

この記事はこんな方におすすめ
- 「どの船種に就職しようか迷ってる」
- 「船種ごとの乗船サイクルや荷役の違いを知りたい」
- 「転職先の船種を検討中」
- 「フェリーとタンカーどっちがいい?って聞かれて答えられない」
※この記事の内容は現役・元船員の口コミをもとにした一例です。会社や時期によって異なりますので参考程度にしてください。
船種を比較するときに見るべき3つのポイント
船種を選ぶときに気にしたいポイントは大きく3つあります。
① 乗船サイクル ── 何日乗って、何日休めるか
② 荷役の負担 ── 自分たちで荷物を積み下ろすか、しないか
③ 生活の自由度 ── 港で上陸できるか、住む場所を選べるか
この3つを軸に、船種ごとに見ていきます。
フェリー
フェリーは毎日同じ港に出入りする「定期航路」の船です。ダイヤが決まっていて、時間通りに出港して時間通りに入港します。
乗船サイクルは、短いところで「1週間乗船・2〜3日休暇」、長いところで「20日乗船・10日休暇」くらい。他の船種に比べてサイクルが短いのが最大の特徴です。
荷役については、士官が直接荷役することはほとんどありません。バラスト調整、台数チェック、ステベの監視がメインです。
一括公認制度(会社の在籍期間がそのまま乗船履歴になる制度)が使えるので、上級免状が比較的早く取れるのも大きなメリットです。
ただし居住地の指定がある会社が多い点は注意。乗下船のサイクルが短い分、寄港地の近くに住む必要があります。長距離フェリーだと「どこ住みでもOK」のところもあるので、気になる会社には直接聞いてみましょう。
大型フェリーで士官になるなら、2級筆記は最低でも必要です。中途で甲板員として入る場合でも、大手だと3級を求められることがあります。
フェリーの口コミ





石油タンカー(油槽船、Tanker、Oil Carrier)
タンカーは求人が多くて、新卒でも中途でも入りやすい船種のひとつです。
乗船サイクルは、内航の場合「3〜4ヶ月乗船・1ヶ月休暇」が一般的。仮バースはほとんどない船もあります。
荷役は自分たちで行います。覚えることは多いですが慣れれば体が動くようになります。
タンカーで知っておくべきなのが「社船」と「グループ船」の違いです。
例えば「○○タンカー」のファンネルマークを付けた船が100隻あったとします。このうち○○タンカー自体の船は実は数隻だけで、残りは個人船主がオーナーの「グループ船」です。
○○タンカーに入ってもグループ船の会社に入ってもタンカーとしての仕事内容は同じ。でも給料・休暇・福利厚生は会社によって全然違います。
就活の時にこの仕組みを知らないと、あとから「同じ船に乗ってるのに待遇が違う…」ってなるので注意してください。
石油タンカー船の口コミ






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ケミカルタンカー (Chemical Tanker)
ケミカルタンカーは化学薬品や油脂類を運ぶ船です。石油タンカーと比べて荷役が複雑で、タンククリーニングの作業が加わるのが特徴です。
ケミカルタンカーの口コミ





セメント・タンカー(Cement Carrier)
セメント船は本船荷役(船の設備で荷役する)の船種です。大型は24時間稼働で昼夜問わず荷役しますが、荷役はワッチ制なのでワッチ外の時間は買い物に行けたりします。
セメント船の口コミ












ばら積み貨物船(Bulk Carrier、Bulker)
バラ積み船はトン数と航路で生活がかなり変わります。内航8,000トンクラスだと、乗船サイクルは「3〜4ヶ月乗船・1ヶ月休暇」で仮バースなし。荷役中は部員・士官関係なく1人当直、荷役時間は半日前後。アンカー中は全員で整備作業。昼夜問わず出入港する生活です。
ばら積み船の口コミ









コンテナ船(Container Ship)
コンテナ船は1日に何港も寄ることがあり、入出港の頻度が非常に高い船種です。荷役自体はガントリークレーンで行うので手作業ではありませんが、接岸・離岸の準備(ロープ出し)が頻繁にあります。
特に京浜エリアのコンテナ船はかなり忙しいとされています。
コンテナ船の口コミ






RORO船(ロールオン・ロールオフ貨物船)
RORO船は車両甲板を持つ貨物船です。
士官の荷役負担が比較的軽いのが特徴で、荷役当直はしますが荷役作業自体はしません。バラスト調整、台数チェック、ステベの監視が主な仕事。仮バースはほぼありません。
キャリア面では、海技学校卒でも上級免状を取れば部員から士官→船長も可能。会社によって3級で十分なところもあれば2級を求めるところもあります。
RORO船の口コミ







タグボート
タグボートは他の船種と生活スタイルが根本的に違います。港を拠点にした日帰り勤務が基本で、長期乗船はありません。ただし曳航もやる会社だと数日〜数週間離れることもあります。
荷役はなく、大型船の入出港の補助がメインです。
ハーバー専門の会社と曳航もやる会社で給料の水準がかなり違うので、そこは事前に確認しましょう。
タグボートの口コミ




供食のパターンは会社によって違って、こんな感じに分かれます。
- 若手が毎日作る(一番大変)
- 乗組員のローテーション
- 司厨がいる(タグでは珍しい)
- 昼は各自で買いに行く
また、タグ業界には暗黙のルールがあって、同じ港のタグ協会に加盟する会社間では直接の転職が嫌がられる傾向があります。「一社間を挟まないと、採りたくても採れない」という声も。なかには操舵スタンドの舵とエンジンレバーの配置をわざと左右逆にして人材流出を防いでいる会社もあるらしいです。
とはいえ法的な制約はないので、興味のある会社には直接聞いてみるのが一番です。
調査船
調査船は商船とまったく別の世界です。国が絡んだ仕事が多く、民間の貨物船に比べるとかなり落ち着いた環境で働けます。
女性が働きやすい船種としても知られていて、司厨部や調査部には女性がそこそこいるとのこと。
ただし調査船→商船(特に外航)の転職は難しいと言われています。荷役の経験がない分、商船に移った時のギャップが大きいからです。逆に商船→調査船は比較的しやすいです。
「将来は商船にも乗りたい」なら、先に貨物船で経験を積んでから調査船に移る方がキャリアの選択肢は広がります。
待遇面では、GODI(日本郵船系列)、三井海洋開発、海洋技術開発あたりが良いとされますが、入社のハードルも高いです。
調査船の口コミ





その他の船種
バンカー船(燃料補給船)
バンカー船は他の船に燃料を届ける仕事です。港を拠点にした日帰り勤務で、タグボートと似た生活スタイル。
甲種危険物取扱者は入社時に持っていなくても大丈夫。入社後に会社負担で取得するのが一般的です。タンカー未経験者でも応募できます。


LPG船(液化ガス船)
プロピレンやブタンなどの液化ガスを運ぶ船。荷役の仕組みが石油タンカーとまったく異なり、「スリップチューブ」という特殊な計測を行うなど、独特の技術が求められます。

客船
操船技術に加えて接客やホスピタリティも求められる特殊な世界です。運航会社がサービス会社を兼ねているケースもあり、求人の探し方が他の船種と違うことがあります。
客船→商船の転職はギャップが大きいと言われています。特に甲板部は荷役経験がないため苦労するとのこと。

冷凍運搬船
特にマグロを運ぶ船はかなり過酷。マイナス60℃の船艙での作業を伴い、洋上でマグロ漁船と接舷して乗組員が手で積み付けます。

オーシャンタグ

自動車運搬船


ガット船

浚渫船・港湾工事船
「土日休みの船はないの?」という質問に対して候補に挙がるのがこの船種。工事業者が土日に稼働しないため、船も休みになるケースがあります。
ただし海洋工事のリグなどでは「船上作業員」扱いの求人になる場合があり、乗船履歴が加算されないことがあるので事前確認が必須です。

【比較表】船種別ざっくりまとめ
| 船種 | 乗船サイクル | 荷役負担 | 居住地 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| フェリー | 1〜3週間交代 | 監視のみ | 指定あり多 | スケジュール過酷、休日多い |
| 石油タンカー | 3〜4ヶ月+1ヶ月休 | あり | 自由 | 社船vsグループ船に注意 |
| ケミカルタンカー | 3〜4ヶ月+1ヶ月休 | あり+TC | 自由 | タンククリーニングが追加 |
| セメント | 会社による | 本船荷役 | 自由 | 仮バース多め、24h稼働 |
| バラ積み | 3〜4ヶ月+1ヶ月休 | 当直制 | 自由 | 昼夜問わず出入港 |
| コンテナ | 会社による | ロープ出し多 | 自由 | 入出港の頻度が非常に高い |
| RORO | 仮バースほぼなし | 監視のみ | 自由 | 士官の荷役負担は軽い |
| タグボート | 日帰り | なし | 港の近く | 飯炊き文化の有無を確認 |
| 調査船 | 会社による | なし | 自由 | ホワイト。商船転職は困難 |
| バンカー船 | 日帰り | あり | 港の近く | 日帰り+高収入の穴場 |
| LPG船 | 会社による | 特殊 | 自由 | 慣れると面白い |
| 客船 | 会社による | なし | 会社による | 接客スキルも必要 |
| 冷凍運搬船 | 長期 | 全員で肉体労働 | 自由 | 体力勝負 |
| 浚渫船 | 工事期間による | 要確認 | 自由 | 土日休みの可能性あり |
船種よりも「会社選び」が大事
ここまで船種ごとの違いを書いてきましたが、正直に言うと船種より会社選びの方がずっと大事です。
同じフェリーでも会社によって生活は全然違うし、同じタンカーでも社船かグループ船かで待遇が違います。
気になる船種が見つかったら、次はその船種の中でどの会社がいいかをしっかり調べてみてください。会社説明会やインターンに参加したり、可能なら体験乗船をさせてもらうのがベストです。
国土交通省の船員求人ネットで各社の求人が見られるので、船種で絞り込んで比較してみるのもおすすめです。


※この記事は現役・元船員の口コミをもとに構成しています。給与・制度・会社の実態は時期や個人の状況により異なります。就職・転職の際は最新の公式情報や、会社への直接の問い合わせで確認してください。
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