この記事はこんな方におすすめ
- 「あと何年乗れば、上の級の試験を受けられるのか知りたい」
- 「申請書の乗船履歴を書くのが面倒。記入欄も足りない」
- 「免状更新に必要な乗船履歴が足りているか確かめたい」
乗船履歴の計算、自分でやると地味に面倒ですよね






海技士の乗船履歴は、乗った日数を単純に足すだけでは正しく出ません。乗船日も下船日も両方1日として数え、月や年は暦に従って計算するという国土交通省のルールがあるからです。さらに、複数の船を乗り継いでいれば、その合計も決められた方法で足し上げる必要があります。
受験のたび、更新のたびにこれを手計算するのは大変です。そこで、乗船日と下船日を入れるだけで各乗船の期間と合計を自動計算し、そのまま申請書の体裁で印刷できるツール(インストール不要・無料のWebアプリ)を用意しました。
記事の表示が重くならないよう、ツール本体は別ページに置いています。下のリンクから開いてご利用ください。
https://sea-time-calc.funeapps.com/
入力した内容は、お使いのパソコンやスマホの中だけで計算されます。乗船日や船舶名がインターネット上に送信されることはありません。入力欄が多いので、操作はパソコンのほうが快適です。
ツールでできる4つのこと
ツールは画面上のタブで4つのモードを切り替えて使います。
4つのモード
- かんたん計算:乗船日と下船日を入れるだけ。各乗船の期間と、その合計を暦どおりに計算します
- 申請書下書き:船舶名・総トン数・職名なども入力でき、第21号様式(二)の乗船履歴の形で印刷できます
- 受験資格の照合:目標の級を選ぶと、別表第五に照らして「必要期間に対して何%か」「あと何年何月何日足りないか」を表示します
- 免状更新:更新に必要な乗船履歴を満たしているかを判定し、「乗船履歴表(更新用)」の体裁で印刷できます
受験資格の照合と免状更新の判定は、あくまで期間計算の目安です。資格の有無を決めるものではないので、最終的な確認は必ず地方運輸局でおこなってください。
入力した内容は、ツール内の「ファイルに保存」を押すとファイルとして手元に残せます。次に使うときは「ファイルを読み込む」でそのファイルを選べば、続きから入力できます。乗船した船が多い人も、一度に全部入力する必要はありません。
乗船履歴の数え方・計算ルール(国土交通省の方法)
このツールは、国土交通省が示している乗船履歴の計算方法に沿って計算しています。ポイントは2つです。
まず各乗船の期間は、乗船日・下船日の両方を算入して、暦どおりに計算します。たとえば11月1日に乗って11月2日に下りた場合は2日、4月25日に乗って7月30日に下りた場合は3月6日です。日数を単純に30で割るような計算ではなく、実際の暦に合わせて月数を数えます。
次に複数の乗船をまとめた合計は、日が30日になると1月に、月が12月になると1年に繰り上げます。たとえば「1年10月25日」と「7月15日」を足すと「2年6月10日」になります。各乗船の期間を出してから、この方法で合計するのが正しい足し方です。
このツールは国土交通省が公開している計算例(11月1日〜11月2日=2日、4月25日〜7月30日=3月6日など)でひとつずつ検算して、同じ結果になることを確認しています。乗船期間が重なっている行があるときは、二重に数えないよう警告を出します。
申請書の乗船履歴欄、記入欄が足りないときは「もう一枚」
口述試験などを申し込むとき、乗船履歴は第21号様式(海技士国家試験申請書(二))に記入します。この様式は運輸局の窓口でもらうものと思われがちですが、実は国土交通省のサイトからWord版・PDF版をダウンロードして、記入・印刷して使えます。乗船履歴だけの様式や、納付書・委任状も同じページにまとまっています。
ただ、この第21号様式の乗船履歴欄は6行しかなく、何隻も乗り継いでいると、すぐに足りなくなります。筆者も実際にこれで失敗しました。記入欄が足りなかったので、用紙の裏に続きを書いて運輸局に持っていったところ、「裏ではなく、もう一枚使ってほしかった」と言われました。少なくとも筆者のケースでは、裏面ではなく2枚目の様式を使うよう案内されました。乗船履歴が多い人は、最初から2枚目以降の様式に分けて書くのが無難です。




このツールの「申請書下書き」モードは、乗船を何件でも入力でき、6行を超えると自動で2枚目以降に分けて印刷します。手書きで何枚も書く前に、まず下書きとして使ってみてください。
免状更新の乗船履歴にも対応しました
海技免状の更新にも乗船履歴の要件があります。受験資格とは数え方の前提が違うため、ツールでは「免状更新」モードとして分けています。
更新で使える乗船履歴は、免状の有効期間が満了する日以前5年以内に1年以上、または更新を申請する日以前6月以内に3月以上のどちらかです。ツールはこの2つのルートをそれぞれ判定し、どちらで届いているか、足りない場合はあとどれだけかを表示します。
注意したいのは職名です。更新の乗船履歴は「船舶職員として」乗り組んだものに限られ、国土交通省の様式にも「部員として乗り組んだ履歴は、記入しないで下さい」と明記されています。部員として乗っていた期間は、更新のこのルートには使えません(部員等の同等業務経験として別の認定を受ける制度はあります)。
免状更新モードで気をつけること
- 更新の申請ができるのは、原則として有効期間が満了する日以前1年以内です
- 更新の申請書は第6号様式で、第21号様式(二)は使いません
- 履歴を証明するのは船員手帳などの書類です。ツールが印刷する「乗船履歴表(更新用)」は、その整理用紙にあたります
- この様式は13行のため、超える場合は自動で複数枚に分けて印刷します
- 受験側で使う第31条の換算は、更新の履歴には使いません
乗船履歴が足りない場合でも、更新講習を受けるルートがあります。免状そのものの手続きは別記事にまとめています。
免状の手続きはこちら
-


-
海技免状の取り方|筆記先行ルートで最短取得した現役船員が解説
海技免状は船員人生を左右する最重要アイテムです。6級から3級までの全体像、筆記先行と履歴先行の2つのルート、一括公認の活用法、必要な講習一覧まで、筆記先行で取得した筆者が解説します。
続きを見る
海技士の各級に必要な乗船履歴の目安
自分の乗船履歴で、どの級まで狙えるのかの目安です。大きく分けて、下位級を持たずに経験年数で受ける「叩き上げルート」と、ひとつ下の級を取ってから受ける「級ステップアップルート」があります。
海技士(航海)の乗船履歴の目安
| 級 | 叩き上げルートの目安 | 下位級取得後の目安 |
|---|---|---|
| 6級 | 5トン以上の船舶で運航2年以上 | — |
| 5級 | 10トン以上で運航3年以上 | 6級取得後、20トン以上で船長又は航海士1年以上 |
| 4級 | 200t平水・20t沿海以上などで運航3年以上 | 5級取得後、船長又は航海士1年以上 |
| 3級 | 1600t沿海・20t近海遠洋などで運航3年以上 | 4級取得後、航海士2年以上/船長・一等航海士1年以上 |
| 2級 | — | 3級取得後、一定以上の船舶で船舶職員1年以上/条件により船長・航海士2年以上 |
| 1級 | — | 2級取得後、船長・一等航海士を除く船舶職員2年以上/船長・一等航海士1年以上 |
海技士(機関)の乗船履歴の目安
| 級 | 叩き上げルートの目安 | 下位級取得後の目安 |
|---|---|---|
| 6級 | 5トン以上の船舶で機関運転2年以上 | — |
| 5級 | 10トン以上で機関運転3年以上 | 6級取得後、20トン以上で機関長又は機関士1年以上 |
| 4級 | 750kW平水・20t沿海以上などで機関運転3年以上 | 5級取得後、機関長又は機関士1年以上 |
| 3級 | 3000kW沿海・20t近海遠洋などで機関運転3年以上 | 4級取得後、機関士2年以上/機関長・一等機関士1年以上 |
| 2級 | — | 3級取得後、一定以上の船舶で船舶職員1年以上/条件により機関長・機関士2年以上 |
| 1級 | — | 2級取得後、機関長・一等機関士を除く船舶職員2年以上/機関長・一等機関士1年以上 |
目安表を見るときの注意
複数の履歴を組み合わせる「第31条の換算」について
必要期間の異なる乗船履歴を組み合わせて受験資格を満たす場合、最短乗船期間の比例に応じて履歴を換算して合算する「第31条の換算」という仕組みがあります。たとえば、1年要件側の履歴を3年要件側にそろえて換算する、といった計算です。
ツールの「受験資格の照合」モードでは、この換算を通達の計算例に沿って自動で行い、充足率として表示します。ただし換算後の期間で受験資格を満たすかどうかの最終判断は、地方運輸局の確認が必要です。申請書の期間欄には、換算した期間を括弧で付記する決まりになっています。
なお、免状更新の乗船履歴にはこの換算は使いません。更新モードでは換算せずに判定しています。
乗船履歴を満たしたら、次は試験対策
乗船履歴の見通しが立ったら、次は筆記試験と口述試験の対策です。4級・3級航海の筆記の暗記対策には、過去問ベースの暗記アプリ「フネアンキ」を用意しています。口述試験の答え方は、出題ごとの模範解答つきでnote記事にまとめています。
-


-
3級・4級海技士の難易度と合格率|独学の勉強時間と科目別攻略法
3級海技士は4級の約1.5倍難しいですが、難しくなるのは航海の天測計算だけです。科目別の難易度比較、4級の勉強法と勉強時間、求人データで見る3級と4級の本当の差まで解説します。
続きを見る
口述試験の対策はこちら
-


-
4級・5級海技士(航海)口述試験の対策・落ちる人の5パターン
4級・5級海技士(航海)の口述試験について、運輸局の実データで合格率を筆記と口述に分けて整理し、落ちる人に共通する5つのパターン、出題分野、受験地別の傾向をまとめました。
続きを見る
まとめ
この記事のポイント
- 乗船履歴は、乗船日・下船日の両方を算入し、暦どおりに計算する
- 複数の乗船の合計は、日が30で1月・月が12で1年に繰り上げる
- 申請書の乗船履歴欄は6行。足りないときは裏ではなく2枚目の様式を使う
- ツールは「かんたん計算・申請書下書き・受験資格の照合・免状更新」の4モード
- 免状更新は「満了日以前5年以内に1年以上」か「申請日以前6月以内に3月以上」。部員の履歴は算入されない
- 入力した内容はファイルに保存でき、後日続きから再開できる
https://sea-time-calc.funeapps.com/
※この記事は、国土交通省が公開している乗船履歴の計算方法、船舶職員及び小型船舶操縦者法施行規則の別表第五・別表第六、および免状更新に関する同規則第9条の3等をもとに構成しています。受験資格や乗船履歴の認定、第31条の換算、更新の可否などの正式な判断は、最新の法令および地方運輸局でご確認ください。