この記事はこんな方におすすめ
- 「海の上で繋がるスマホのキャリアを知りたい」
- 「船内で電波を良くする方法を知りたい」
- 「船乗りにおすすめのSIMやWiFiが知りたい」
- 「ポケットWiFiとSIMどっちがいいか迷っている」
海の上でどのキャリアが繋がるのか























キャリア別の繋がりやすさ【現役船員の体感】
僕は3社の船に合計5年乗ってきましたが、海上での繋がりやすさはキャリアによって大きな差があります。
結論から言うと、こうなります。
海上キャリアランキング
| 順位 | キャリア | 海上での特徴 |
|---|---|---|
| 1位 | ドコモ | 太平洋側に強く、陸から20マイル以上でも安定 |
| 2位 | AU | 日本海側・瀬戸内海に強い。ドコモに次ぐ安定感 |
| 3位 | ソフトバンク | 陸から10マイル程度まで。外洋ではほぼ圏外 |
| − | 楽天モバイル | AU回線エリアで使い放題。コスパ最強 |
※2025年4月〜 auスマホが衛星と直接通信できる「au Starlink Direct」が開始。圏外でもSMS送受信が可能に(詳しくは後述)
僕の体感として、日本海側ではAUが繋がりやすく太平洋側ではドコモが繋がりやすいです。
陸から20マイル(約36km)離れてもドコモとAUは繋がるのに対して、ソフトバンクは10マイル(約18km)ぐらいまで近づかないと繋がらない印象です。
瀬戸内海や湾内を航行する船舶であればあまり関係ありませんが、陸から20マイル以上離れた所を航行する場合はソフトバンクの回線はやめたほうがいいです。
(瀬戸内海でも、豊後水道や姫島から佐田岬付近は電波が繋がりにくいです。)
実際に僕はAU・ドコモ・楽天を使ってきましたが、ソフトバンク系の回線は航海中の繋がりが悪く、着岸中にSIMで使うだけにしていました。瀬戸内海は豊後水道・姫島付近以外ならだいたい入りますし、太平洋側・日本海側でも陸から10マイルくらいなら問題なく繋がります。ただし沖縄航路は電波が入らない区間があるので注意が必要です。
現役船員の声

































































































電波が入らない原因は2つある
「電波が悪い」と感じたとき、原因は大きく2つに分かれます。この切り分けを間違えると、対処法がまったく変わってきます。
電波が入らない原因の切り分け方
| ①海上で弱い(回線の問題) | ②船内で弱い(遮蔽の問題) | |
|---|---|---|
| 症状 | 窓際やデッキに出ても圏外 | デッキでは入るが自室で圏外 |
| 原因 | 陸から離れすぎ or キャリアの電波がカバー外 | 船の外板(鋼板)が電波を遮蔽 |
| 対処 | 回線を変える(SB→ドコモ/au系等) | ルーターの設置位置を変える(窓際・中継等) |
まずはスマホを持ってデッキや窓際に行ってみてください。そこで電波が入るなら、原因は②(遮蔽)です。回線を変えても解決しないので、次のセクションで紹介するルーター設置や中継テクニックが有効です。
デッキでも圏外なら、原因は①(回線)です。キャリアの乗り換えを検討しましょう。
僕の経験上、陸側の部屋の方が明らかに電波が入りやすく、ブリッジ付近が一番入りやすいです。部屋の向きによっても大きく変わるので、自室で入らないからといってすぐに回線を変えるのは早いかもしれません。
船内で電波を良くするテクニック























窓際にルーターを置く
船の外板は金属(鋼板)でできているため、室内でスマホを使っても電波を拾わないことがあります。
しかし窓の近くでスマホを使うと電波を拾うようになります。
とはいえ、スマホを使うたびにいちいち窓際に行くのは面倒です。僕も最初はスマホを窓の近くに持っていって使っていましたが、毎回やるのはストレスですし、変な体勢で体も痛くなります。
そこで、SIMカードを入れた無線ルーターを窓側に設置すれば、室内で快適にスマホを使えます。
ルーターにはいくつかタイプがありますが、船で使う場合は以下を参考に選んでみてください。
| タイプ | 製品例 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 置き型ホームルーター | Speed Wi-Fi HOME 5G L13 | 受信感度が高く船内を広くカバー。下船中は家でも使える | サイズが大きめ。設置スペースが必要 |
| モバイルルーター | PA-MP02LN-SA | コンパクトで窓際に設置しやすい。持ち運びも楽 | バッテリー駆動なので充電管理が必要 |
| スマホのテザリング | 手持ちのスマホ | 追加の端末が不要。初期費用ゼロ | 受信感度がルーターに劣る。バッテリー消耗が早い |
迷ったらモバイルルーターが無難です。コンパクトで窓際に置きやすく、バランスがいいです。「まず試したい」ならテザリングから始めて、不満が出たらルーターを買うのもありです。
僕はモバイルルーター(SIMフリーの持ち運び型)を使っていました。窓際に固定しておけば、部屋のどこにいてもWi-Fiが飛んでくるので快適です。
SIM対応の置き型タイプのホームルーターはSpeed Wi-Fi HOME 5G L13といったものがあります。
SIMフリーなので国内の4大キャリア(ドコモ・AU・ソフトバンク・楽天)に対応しており、5Gの電波にも対応しています。
下船中は家に持って帰って、そのままホームルーターとして使えるので一石二鳥です。
もう少しコンパクトなルーターがいい場合は、PA-MP02LN-SAのようなモバイルルーターもあります。持ち運びやすく、窓際に設置しやすいのでこちらもおすすめです。
ルーターは窓にできるだけ近づけて置くのがポイントです。僕の経験では窓に直付けが一番電波を拾いますが、夏場は直射日光でルーターがかなり熱を持つので注意してください。熱暴走で通信が不安定になることがあります。直射日光が当たる時間帯はカーテンで遮るか、少しだけ位置をずらすと安心です。

















現役船員が実践している電波改善の裏ワザ
掲示板やSNSで船員が共有している電波改善テクニックを紹介します。実際に効果があったという報告が多いので参考にしてみてください。
ただし、いずれのテクニックも船長や当直者の許可を得てから行うこと、防水対策をすること、航行や作業の邪魔にならないことが大前提です。特に高所設置は落下物のリスクがあるので、状況を見て判断してください。
ステンレスボウルでパラボラアンテナ化
















100均のステンレスボウルで十分です。ボウルの焦点にルーターを置くことで、弱い電波を集めて受信感度を上げる仕組みです。陸から離れた沖合で特に効果を発揮します。
ペリカンケース+ハリヤードで高所設置
















防水ケースに入れたルーターをハリヤードで高い位置に設置し、もう1台のルーターで中継して自室まで電波を届ける方法です。手間はかかりますが25マイル沖でも通信できたという報告があります。
ブリッジ設置+陸側の部屋から中継
































ブリッジは船の中で一番高い位置にあるので電波を拾いやすいです。ただし自室まで電波が遮られることもあるので、陸側の部屋に置かせてもらうのも一つの手です。
東京湾の注意点
































東京湾の中の瀬付近は羽田空港の電波干渉の影響で繋がりにくいことがあるようです。航行海域によっては一時的に圏外になることもあるので覚えておきましょう。
【2026年版】船乗りにおすすめのSIM























僕の結論として、SIMカード+ルーターが船乗りにとって最もコスパの良い組み合わせです。
ポケットWiFi(クラウドSIM)は後述しますがソフトバンク回線に繋がるリスクがあるため、自分で回線を選べるSIM契約がベストです。
ちなみに僕は乗船中に月100〜200GBほど使っていました。動画視聴、ゲーム更新、ビデオ通話、SNSなど全部込みです。しばらく電波が入らない海域に入るとわかっているときは、港にいるうちに動画や音楽をまとめてダウンロードしていました。最終的に落ち着いたのは楽天モバイル(メイン)+povo(サブ)+日本通信SIM(電話番号維持用)の3枚構成です。
Rakuten 最強プラン
使用量無制限でどれだけ使っても最大3,278円
Rakuten 最強プランはデータ使用量無制限でどれだけ使っても最大3,278円のSIMです。
回線は楽天とauを使用しており、以前あった「楽天エリア外は月5GBまで」の制限が撤廃されました。au回線エリアでも使い放題です。
さらにプラチナバンドの割当が決定し、通信品質も向上しています。
海外でも毎月2GBまで利用可能なので、外航や海外寄港時にも使えます。
ただし海外での高速通信は月2GBまでです。超過後は最大128kbpsに制限されます。海外寄港が多い方は、楽天だけでは海外利用をカバーしきれない場合があるので注意してください。
船乗りにとって最大のメリットは通信量を気にしなくていいことです。乗船中は動画やゲームのダウンロード、動画視聴でデータを大量消費しますが、楽天なら一切気にする必要がありません。

















































ahamo
ドコモ回線で海上最強の安定感
ahamoはドコモの5G回線が利用可能なSIMです。
前述の通り、ドコモは海上での繋がりやすさNo.1。「絶対に電波が繋がらないと嫌」という方はahamoが最適です。
月額2,970円で30GB、5分以内の通話無料。大盛りオプションで月110GBまで利用可能です。
海外でも30GBそのまま利用可能なので、外航船員や海外寄港が多い方に特におすすめです。
ただし注意点があります。海外での利用が15日間を超えると、日本国内も含めて通信速度が最大128kbpsに制限されます。速度制限の解除は日本に帰国するまでできません。長期の外航や海外滞在が多い方は、この制限を把握しておく必要があります。
現在、他社からSIMのみ乗り換えでdポイント20,000円相当プレゼントキャンペーンを実施中です(事前エントリー必須・終了日未定)。
ただし注意点もあります。
















ドコモ回線は海上で最強ですが、船内の電波環境(部屋の位置や窓の有無)によっては繋がりにくいケースもあるようです。前のセクションで紹介したルーターの窓際設置を組み合わせると改善できます。

















povo 2.0
基本使用料0円のサブSIMに最適
povo2.0は基本使用料0円のSIMカードです。回線はauなので海の上でも比較的繋がりやすいです。
最大の特徴は使いたいものを使いたいだけ使える「トッピング」。1日使い放題で330円のトッピングが船乗りには特に便利です。
電波が繋がる場所に入ったら使い放題にして、動画や音楽をまとめてダウンロードするという使い方ができます。
使用しなければ月額0円で維持できるので、メインのSIMとは別にサブで1枚持っておくと便利です。
さらに、povo2.0でもau Starlink Directに対応しており、圏外エリアでも衛星経由でSMSの送受信や位置情報の共有が可能です。
ただし「0円で放置」には注意が必要です。180日以上有料トッピングの購入がないと、利用停止や契約解除の対象になります。また、トッピングを購入していない状態での通信速度は最大128kbpsです。半年に1回は何かしらのトッピングを購入するようにしましょう。330円の「1日使い放題」を半年に1回買うだけでもOKです。

















mineo
ドコモ・au・ソフトバンク回線から選べる格安SIM
mineoはドコモ、au、ソフトバンクから回線を選べるSIMカードで、月額880円から利用可能です。
15GB以上のコースなら「パケット放題 3Mbps」が無料で利用可能。mineoスイッチをONにすると最大3Mbpsでデータ使い放題になります(3日間で10GB以上利用時は速度制限あり)。
3Mbpsあれば動画視聴も問題なく、ドコモ回線を選べばサブSIMとして使いやすいです。

















日本通信SIM 合理的シンプル290
ドコモ回線で月額290円の最安クラス
日本通信SIMの「合理的シンプル290」は月額290円で1GB付き、回線はドコモです。
追加データは1GBあたり220円で、使った分だけ課金される従量制。上限は自分で1〜100GBに設定できるので使いすぎの心配がありません。通話料も30秒11円と大手の半額です。
ドコモ回線なので海上での電波は問題ありませんが、格安SIM(MVNO)のため平日昼は速度が落ちることがあります。データ無制限ではないのでメインSIMには不向きですが、電話番号の維持やサブ回線として最安で持てるのが強みです。

















船員タイプ別|どの回線を選ぶべきか早見表
「結局、自分にはどれが合うの?」と迷う方のために、船員タイプ別のおすすめをまとめました。
| 船員タイプ | メインSIM | サブSIM | 理由 |
|---|---|---|---|
| 湾内・瀬戸内中心 | 楽天最強プラン | povo(au回線) | 陸に近いのでキャリア差が小さい。無制限+安さ重視でOK |
| 沖合に出る内航 | ahamo | 楽天最強プラン | ドコモの安定感を確保しつつ、ルーター用に楽天で大容量カバー |
| 外航・海外寄港あり | ahamo | 楽天+povo | 海外30GBのahamo必須。国内大容量は楽天、衛星通信保険にpovo |
| 会社Wi-Fiあり | 楽天最強プラン | 日本通信(290円) | 会社回線で足りる場面も多い。SIMは最小限で電話番号維持 |
| とにかく節約 | 楽天最強プラン | なし | 1枚で完結。月3,278円だけで国内使い放題 |
まずは「自分がどの海域を走るのか」「月にどれくらい使うのか」「海外寄港があるのか」の3つを基準に選んでみてください。
船乗りにおすすめなSIMの結論
おすすめ度
定額使い放題で考えるなら楽天最強プランがおすすめ!
SIMカードをルーターに入れてWiFi化してもいいし、スマホに入れてそのまま使っても良し。月200GB使っても3,278円は文句なしです。
おすすめ度
「絶対に電波が繋がらないと嫌」「海外でもそのまま使いたい」という方はahamoがおすすめ!
ドコモ回線の安定感と30GBまでそのまま海外で使える利便性は他にはありません。
月額パターン別の費用感
「結局いくらかかるの?」を3パターンにまとめました。
| パターン | 構成 | 月額目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ①節約型 | 楽天最強プラン1枚 | 約3,300円 | 国内使い放題で最安。海外利用や回線冗長性は割り切る |
| ②安定重視型 | ahamo+楽天+日本通信 | 約6,500円 | ドコモで通話・安定、楽天でルーター大容量、日本通信で番号維持。筆者はこれに近い構成 |
| ③外航向け | ahamo+楽天+povo | 約6,600円〜 | ahamo海外30GBメイン、国内は楽天使い放題、povoはau Starlink Direct用の保険 |
外航・サブSIM運用で失敗しやすい注意点
船員の回線選びは「国内で繋がるか」だけでなく、海外利用やサブSIMの維持条件まで見ておかないと失敗しやすいです。
見落としやすい3つの注意点
| SIM | 注意点 |
|---|---|
| ahamo | 海外30GBは魅力だが、海外利用が15日超で速度制限(最大128kbps)。帰国まで解除不可 |
| 楽天モバイル | 海外高速通信は毎月2GBまで。超過後は128kbps。長期の海外寄港には不十分 |
| povo | 180日以上有料トッピング購入なしで利用停止・契約解除の対象。「0円放置」は通用しない |
つまり、「国内最強の回線」が「海外でも最強」とは限りません。外航や海外寄港がある方は、国内と海外の両方の条件を見て選ぶことが大切です。
乗船前にやっておくべきネット準備チェックリスト
乗船前に一度やっておくだけで、乗ってからのストレスがかなり減ります。出港後では遅いものばかりなので、出港前に確認しておきましょう。
乗船前ネット準備チェックリスト
- SIMの開通確認 … 契約だけして開通手続きを忘れていないか
- APN設定の確認 … SIMを挿したらネットに繋がるか実際にテスト
- テザリングの動作確認 … スマホからルーターへ、またはルーターからスマホへ接続テスト
- ルーターの初期設定 … SSID・パスワードの変更、SIMの認識確認
- 動画・音楽のオフライン保存 … 圏外でも楽しめるようにDL
- オフライン地図の保存 … Googleマップの「ダウンロード」機能
- 充電環境の確認 … 延長ケーブル、マルチタップ、防水ケース
- au Starlink Direct対応端末の確認 … サブ回線としてau系を持つなら必須
特に「APNが合っていなくて繋がらない」「見たかった動画を落としていなかった」は乗船後では取り返しがつかないので、出港前に必ずチェックしてください。

















ポケットWiFiは必要?SIMで十分な理由























クラウドSIM型ポケットWiFiの落とし穴
ZEUS WiFiやMUGEN WiFiなどの「クラウドSIM」型ポケットWiFiは、ドコモ・au・ソフトバンクの回線を自動で切り替える仕組みです。
一見便利に見えますが、海上ではソフトバンク回線が選択されてしまうことがあり、その場合は繋がりにくくなります。
自分で回線を選べないのが最大のデメリットです。
一方、SIMカードならドコモ回線やau回線を自分で選んで契約できるので、確実に海上で繋がる回線を使えます。
















それでもポケットWiFiを使いたい場合
「SIMの契約やルーターの設定が面倒」「端末1台で完結させたい」という方のために、比較的おすすめできるポケットWiFiを紹介します。
どこよりも WiFi
どこよりもWiFiは100GBを月額3,058円で使える格安WiFiです。ドコモ回線を使用しているので海上でも繋がりやすいのがポイント。
クラウドSIM型(ZEUS WiFiやMUGEN WiFiなど)はソフトバンク回線が選択されるリスクがありますが、どこよりもWiFiは回線がドコモ固定なので「ソフトバンク回線ガチャ」がありません。37ヶ月目以降は2,508円とさらにお得になります。
ポケットWiFi単体で完結させたいなら、一番無難な選択肢です。
ポケットWiFiの結論
一番のおすすめは「楽天最強プランのSIM+ルーター」の組み合わせです。
通信容量・回線・価格すべてにおいてポケットWiFi単体より優れています。
どうしてもポケットWiFi単体がいいなら、ドコモ回線固定のどこよりもWiFiが無難です。
Starlinkで船のネット環境はどう変わる?























au Starlink Direct:スマホだけで衛星通信
2025年4月、KDDIはauスマホがStarlink衛星と直接通信できるサービス「au Starlink Direct」を開始しました。日本初のスマホ衛星直接通信サービスです。
au Starlink Directのポイント
- 対応するauスマホなら申し込み不要・当面無料
- iPhone 14以降、Galaxy、Pixelなど63機種以上が対応
- SMS・テキストメッセージの送受信、位置情報の共有、緊急地震速報の受信が可能
- 2025年8月からは対応アプリでのデータ通信にも対応(地図・天気・X・防災アプリ等)
- povo2.0や他社回線でも利用可能(専用プラン月額1,650円)
- 2026年1月に接続エリアが海岸線から24海里(約44km)に拡大
船員にとって一番大きいのは、完全に圏外の沖合でも家族にメッセージを送れることです。
ただし、au Starlink Directはあくまで「圏外時の保険」であり、普段のネット利用の代替にはなりません。利用できるのはSMS・テキストメッセージや位置情報の共有が中心で、動画視聴や大量ダウンロードには対応していません。また、空が見える場所でないと衛星を捕捉できないため、船内の居室からは基本的に使えません。
普段のネット環境はLTE回線(SIM+ルーター)で確保し、au Starlink Directは「完全に圏外になったときに家族に連絡を取れる手段」として考えておくのが正しい使い方です。
各キャリアの衛星直接通信サービス
| キャリア | サービス名 | 状況 |
|---|---|---|
| au | au Starlink Direct | 提供中(2025年4月〜) |
| ドコモ | 未定 | 2026年度中に開始予定 |
| ソフトバンク | 未定 | 2026年中に開始予定 |
| 楽天モバイル | Rakuten最強衛星サービス | 2026年Q4開始予定 |
2026年3月時点で実際に使えるのはau(povo2.0含む)だけです。ドコモ・ソフトバンク・楽天モバイルも2026年中の開始を予定しています。

















Starlink Maritime:会社が船に導入する衛星ネット
もう一つのStarlinkは、船舶に専用アンテナを設置して高速インターネットを使えるようにする法人向けサービス「Starlink Maritime」です。
数千機の低軌道衛星を使うため、従来の衛星通信(VSAT)と比べて通信速度が最大50倍に向上。最大220Mbpsの速度が出るので、動画視聴やビデオ通話も可能です。
Starlink Maritime 導入の主な動き
- 商船三井 … 外航船200隻超に本格導入済み
- フェリー各社 … 東京九州フェリー、新日本海フェリー等でWi-Fiサービス開始
- 内航RORO船 … 商船三井さんふらわあがトライアル導入を実施
- KDDI・ソフトバンク・NTTドコモ … 各社が法人向け海事プランを提供中
大手を中心に導入が加速しており、船員の福利厚生として通信環境の改善が進んでいます。
ただし、個人で導入するのは現実的ではありません。理由は3つあります。
①法的な問題:船舶向け正規プランは法人契約が前提で、専用アンテナ(Flat High Performance型)が必須です。個人向けROAMプランのアンテナを航海中の船で使うのは技適違反の可能性があります。
②利用制限:個人向けROAMプランの海上利用は沿岸12海里以内、連続5日間・年間60日間までの制限があり、乗船中の常用には足りません。
③コスト:法人向けMaritimeプランは月額数万円〜に加え、KDDIの場合はサポートパック(月額33,000円〜)の加入が必須です。
会社にStarlinkが入っていれば船内Wi-Fiに接続するだけで使えますが、多くの場合は船員一人あたりのデータ量が管理されており、無制限に使えるわけではありません。沿岸部ではLTE回線に自動切替してStarlinkの通信量を節約する運用も行われています。

















結局、今の最適解は?
2026年時点のベストな通信環境
Starlinkは船舶の通信環境を劇的に変える技術ですが、現時点では「会社が導入するもの」であり、個人で用意するものではありません。
今できる最善策は、これまでと変わらず「楽天最強プラン or ahamo のSIM+ルーター」で自分の通信環境を確保することです。
それに加えて、au系SIM(au・povo2.0)を持っていればau Starlink Directで圏外でもメッセージが送れる安心感が手に入ります。
数年後には「会社のStarlink+個人のSIM+衛星直接通信」の三刀流が当たり前になるかもしれません。
まとめ
この記事のポイント
- 海上でのキャリアはドコモ・AUが強く、ソフトバンクは弱い
- 電波が入らない原因は「海上(回線)」か「船内(遮蔽)」の2つ。対処法が違うので切り分けが大事
- 窓際にルーターを設置するだけで船内の電波環境は大幅に改善する(夏場の直射日光には注意)
- おすすめは楽天最強プラン(無制限3,278円)かahamo(ドコモ回線30GB)
- ポケットWiFiよりSIM+ルーターの方が回線を自分で選べて確実
- 外航・海外寄港がある方はahamoの15日制限と楽天の海外2GB制限に注意
- povoのサブSIM運用は180日ルールに注意(半年に1回トッピング購入)
- au Starlink Directは「圏外時の保険」。普段のネット代替にはならない
- 乗船前のネット準備(SIM開通・APN確認・オフラインDL)を忘れずに
注目
※この記事は筆者の3社勤務経験、および掲示板・業界関係者からの情報をもとに構成しています。通信環境は航行海域・船の構造・天候により異なります。契約の際は最新の公式情報を確認してください。





