔL = L₀ × α × ΔT、体膨張率β = 3α
Step1 温度差を出す
ΔT = 68 − 17 = 51℃
Step2 長さの伸びを出す
ΔL = 4 × 0.000013 × 51 = 0.002652 m = 約2.65 mm
加熱後の長さ = 4 + 0.002652 = 4.002652 m
Step3 元の体積を出す
V₀ = π × (0.05)² × 4 = π × 0.0025 × 4 = 0.03142 m³
Step4 体積の増加を出す
β = 3 × 0.000013 = 0.000039
ΔV = 0.03142 × 0.000039 × 51 = 0.0000625 m³
加熱後の体積 = 0.03142 + 0.0000625 = 約0.03148 m³
💡 ポイント:直径10cm=0.1m→半径0.05mの変換を忘れないこと。「体膨張率=線膨張率×3」は問題文に書いてあるので、そのまま使えば大丈夫です。
【例題5】燃料油の密度混合計算(R6/7出題)
燃料タンクの中に980Lの重油があった。このタンクへ密度880kg/m³の重油1410Lを入れて、よく混合した後の密度は910kg/m³であった。はじめにタンクに入っていた重油の密度は、いくらか。ただし、重油の温度は等しいものとする。
▼ 解き方
使う公式:(V₁ × ρ₁ + V₂ × ρ₂) ÷ (V₁ + V₂) = ρ_mix
Step1 わかっている値を整理する
V₁ = 980 L(元の重油、密度ρ₁ = ?)
V₂ = 1410 L(追加の重油、密度ρ₂ = 880 kg/m³)
ρ_mix = 910 kg/m³
Step2 公式に代入して方程式を立てる
(980 × ρ₁ + 1410 × 880) ÷ (980 + 1410) = 910
(980 × ρ₁ + 1,240,800) ÷ 2390 = 910
Step3 両辺に2390を掛ける
980 × ρ₁ + 1,240,800 = 2,174,900
Step4 ρ₁を求める
980 × ρ₁ = 2,174,900 − 1,240,800 = 934,100
ρ₁ = 934,100 ÷ 980 = 約953.2 kg/m³
💡 ポイント:密度混合の公式は「体積×密度=質量」の足し算です。この問題は「元の密度を求めよ」と逆算させるパターンですが、方程式を立てれば中学数学で解けます。Lとm³を混在させないよう、密度の単位がkg/m³なのでLのまま計算しても答えは同じ(体積の比率だけで決まるため)です。

計算問題の公式まとめ
ポンプ送出量:ピストン面積×行程×回転数×効率
熱量:質量×温度差×比熱
仕事率(動力):力×距離÷時間。SI: 力=質量×9.8
軸受圧力:P = F ÷ (d × L)。F=シリンダ面積×シリンダ圧力
線膨張:ΔL = L₀ × α × ΔT。体膨張率=3×線膨張率
密度混合:(V₁×ρ₁ + V₂×ρ₂) ÷ (V₁+V₂) = ρ_mix
電気回路:V=IR、直列R=R₁+R₂、並列1/R=1/R₁+1/R₂、電力P=V²/R=I²R
プーリ:D_A × N_A × (1-s_A) = D_B × N_B × (1-s_B)
シ(執務一般)の頻出テーマと勉強法


問1:当直・入渠・燃料油管理・応急工作
◆ ㈠の頻出テーマ
機関室における航行中の当直交代要領が2回出題で最多。「引継ぎ前に巡視し異常がないか確認」「計器の指示値確認」「運転中の補機・ポンプの状態確認」「ビルジの状態確認」「引継ぎ事項を口頭+機関日誌で確認」等。
その他:出渠時水張り注意事項(2回)、DE船入港機関終了後→停泊状態要領(1回)、急停止→後進指令→処置(1回)、船内燃料油貯蔵タンク内部点検(1回)、寒冷地停泊当直注意(1回)、入渠工事中注意事項(1回)、発電機急停止→処置(1回)、燃料油積込み準備(1回)。
◆ ㈡の頻出テーマ
応急工作が多彩に出ます。ねじ立て(めねじ切り)が2回、ガス溶接が2回、丸棒けがき方法が1回、ダイスでねじ切りが1回、機関日誌が3回、燃料油タンク油漏れ防止が1回。
問2:備品管理・荒天準備・海洋汚染防止・安全作業
機関備品・予備品・消耗品の保管が合計4回で最多。「備品の保管目的」「保管上の注意事項」「消耗品の取扱い注意」。
応急工作(玉軸受取付)が2回。圧入方法の要領と注意事項、焼きばめ方法の要領と注意事項、取付後の作動確認方法。
荒天準備が2回。可動物の固縛、ビルジの排出、燃料油・潤滑油の補給、通風装置の閉鎖、予備部品の固定。
海上油流出処置が2回。オイルフェンスの展張、油吸着材の使用、海上保安庁への通報。
ガス溶接関連作業注意が2回。酸素容器に圧力調整器を取り付ける作業、酸素容器の運搬、めっきしたものの溶接。
アーク溶接安全心得穴埋めが1回。⑦ガラス付きヘルメット/④革手袋/⑨感電防止/⑬アース接続/⑮有害ガス換気。
グラインダ研磨作業注意が2回。保護眼鏡着用、砥石の点検、回転方向確認、研磨中の手袋不使用。
高所作業注意事項が2回。安全帯着用、足場の確認、工具の落下防止。
高電圧設備感電防止穴埋めが1回。ゴム手袋・ゴム管・検電器・100cm以内接近禁止。
大気汚染(SOx/NOx)が1回。SOx=硫黄酸化物、NOx=窒素酸化物、酸性雨=両方、光化学スモッグ=NOx、水エマルジョン燃料→NOx低減。
次回試験の出題予想【R8年4月期】


予想の前提
最終更新:2026年3月(R7年10月期・R8年2月期の出題を反映)
キ1の出題予想
問1㈠(蒸気タービン・四級機)
直近2回:R7/10「STプラント系統図(語群)」、R8/2「ST主機一部図(語群→形式名)」
→ 次回予想:STプラント復水装置系統図が最有力。ST危急遮断装置の作動状態5つも候補。
問1㈡(ガスタービン・四級機)
直近2回:R7/10「GT圧縮機(形式2つ・小形用)」、R8/2「GT圧縮機の性能構造上要求事項」
→ 次回予想:GT燃焼器の性能構造上要求事項が最有力。次点でGTタービンの要求事項。
問2(共通)
直近2回:R7/10「燃料噴射圧穴埋め+シリンダ注油」、R8/2「機械効率穴埋め+ピストンリング」
→ 次回予想:㈠は点火順序が最有力。㈡はシリンダライナ(摩耗・冷却水漏れ防止)が超有力。
問3(共通)
直近2回:R7/10「ピストンピン軸受+連接棒ボルト」、R8/2「主軸受+点火遅れ4択+給気圧低4択」
→ 次回予想:㈠はクランク軸(構造種類・開閉量・亀裂図)が最有力。㈡はボッシュ式燃料噴射ポンプが最有力。
問6(共通)
直近2回は海水潤滑式船尾管が連続出題。
→ 次回予想:㈠はプロペラ正誤4択が有力。㈡は油圧多板クラッチが最有力(直近2回で出ていない)。
キ2の出題予想
→ 問1:うず巻ポンプ(呼び水装置)+フロン冷凍装置+空気圧縮機が候補
→ 問2:同期発電機(回転速度・励磁・並行運転)が最有力。回路計(テスタ)も候補
→ 問3:油圧装置が候補。自動制御装置穴埋めも候補
キ3の出題予想
→ 問1㈠:DE用LO(システム油)必要な性質5つが最有力。C重油vsA重油5つも候補
→ 問1㈡㈢:ホワイトメタル穴埋めまたは水の状態変化穴埋めが候補。摩擦4択は定番
→ 問2計算:箱形タンク計算またはウインチ計算が候補
シの出題予想
→ 問1㈠:機関室航行中当直交代要領が最有力。寒冷地停泊当直も候補
→ 問1㈡:機関室内燃料油タンク油漏れ防止注意事項が候補
→ 問2㈠:機関備品船内保管注意事項が最有力。荒天準備も候補
→ 問2㈡:グラインダ研磨作業注意。大気汚染(SOx/NOx)も候補
乗りながら勉強する人への最短ルート


4級の受験者の多くは、5級取得後に乗船しながら受験する人です。勉強時間は限られています。
4級機関の筆記対策で定番の2冊はこれです。
おすすめ教材
① 四級海技士(機関)800題 問題と解答【2026年版】(成山堂・¥3,300)
→ 直近3年分の過去問を収録。「とにかく過去問を回したい人」向け。この記事の出題分析と合わせて使えば、どの問題を優先すべきかがわかります。
② 海技士4E 解説でわかる問題集(海文堂・¥3,960)
→ 頻出問題を図解+専門用語の補足付きで解説。「丸暗記ではなく理解して覚えたい人」向け。計算問題の解き方も丁寧に載っています。
講習で取得するルートもあります。
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この記事の分析データを活かした最短ルートを提案します。
ステップ1:丸暗記で取れるテーマを先に潰す(全科目共通・3〜4日)
以下の10テーマは回答パターンが固定されています。これだけで全体の3割以上をカバーできます。
→ 海水潤滑式船尾管の各種パターン(キ1-問6)
→ うず巻ポンプの呼び水装置3問答(キ2)
→ 遠心油清浄機の穴埋め(キ2)
→ 同期発電機の基本問答3セット(キ2)
→ 燃料重油の性状5つ+引火点+着火性(キ3)
→ 潤滑油の性質5つ+穴埋め(キ3)
→ 船体構造穴埋め(キール・船首材・船尾材・フレーム・ビーム)(キ3)
→ 自動制御装置穴埋め(電気式・空気式・油圧式)(キ2)
→ フロン冷媒穴埋め(キ2)
→ GT「要求事項」3セット(キ1-四級機のみ)
ステップ2:記述系の頻出テーマを自分の言葉で書く練習(4〜5日)
→ 点火順序(6シリンダ・同時上死点・点火間隔計算)
→ シリンダライナ(摩耗部位・理由・冷却水温害)
→ 主軸受(図→名称・密着害・すり合わせ運転要領)
→ DE運転中機関停止して調べる場合
→ 機関室航行中当直交代要領
→ 荒天準備作業
→ 鋼の焼入れ(温度・冷却方法・表面硬化法)
ステップ3:計算問題の公式確認+例題(1〜2日)
→ タンク容積(縦×横×高さ・1m³=1000L)
→ 熱量(質量×温度差×比熱)
→ 仕事率(力×距離÷時間・SI: 力=質量×9.8)
→ 電気回路(V=IR・直列/並列合成抵抗・電力P=V²/R)
→ 線膨張(ΔL=L₀×α×ΔT)
→ ポンプ送出量(面積×行程×回転数×効率)
ステップ4:過去問を解く(直近6回分で十分)
12回分すべてやる必要はありません。この記事で頻出パターンを把握した上で、直近6回分を通しで解けば十分です。過去問は国土交通省のサイトからダウンロードできます。
四級機の追加(+3日)
→ STプラント系統図語群+復水装置系統図+一部の図の暗記(1日)
→ 2胴Dボイラの7パターン暗記(1日)
→ ST断面図・危急遮断装置の暗記(1日)
四級内の追加(+2日)
→ 補助ボイラの8パターン暗記(1日)
→ 補助ボイラ穴埋め問題の練習(1日)
まとめ
この記事のポイント
- 4級海技士(機関)の筆記試験はキ1・キ2・キ3・シの4科目。すべて記述式
- 四級機と四級内の違いはキ1の選択問題のみ。四級機は蒸気タービン+GT+2胴Dボイラ、四級内は補助ボイラ
- 海水潤滑式船尾管(12回中7回)、遠心油清浄機(7回)、うず巻ポンプ(6回)が3大頻出テーマ
- 計算問題は5級より種類が多い。電気回路計算・線膨張・軸受圧力・密度混合が追加
- 乗りながらの勉強は「丸暗記テーマ→記述練習→計算公式→直近6回の過去問」の順が最効率
- 4級は5級から2ヶ月後に受験可能。取れば転職市場の選択肢が大きく広がる
まず5級から取りたい人、3級に挑戦したい人はこちらもどうぞ。
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※この記事は過去問12回分(R5年4月期〜R8年2月期)の分析に基づいて構成しています。出題傾向は変更される場合があります。最新の試験情報は国土交通省・地方運輸局の公式サイトでご確認ください。