この記事はこんな方におすすめ
- 「初めての乗船、何を持っていけばいい?」
- 「荷物の量や送り方がわからない」
- 「船の中で買い物できないって聞いたけど本当?」
※この記事は筆者の3社勤務経験、および掲示板・業界関係者からの情報をもとに構成しています。持ち物の必要性は会社・船種・乗船期間により異なります。乗船前に必ず会社に確認してください。
船乗りの持ち物は「3ヶ月の生活」を詰め込むつもりで準備する





船の生活は、陸とまったく違います。乗船したら基本的に買い物には行けません。コンビニもスーパーもない海の上で1〜3ヶ月過ごすことになるので、必要なものは乗船前にすべて揃えておく必要があります。
とはいえ、荷物が多すぎると移動がしんどいし、部屋のスペースにも限りがあります。この記事では、筆者が3社5年の経験で「最終的にたどり着いた持ち物リスト」を紹介します。















極端な表現ですが、的を射ています。「買い物に行けない環境で長期間生活する」という前提で準備すれば、忘れ物で困ることはほぼなくなります。
僕の場合、3回くらい乗船すれば「毎回これを持っていく」という鉄板リストが固まりました。季節に合わせた服の調整も含めて、自分なりの勝ちパターンができてきます。最初は完璧じゃなくても大丈夫です。
絶対に必要な持ち物(必須)
まずは、これがないと乗船生活が始まらないものです。
書類・証明書
船員手帳、海技免状・無線従事者免許(持っていれば)、健康診断証明書、印鑑、保険証のコピーなど。船員手帳を忘れたら乗船できません。会社から指示された書類は出発前に必ずチェックしてください。
書類関係は、ただカバンに入れれば終わりではありません。出発前に「原本が手元にあるか」「有効な状態か」「会社から追加で指定された書類がないか」まで確認してください。特に健康証明書は、受診しただけでなく所定の手続きが済んでいるかまで見ておくと安心です。
念のため、主要書類はスマホで写真を撮っておき、家族にも共有しておくと、万が一紛失したときの初動がかなり楽になります。
着替え
下着類は1週間分あれば十分です。船内に洗濯機があるので毎日回せます。私服は乗船時に着ていくもの+下船時の季節を予想した1セットがあれば足ります。















僕も最終的に私服は2セットで落ち着きました。乗船中は基本的に作業着で過ごすので、私服の出番はほぼありません。
洗濯は毎日できますが、乾きやすさも考えて選ぶと荷物を減らせます。船内に乾燥機がない場合は室内干しになるので、速乾素材の下着やTシャツがあると便利です。枚数を増やすより、乾きやすい素材を選ぶ方が賢い準備です。
洗面用具・日用品
シャンプー、ボディソープ、歯ブラシ、カミソリ、タオル類。船によっては備え付けがありますが、自分が使い慣れたものを持っていくのが無難です。
船の備え付けは安いものが多く、ボディソープが固形せっけんだったり、洗濯洗剤が粉タイプで溶けにくかったりすることがあります。こだわりがある人は自分のものを持参してください。ただし、シャンプーや洗剤のストック分まで持っていく必要はありません。消耗品は必要最低限だけ持って、足りなくなったら港で買い足すか、ネット通販で注文すれば大丈夫です。
爪切り・耳かき・鼻毛カッターも忘れがちです。船内は油煙や粉塵が多いので、鼻毛が陸にいるときより明らかに早く伸びます。地味ですが、3ヶ月なくて困るタイプのアイテムです。
コンタクトレンズを使っている人は、乗船期間分+予備を多めに持ってください。航海中に買い足すことはできません。眼鏡も予備として1本持っておくと安心です。
常備薬・酔い止め
持病の薬がある人は乗船期間分を余裕を持って用意してください。乗船期間+1週間分くらい持っておくと安心です。下船が延びることは珍しくないので、ギリギリの量だと切れるリスクがあります。お薬手帳もスマホで写真を撮っておくと、万が一のときに役立ちます。
そして意外と重要なのが酔い止めです。ベテランでも荒天時は酔う人がいます。初乗船なら必須です。
スマートフォン・充電器
言うまでもないですが、スマホは船内生活の生命線です。充電ケーブルは予備を含めて2本以上あると安心です。















現金
チェックリストにも入れていますが、現金は少額持っておいた方がいいです。乗船中にお金を使う場面はほとんどありませんが、乗船地までの交通費、港の自動販売機、荷役の合間にちょっとコンビニに行く程度のことはあります。
1万円もあれば十分です。大きな買い物はネット通販で済ませられるので、大金を持ち込む必要はありません。















メモ帳と筆記用具
新人のうちは覚えることが山ほどあります。先輩の指示、作業手順、専門用語。メモを取る姿勢は、それだけで評価が上がります。
作業用品
作業着
会社支給の場合もありますが、自分で用意する会社も多いです。最低3〜4着あればローテーションで回せます。ペンキや油で汚れるので、高いものは不要です。
僕が乗っていた船では、荷役で使う作業着は会社支給でしたが、ペンキ塗りや甲板整備で使う作業着は自前でした。初乗船のときはペンキ塗り用のつなぎが必要だとすら知らず、持っていかなかったので困りました。仕事道具は何が必要か、乗船前に会社に確認してください。
安全靴
甲板作業では安全靴が必須です。ケチらず、3ヶ月で使い捨てるつもりで買ってください。ペンキ・サビ・海水で確実にダメになります。会社支給があるか事前に確認しましょう。
サンダル
船内の居住区で履くサンダルが1足あると便利です。風呂上がりやちょっとした移動で使います。
軍手・ゴム手袋
会社支給が基本ですが、サイズが合わないことがあります。手が小さい人は自分のサイズを持参すると快適です。
目出帽(冬場の乗船)
冬場の甲板作業は海風が容赦なく吹きつけます。ヘルメットの下に被れる、耳まで覆えるタイプの目出帽があると体感温度がまったく違います。冬場に乗船する人は1枚持っていきましょう。
快適グッズ(QOLが劇的に変わる)
ここからは「なくても死なないけど、あると生活の質が段違い」なアイテムです。
耳栓
船内は24時間エンジン音が鳴っています。慣れるまでは睡眠の質に直結するので、耳栓は最優先で持っていってください。遮音性の高いウレタンタイプがおすすめです。特に機関部は騒音が激しく、長年耳栓なしで働いた人が難聴になるケースが後を絶ちません。















蓋付きタンブラー
船は揺れます。普通のマグカップだと中身がこぼれます。蓋付きのタンブラーは船上生活の必需品と言っていいレベルです。保温もできるステンレス製が最強です。
ヘッドライト / 小型ライト
夜間の甲板作業、暗い船倉での点検など、手元を照らすライトは実用品です。
延長コード・電源タップ
船室のコンセントは1〜2口しかないことがほとんどです。スマホ、PC、ライトの充電を同時にやるなら電源タップは必須です。
USB-Aポートが複数ついた充電器もあると便利です。船室はコンセントの位置がベッドから遠いこともあるので、2〜3メートルの延長コードがあると快適になります。
アイマスク
当直が交代制のため、明るい時間帯に寝ることがあります。遮光カーテンがない船も多いので、アイマスクがあると睡眠の質が上がります。
モバイルWiFiルーター
船のWiFi環境は会社によってまちまちです。船内WiFiがない場合、自分のモバイルルーターが頼りになります。回線はドコモかau系が鉄則。海上でのカバー率がソフトバンク系とは段違いです。
船のネット環境について詳しく知りたい方は、キャリア別の比較やおすすめSIM、電波改善テクニックまでまとめた記事があるので参考にしてください。
暇つぶし・娯楽
乗船中、当直以外の時間は基本的に自由です。ただし海上では電波が入らないことも多いので、オフラインで楽しめるものを用意しましょう。
ノートPC / タブレット
動画・ゲーム・勉強、すべてこれ1台で完結します。船にPCを持ち込むなら、ノートPC一択。SSDモデルなら振動にも強く、バッテリー内蔵なので船の発電機の周波数のブレにも対応できます。















事前に動画配信サービスの作品をダウンロードしておくか、外付けHDDに映画や音楽を入れておくと快適です。
本・テキスト
海技士試験の勉強をするなら、乗船中は最高の環境です。当直で実務経験を積みながら、空き時間にテキストを読む。このサイクルが一番効率的です。
荷物の運び方
基本はキャリーバッグ1つ+リュック1つ
3ヶ月程度の乗船なら、60リットル前後のキャリーバッグ1つとリュック1つに収まります。新幹線や在来線での移動を考えると、あまり大きすぎないサイズが無難です。















送る荷物と手持ち荷物は分ける
荷物を送れるのは便利ですが、「送っていい荷物」と「絶対に自分で持つ荷物」は分けておかないと危険です。
船員手帳、健康証明書などの書類一式、財布、スマホ、充電器、常備薬、下着1日分、タオル、サンダルは必ず手持ちに残してください。ダンボールの受け取りが遅れることは普通にあります。僕の周りでも、荷物が届かなくて3日間私物が足りずに困っている人がいました。
逆に、作業着の予備、洗面用品のストック、本、日用品の替えは箱で送っても困りにくいです。
初乗船で失敗しにくいのは、「初日を回す荷物はリュック」「後から受け取ってもいい荷物はダンボール」と分けるやり方です。
入りきらない荷物は代理店宛に送る
キャリーバッグに入りきらない荷物は、乗船する港の代理店宛にダンボールで宅配便を送れます。代理店の連絡先は会社に聞いてください。
送るなら1箱にまとめるのがおすすめです。船に積み込む人の手間を考えると、何箱も送るのは迷惑になります。
ただし、精密機器(PC等)を送る場合は注意が必要です。















PCなど壊れやすいものは必ず自分で持ち運んでください。代理店経由の荷物は丁寧に扱われる保証がありません。船で使えなくなっても、すぐに買いに行くこともできません。
また、送る前に必ず船側に受け取れるかどうかを確認してください。






























半年以上の長期乗船の場合
半年乗船になると荷物の量も増えます。ダンボール数箱を宅配便で送る人もいて、実質「引っ越し」に近い規模になることもあります。















乗船初日の「すぐ使うセット」を作っておく
乗船直後は荷物を全部広げる余裕がないことがあります。挨拶、船内案内、引き継ぎなど初日はバタバタするので、すぐに使うものだけ取り出せるようにしておくと楽です。
リュックに「初日セット」を入れておくのがおすすめです。
初日セットに入れるもの
- 船員手帳・書類一式
- 筆記用具・メモ帳
- スマホ・充電ケーブル
- タオル
- サンダル
- 下着・靴下1セット
- 常備薬・酔い止め
キャリーバッグは船室に着いてから開ければいいので、リュックだけで初日を回せるようにしておくと安心です。
乗船前に会社に確認すべきこと
持ち物を準備する前に、必ず会社に確認しておくべきポイントがあります。会社や船によって支給品・ルールが全然違うので、「前の船ではこうだった」は通用しません。
乗船前に確認するリスト
- 作業着・安全靴は会社支給か自前か
- 寝具(布団・枕)は船にあるか
- 代理店の住所と連絡先(荷物を送る場合)
- 乗船地までの交通手段と集合時間
- 手土産の文化があるか(※後述)
僕は3社経験しましたが、会社によって差が大きかったです。荷役用の作業着は支給でも、ペンキ塗り用の作業着は自前だったり、寝具はあるけどあまりきれいじゃなかったり。洗濯洗剤が粉タイプで溶けにくい船もありました。こういう細かいところがQOLに直結するので、事前に聞いておくと無駄な荷物も減ります。
会社への確認はまとめて聞く
初乗船のときは「何をどう聞けばいいか」で止まりがちです。細かく何往復もするより、最初にまとめて送った方が早いし、印象も良いです。
たとえば次のようにメールやLINEで送れば十分です。
そのまま送れる確認テンプレート
①作業着・安全靴・手袋は会社支給でしょうか
②寝具(布団・枕)は船にありますか
③洗濯機・洗剤・乾燥機は使えますか
④船内WiFiの有無
⑤荷物を事前に送る場合の宛先と受け取り可否
⑥集合場所・時間・当日の連絡先
以上、ご教示いただけると助かります。
ここを事前に確認しておくと、無駄な荷物も減るし、忘れ物もしにくくなります。
手土産について
船の世界には、乗船時に菓子折りを持っていく文化が残っている会社があります。強制ではないですが「個人の自由(半強制)」というのが実態です。初乗船のときは、会社の先輩や担当者にそれとなく聞いておくと安心です。
僕の場合、3社のうち2社は乗船時に手土産を持っていっていました。船長が「いらない」と言う船はいらないので、温度差があります。事前に聞けるなら聞いた方がいいです。






























持っていくなら乗組員の人数分入った菓子折り1つで十分です。予算は高くても3,000円程度。個包装で日持ちするもの(クッキー、おかき等)が無難です。サロンのテーブルに置いておけばみんなが勝手につまみます。みんな結構食べるので、喜ばれているのは間違いないです。
盗難の心配は?
結論から言うと、普通にしていれば盗難の心配はほぼありません。
船は少人数の閉鎖空間なので、盗難が起きれば犯人はすぐに特定されます。貴重品は自分の船室に置いておけば問題ありません。















高額な腕時計やブランド品をわざわざ持ち込む必要はありませんが、スマホやPCが盗まれるような環境ではないので安心してください。
持ち物チェックリスト
最後に、初乗船に必要な持ち物を一覧にまとめます。出発前にチェックしてください。
必須
- □ 船員手帳・海技免状・無線従事者免許・書類一式(原本確認+スマホで写真を撮っておく)
- □ 下着(1週間分)
- □ 私服(乗船時+下船時の季節を考慮した1セット)
- □ 洗面用具(シャンプー・ボディソープ・歯ブラシ等)
- □ 爪切り・耳かき・鼻毛カッター
- □ コンタクトレンズ(乗船期間分+予備)・眼鏡
- □ 常備薬・酔い止め(乗船期間+1週間分)
- □ スマートフォン・充電ケーブル(予備含め2本)
- □ メモ帳・筆記用具
- □ 現金(1万円程度)・キャッシュカード
作業用品
- □ 作業着(3〜4着)※会社支給の場合は不要
- □ 安全靴(1〜2足)※会社支給の場合は不要
- □ サンダル(船内用)
- □ 軍手(サイズが合わない場合の予備)
- □ 目出帽(冬場の乗船時)
快適グッズ
- □ 耳栓(遮音性の高いウレタンタイプ推奨)
- □ 蓋付きタンブラー
- □ ヘッドライト / 小型ライト
- □ 延長コード・電源タップ(USB充電器もあると便利)
- □ アイマスク
- □ モバイルWiFiルーター(ドコモ or au系)
娯楽・勉強
- □ ノートPC / タブレット
- □ 外付けHDD / USBメモリ(動画・音楽)
- □ 海技士テキスト(勉強する場合)
- □ 本・漫画
→ 未経験・無資格・借金150万から船員になった僕の3社転職記録
まとめ
この記事のポイント
- 荷物は「3ヶ月買い物に行けない前提」で準備する
- キャリーバッグ1つ+リュック1つが基本。入りきらない分はダンボール1箱で代理店宛に送る
- 書類は「持った」だけでなく「原本・有効・控え」まで確認する
- 送る荷物と手持ち荷物は分ける。書類・薬・充電器・PCは絶対に手持ち
- 耳栓・蓋付きタンブラー・ライトはQOLが劇的に上がる三種の神器
- 作業着・安全靴・寝具の支給状況は会社に必ず確認。テンプレートを使ってまとめて聞く
船の生活は最初こそ不安ですが、2回目以降は自分なりの「勝ちパターン」ができてきます。この記事のチェックリストをベースに、自分に合ったものを足し引きしてみてください。
※この記事は筆者の3社勤務経験、および掲示板・業界関係者からの情報をもとに構成しています。持ち物の必要性は会社・船種・乗船期間により異なります。乗船前に必ず会社に確認してください。


