
今回は掲示板に寄せられた船員のリアルな声を紹介しつつ、3社を経験した僕自身のコメントも添えていく。

この記事で分かること
- 「自炊船の食事事情と食費の使い方」
- 「仮バース時の過ごし方(パチンコ以外)」
- 「乗船中に車検が切れるときの対処法」
- 「レットの投げ方・パイナップル巻きのコツ」
- 「内航船のワッチ体制(1人ワッチの実態)」
- 「機関部の仕事内容と休暇中の勉強法」
※この記事の内容は現役・元船員の口コミをもとにした参考情報です。同じ船種・同じ会社でも船によって実態は大きく異なります。
自炊船のリアルな食事事情
大型タンカーやフェリーには司厨員(コック)がいるが、499t以下の小型カーゴ船やガット船は基本的に自炊だ。食料金が毎月支給され、各自で買い出し・調理するスタイルが一般的。
僕もカーゴ船で自炊生活を経験したが、最初は何を買えばいいか本当に分からなかった。結論から言うと、「米を炊いて、肉か魚を焼いて、野菜を何とか食べる」ができれば十分。凝った料理は必要ない。




料理が苦手な人がカーゴに乗ると、冷凍食品とカップ麺地獄に陥りがち。でも最低限やることは決まってて、「肉野菜炒め」「焼き魚」「味噌汁」の3つを回せればそれだけで十分。特にキャベツの千切りを買い置きしておくと野菜問題が一気に解決する。
ちなみに自炊船のメリットは好きなものが食べられること。司厨員のいる船だと飯が口に合わなくても文句は言えないし、偏屈な乗組員が文句を言って船内の雰囲気が悪くなるパターンも多い。自分の胃袋だけ満足させればいい自炊は、ある意味で気楽だ。
管理人の自炊Tips
・仮バースのたびに「肉・野菜・卵・米」を補充すれば回る
・調味料は「醤油・味噌・塩コショウ・焼肉のタレ」があれば何とかなる
・レトルトカレーとカップ麺は非常食として常備しておくと精神的に安心
・乗船前にYouTubeで「一人暮らし 自炊 簡単」を3本くらい見ておくだけでもだいぶ違う

仮バース時の過ごし方
仮バースとは、荷役がない待機時間に港に停泊していること。タンカーは仮バースが少ない船も多いが、カーゴやガット船は週1回程度あるところが多い。
この仮バース時間をどう使うかで、船の生活の充実度は大きく変わる。






僕の場合は、仮バース時間を海技士の勉強に充てていた。タンカー時代は忙しすぎて勉強する余裕がなかったけど、カーゴに移ってからは空き時間が増えて、本格的に資格の勉強を進められた。
免状を取ったら手取りが28万→40万に上がったので、仮バースの過ごし方は割と人生を左右すると思う。
パチンコに行く人も多いけど、せっかくの自由時間を投資(勉強でも運動でも)に回せると、長期的にはかなり差がつく。
仮バースの過ごし方ランキング(体感)
1位:パチンコ(船員の永遠の友。でもお金が消える)
2位:買い物・食料調達(自炊船は必須)
3位:ジム・ランニング(公営ジムは1回数百円で使える)
4位:釣り(船の上から。無料の趣味)
5位:勉強(海技士、英語、投資など。将来への仕込み)
6位:ネット・動画・ゲーム(電波があれば無限に時間が溶ける)

乗船中に車検が切れる問題
船員の「あるある」のひとつが、乗船中に車の車検が切れる問題。独身船員は特に困る。家族がいれば頼めるが、一人暮らしだとそうもいかない。





一番確実なのは乗船前にディーラーや整備工場に預けておく方法。「○月頃に下船するので、それまで置かせてください」とお願いすれば、だいたい対応してもらえる。
車検切れの状態で公道を走ると違反になるので、仮ナンバーを取るか、レッカーを頼むか、ディーラーの積載車に来てもらうかのどれかになる。
乗船サイクルが2ヶ月乗船→20日休みのパターンだと、車検の時期と休暇が合わないことが頻繁にある。乗船前に車検の有効期限を確認して、切れそうなら先に済ませておくのが鉄則。

レットの投げ方・飛ばし方
レット(ヒービングライン)は、着桟時に岸壁に投げるおもり付きのロープ。これが遠くまで飛ばないと綱取りの人が困るし、何度も投げ直すと恥ずかしい。新人船員が最初にぶつかる壁のひとつだ。




僕も最初は全然飛ばなくて、何回も投げ直して先輩に笑われた。
コツをまとめると:
① 最初は短く持って回し始め、徐々に長くして遠心力をつける
② 腕だけで振らない。肩を使って体全体で回す
③ リリースのタイミングは「ステップ」で覚える
あと見落としがちだけど、ヒービングライン自体が古くてゴワゴワだと飛ばない。新品のナイロン系に変えるだけで飛距離が全然違う。道具のせいにしていいパターンもある。
乗船中は忙しくて練習する暇がないという人が多いけど、荷役待ちの時間にデッキで一人で回す練習をするだけでもだいぶ変わる。

レット巻き(パイナップル巻き)のコツ
レットの巻き方には「フットボール型」と「パイナップル型」がある。パイナップル型のほうが見た目がきれいで、ほどけにくいと言われている。





パイナップル巻きは船によっては「できて当然」とされるし、船によっては「フットボールでいい」で済む。正直、どっちでも使えるならOKだと思う。
ただ覚えておきたいポイントは:
・重要なのは右手より左手のスナップ
・ナイロン系はきつめに巻く(緩いと逃げる)
・最初は手を軽く開いておくと抜きやすい
ビニール紐やセールトワインで練習するのは実際に有効。家でも休暇中でもできるし、ロープの感覚を手に覚えさせるには回数をこなすしかない。

内航船のワッチ体制
内航船は基本的に1人ワッチが多い。特に小型船は乗組員が少ないので、航海当直は1人で立つことになる。




ワッチ体制は船の大きさと航路で全然違う。僕の経験だと:
【タンカー(大型・12人体制)】
4時間×2回の3直制。当直者のほかに見張りがついて2人体制。狭水道では船長も上がってくるので3人。大型船は人手があるので比較的安心感がある。
【カーゴ(499t・5人以下)】
同じ4時間×2回の3直制だが、当直は基本1人。狭水道でも船長が上がってくるかどうかは船による。少人数なので、ワッチ以外の作業と掛け持ちになることも。
1人ワッチは最初は怖いけど、同じ航路を何十回も走っていると慣れる。ただし「慣れ」が一番危険なので、慢心しないことが大事。

機関部の仕事内容と休暇中の勉強法
甲板部と比べて情報が少ない機関部。「機関の実務を体系的に学べるテキストがない」という声は昔から多い。





僕は甲板なので機関の実務は専門外だけど、機関部の「マニュアルがない」「機関長によってやり方が変わる」という問題は横で見ていてもよく分かる。
小さい船ほどこの傾向が強い。整備記録すら残っていない船もあるし、引き継ぎが「口頭で5分」みたいな船もある。これは機関部員にとってかなりのストレスだろう。
対策としては、自分でメモを取って「自分用マニュアル」を作るしかない。機関長が変わるたびに更新する手間はあるが、それ自体が勉強になる。
新米機関部員の休暇中の勉強法


機関部員の勉強は、試験対策と実務知識で分けて考えるといい。
【試験対策】
海技士試験の問題集を繰り返すのが王道。成山堂の問題集がスタンダード。
【実務知識】
口コミで紹介されている「3級舶用機関整備士指導書」は日本財団のサイトで無料公開されている。実務に近い内容で、座学と現場の橋渡しになる。
どちらにしても、免状は早めに取ったほうがいい。僕は部員から免状を取って職員に昇格した結果、手取りが28万→40万に上がった。勉強のモチベーションとしてはこれ以上ない。

まとめ:船の日常は乗らないと分からない
今回紹介したのは、教科書には載っていない「船員の日常のこまごましたこと」ばかり。でも実際に乗ってみると、こういう小さな知識が毎日の生活を楽にしてくれる。
特に未経験から乗る人は、こういうリアルな情報を事前に知っておくだけで最初の不安がだいぶ減ると思う。
※この記事は現役・元船員の口コミをもとに構成しています。船種や会社の実態は時期や個々の船によって大きく異なります。就職・転職の際は必ず面接等で最新の情報を確認してください。