









この記事はこんな方におすすめ
- 「船乗りとの結婚生活ってどんな感じか知りたい」
- 「船員だけど出会いがなくて結婚できる気がしない」
- 「子育てやお金の管理が不安」
- 「結婚を機に船種を変えるべきか迷っている」
この記事は、筆者自身の内航船員5年・3社の経験と、同僚や掲示板・SNSで集めた船員家庭のリアルな声をもとに構成しています。
※外航と内航では勤務サイクルや通信環境が大きく異なります。この記事は主に内航船員の視点で書いています。
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結論:船乗りの結婚は「無理ではないが、陸と同じ感覚だと破綻する」
先に結論を言うと、船乗りでも結婚はできるし、うまくいっている夫婦はたくさんいます。
ただし、陸の夫婦と同じ感覚で生活しようとすると確実に破綻します。乗船中は家にいない。休暇の日程は直前まで確定しない。子供の行事にも出られないことがある。この前提を夫婦で共有できているかどうかが、すべての分かれ目です。


























「デメリット2倍」は正直なところです。でも裏を返せば、会えない時間がある分、会えたときの喜びが大きいのも事実。休暇のたびに新鮮な気持ちになれるという声もあります。
一方で、結婚後に後悔する声があるのも現実です。













「船員としての人生」と「家庭人としての人生」の両立は簡単ではありません。だからこそ、事前に現実を知っておくことが大事です。







結婚前に必ず話しておきたい7つのこと
船乗りとの結婚で一番危ないのは、「好きだから何とかなる」で生活の話を後回しにすることです。船の仕事は、家にいない前提で回すしかありません。
結婚前に最低でも次の7つは話し合っておくべきです。
- ① 連絡頻度──乗船中にどのくらいの頻度で連絡を取るか。電波が入らない時間帯の共有も含む
- ② 緊急時の連絡ルート──船に連絡がつかない時、会社に電話するのか。誰に最初に頼るか
- ③ 住む場所──パートナーの実家の近くか、港の近くか。ワンオペ育児を考えると大きな差が出る
- ④ お金の管理方法──生活費・貯金・自由に使えるお金をどう分けるか
- ⑤ 子供ができた後の役割分担──乗船中は何もできない前提で、パートナー側が何をどこまで担うか
- ⑥ いつ働き方を変えるか──子供が何歳になったら短サイクル船に移る、陸上職を検討する等のタイムライン
- ⑦ 親の支援をどこまで頼るか──祖父母に育児を頼る範囲と頻度の目線合わせ
答えが完璧に決まっていなくても大丈夫です。大事なのは「何が起きたら見直すか」まで決めておくことです。特に⑤と⑥は、結婚前は平気でも子供が生まれてから一気にきつくなるポイントなので、早めに話しておいて損はありません。







船乗りとの出会い──そもそもどこで出会うのか
船員にとって最大の壁は出会いの少なさです。乗船中は基本的に男性しかいませんし、港にいても自由時間は限られます。













実際に結婚している船員の出会いパターンは、大きく分けて以下の3つです。
① 学生時代の交際相手と結婚
船員になる前から付き合っていた相手とそのまま結婚するパターンです。最も多い印象ですが、注意点もあります。













船に乗る前は毎日会えていたのに、結婚後は数ヶ月会えない生活になります。このギャップに耐えられるかどうかが鍵です。
② 休暇中・陸上勤務中の出会い
休暇中にマッチングアプリや合コンで出会うパターンです。まとまった休暇が取れる船員は、その期間を集中的に婚活に使えるメリットがあります。
ただし、休暇中に付き合い始めても、乗船が始まるとすぐに遠距離になります。「待つことに耐えられるか」を付き合う段階でお互いに見極める必要があります。
③ 社内結婚
同じ船会社の陸上スタッフや、関連業界の人との結婚です。筆者の周りでは、このパターンが一番うまくいっている印象があります。













船員の仕事を理解した上で結婚しているので、「こんなはずじゃなかった」が起きにくいのが特徴です。筆者の知り合いにも、事務員さんと結婚してうまくやっている人が複数います。
結婚のタイミングと手続き
船員の結婚で地味に困るのが手続きのタイミングです。
婚姻届の提出は片方だけでも可能なので、乗船中でもパートナーに提出してもらえます。ただし結婚式となると、休暇に合わせるしかありません。
筆者の周りで多いパターンは「まず入籍だけ済ませて、式は次の長期休暇に合わせる」というものです。結婚式を挙げない選択をしている船員も少なくありません。
会社への届け出も必要です。結婚すると扶養手当や家族手当がつく会社もあるので、忘れずに手続きしましょう。筆者の経験上、会社によっては経理に直接連絡する必要があるので、事前に確認しておくのがおすすめです。
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子育てとワンオペ育児
船員の結婚で最も大きな課題は子育てです。乗船中は物理的に育児に参加できません。
パートナー側から見ると、ほぼシングルマザー(シングルファザー)のような状態になります。
筆者の周りでも、知恵袋やガルちゃんなどの掲示板でも、「ワンオペがきつい」という声は非常に多いです。特に深刻なのは「緊急時に相談すらできない」という点です。子供が急に熱を出しても、乗船中の夫には電話が通じないこともあります。
さらに、長期間家を空けていると子供との関係にも影響が出ます。掲示板では「3歳まで父親にギャン泣きされる」という声もあり、これは船員の父親にとってかなりきつい現実です。
パートナーの本音は、もっとストレートです。













これは掲示板で奥さん側の声として紹介されていたものです。稼いでくれるのはありがたい。でも子供が小さいうちは「お金より時間」が欲しい──この気持ちを理解できるかどうかが、夫婦関係の分かれ目になります。
育休は取れるのか?
船員の育休については、業界内でも意見が真っ二つに分かれます。


























後者のような価値観がまだ業界の多数派なのが現実です。制度として育休が整備されていても、「取れる雰囲気ではない」という船が圧倒的に多いと感じます。
ただし、これは業界全体がゆっくり変わりつつある部分でもあります。最初から「育休は無理」と決めつけず、会社に確認しておくのは無駄ではありません。
- 男性で育休を取得した先例があるか
- 子の看護休暇の利用実績があるか
- 育休後の復帰時にどの船・配船になるか
- 短サイクル船や日帰り船へ異動できる余地があるか
「制度があるか」より「使った人がいるか」を聞いたほうが早いです。先例がある会社なら取りやすいですし、先例がなくても聞くこと自体が社内の意識を変える一歩になります。
ワンオペを乗り切るコツ
筆者の同僚で子育てがうまくいっている人に共通しているのは、パートナーの実家の近くに住んでいることです。
義実家ではなくパートナー側の実家。これが非常に重要です。いざという時に頼れる人が近くにいるかどうかで、ワンオペの負担はまったく違います。筆者自身も、パートナーの実家が近いほうが安心だと感じています。
- 住む場所はパートナーの実家の近くがベスト
- 乗船中は「何もできない」前提で役割分担を決めておく
- 電波が入る時間帯を共有して、定時連絡の習慣を作る
- 休暇中は子供との時間を最優先にする
家庭の「緊急時マニュアル」を作っておく
船員家庭で本当に大変なのは、普段のワンオペよりも緊急時です。
子供の発熱、保育園からの呼び出し、パートナー自身の体調不良。こうした事態に乗船中の夫は対応できません。「誰がどこまで動くか」が決まっていないと、一気に詰みます。
乗船前に、家庭用の緊急時マニュアルを1枚でいいので作っておくことをおすすめします。
- 最初に連絡する人(祖父母・近所の知人等)
- 祖父母に頼む範囲と頻度の目安
- 夫に連絡がつかない時の会社窓口(電話番号)
- 保険証・受給者証・母子手帳の保管場所
- かかりつけ医・病児保育・一時預かりの連絡先
病児保育や一時預かりは自治体ごとに制度が異なりますが、多くの市区町村で利用できます。パートナーが倒れた時のバックアッププランまで考えておくと、「何とかなる」と思えるようになります。
ワンオペは気合いで乗り切るものではありません。仕組みで回すという発想が大事です。
お金の管理──高収入の落とし穴
船員は陸の同年代に比べて収入が高い傾向があります。乗船中は食費もかからないので、貯金しやすい環境ではあります。
しかし、高収入ゆえの落とし穴もあります。













これは冗談半分・本気半分です。船員の給料を「妻が全額管理して夫は小遣い制」というパターンは多いのですが、度が過ぎると夫婦関係が壊れます。













筆者が聞いた話では、妻が過度に貯蓄して夫の小遣いを月3万円に絞り、仕事の交際費もガソリン代もその中でやりくりさせた結果、精神的に追い詰められて離婚に至ったケースがあります。
一方で、「乗船中はお金を使わないから休暇で散財する」かというと、実際はそう単純でもありません。乗船中でも酒・たばこ・ギャンブルにお金を使っている既婚船員は少なくないです。「乗ってる間は貯まるでしょ」というパートナー側の思い込みと現実のギャップが、揉め事の原因になることもあります。
家計ルールの決め方
筆者の周りでは、小遣い制にしている船員家庭が多い印象です。乗船中は自分で支払いや家計管理ができないので、パートナーに任せるほうが現実的という事情もあります。
ただし、小遣い制がうまくいくかどうかは金額とルール次第です。
- 口座を「生活費」「貯金」「自由に使うお金」の3つに分ける
- 休暇中の遊び予算を先に決めておく(上限を共有する)
- 10万円以上の出費は事前に相談する
- 乗船中の酒・たばこ等の個人消費もルールに含める
お金の管理で大事なのは「お互いが納得できるルールを決めておくこと」。結婚前に話し合っておくのがベストですが、生活が始まってからでも遅くはありません。半年に1回は見直す習慣があると、不満が溜まる前に修正できます。
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結婚を機に船種を変える・転職する
結婚や子供の誕生を機に、勤務サイクルの短い船や日帰りの船に転職する船員は少なくありません。
既婚船員の中には、本当は辞めたいけれど家族を養うために乗り続けている人もいます。













「辞める」か「続ける」かの二択ではなく、船種を変えるという第三の選択肢を知っておくと、気持ちが楽になります。
日帰りの船に転職する
タグボート、短距離フェリー、港内作業船などは日帰り勤務の船が多く、毎日家に帰れます。給料は長距離航行の船より下がることが多いですが、家庭との両立を優先するなら有力な選択肢です。
筆者の知り合いにも、結婚を機に日帰り船に転職した人がいます。
勤務サイクルの短い船に移る
内航フェリーの中には「1週間乗船→1週間休暇」のサイクルで回している会社もあります。3ヶ月乗船の貨物船に比べれば、家族と過ごす時間は格段に増えます。
陸上職への転職
海務監督、配船、営業、海事代理士など、免状や乗船経験を活かせる陸上の仕事もあります。ただし、陸上職に転職すると収入は大幅に下がるのが一般的です。船と陸の収入差を理解した上で判断しましょう。
「家庭と両立できる会社か」を見極めるポイント
転職を考えるとき、給料だけで選ぶと失敗しやすいです。結婚や子育てとの両立を重視するなら、面接や情報収集で以下のポイントを確認しておくと判断しやすくなります。
- 平均乗船日数と休暇の決まり方
- 乗船延長の頻度
- 通信環境(家族との連絡のしやすさ)
- 既婚者や子持ちの船員がどれくらいいるか
- 育休や看護休暇を取った先例があるか
- 将来的に短サイクル船や日帰り船へ異動できる余地があるか
正直なところ、既婚者比率や育休先例を面接で確認する船員はまだほとんどいません。業界全体がそこまで追いついていないのが現状です。でも、聞かれる回数が増えること自体が業界を変える力になるので、遠慮せずに聞いてみてください。
地方に住んでいると船種の選択肢が限られ、給料を優先せざるを得ないケースもあります。そういう場合は「今の船に乗りながら、次の条件を整える」というステップを踏むのも現実的な判断です。







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近年は女性船員も増えてきていますが、結婚となると特有の課題があります。
女性区画が整備されていない船では、結婚を機に退職せざるを得ないケースがあるのが現実です。制度としては男女平等でも、物理的な環境が追いついていない会社はまだ多いと感じます。
また、船員カップルが同じ会社で働く場合、配乗上の制約が発生することもあります。同じ船に夫婦で乗ることを禁止している会社もあれば、逆に同じ船に乗せてくれる会社もあり、対応はさまざまです。
女性船員で結婚を考えている場合は、事前に会社の制度や先例を確認しておくことをおすすめします。
うまくいく夫婦・きつくなる夫婦の分岐点
最後に、筆者が同僚の家庭を見てきた中で感じる「分かれ目」をまとめます。
- パートナーが「乗船中は不在」を前提に生活を設計できている
- パートナーの実家や地域支援が近くにある
- 休暇中に家族の時間を最優先にしている
- お金のルールが結婚前〜早い段階で決まっている
- 下船日がずれるたびに大きな喧嘩になる
- 家計ルールが曖昧で、不満が溜まっている
- パートナーの近くに頼れる人がいない
- 子供が生まれても働き方を変える気がない
どちらに当てはまるか、パートナーと一緒に確認してみてください。きつい側に当てはまるものがあっても、気づいた時点で修正すれば間に合います。
まとめ
この記事のポイント
- 船乗りの結婚は可能。ただし「乗船中は家にいない」前提の役割分担が必須
- 結婚前に連絡頻度・住む場所・お金・子育て・働き方の7項目をすり合わせておく
- 出会いの少なさは最大の壁。社内結婚はうまくいきやすい傾向
- ワンオペ育児の覚悟は必須。住む場所はパートナーの実家の近くがベスト
- 緊急時マニュアルを1枚作っておくだけでワンオペの安心感が違う
- 育休は「制度があるか」より「使った人がいるか」を会社に確認する
- お金の管理はルールを決めておく。口座を分けて休暇予算も先に共有
- ライフステージに合わせて船種を変える選択肢もある










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※この記事は筆者の3社勤務経験、および掲示板・SNS上の船員家庭の声をもとに構成しています。結婚・子育て・お金の事情は個人・会社・船種によって異なります。