










今回は掲示板に寄せられた船員のリアルな声を紹介しつつ、3社を経験した僕自身のコメントも添えていく。










この記事で分かること
- 「仮バース時の過ごし方(パチンコ以外)」
- 「乗船中に車検が切れるときの対処法」
- 「レットの投げ方・パイナップル巻きのコツ」
- 「内航船のワッチ体制(1人ワッチの実態)」
- 「機関部の仕事内容と休暇中の勉強法」
- 「船内でできる運動・ダイエット」
- 「船員手帳の健康診断の費用と注意点」
※この記事の内容は現役・元船員の口コミをもとにした参考情報です。同じ船種・同じ会社でも船によって実態は大きく異なります。
船内の食事・自炊については別記事でくわしくまとめています。
仮バース時の過ごし方
仮バースとは、荷役がない待機時間に港に停泊していることです。タンカーは仮バースが少ない船も多いですが、カーゴやガット船は週1回程度あるところが多くなっています。
この仮バース時間をどう使うかで、船の生活の充実度は大きく変わります。






































































































































































僕の場合は、仮バース時間を海技士の勉強に充てていました。タンカー時代は忙しすぎて勉強する余裕がなかったのですが、カーゴに移ってからは空き時間が増えて、本格的に資格の勉強を進められました。
免状を取った結果、手取りが28万→40万に上がったので、仮バースの過ごし方は割と人生を左右します。
パチンコに行く人も多いですが、せっかくの自由時間を投資(勉強でも運動でも)に回せると、長期的にはかなり差がつきます。
仮バースの過ごし方ランキング(体感)
2位:買い物・食料調達(自炊船は必須)
3位:ジム・ランニング(公営ジムは1回数百円で使える)
4位:釣り(船の上から。無料の趣味)
5位:勉強(海技士、英語、投資など。将来への仕込み)
6位:ネット・動画・ゲーム(電波があれば無限に時間が溶ける)
仮バースが3時間しかないときの選び方
仮バースの長さは毎回違います。半日以上あればジムや観光も行けますが、実際には2〜3時間しかないことも多いです。
僕の体感では、3時間程度だと買い物を済ませたら終了、というパターンがほとんどです。それでも1回あたりの出費は5,000円以内で収まります。パチンコ勢は1回で1万円以上飛ばしている人もいるので、差は大きいです。
経験上、続く趣味と続かない趣味にははっきり傾向があります。散歩や読書のように「どの港でもできる」趣味は長続きしやすいですが、特定の場所や設備に縛られる趣味は続きにくいです。自転車も良い趣味ですが、持ち込める船が限られるので事前に確認が必要です。
短い仮バースを活かすなら、時間別にやることを決めておくのがおすすめです。2〜3時間なら買い物+散歩、半日あればジムや勉強、丸1日あるなら観光。こうしておくと、仮バースのたびに「何しよう」で時間を無駄にしなくて済みます。










乗船中に車検が切れる問題
船員の「あるある」のひとつが、乗船中に車の車検が切れる問題です。独身船員は特に困ります。家族がいれば頼めますが、一人暮らしだとそうもいきません。







































































































































一番確実なのは乗船前にディーラーや整備工場に預けておく方法です。「○月頃に下船するので、それまで置かせてください」とお願いすれば、だいたい対応してもらえます。
車検切れの状態で公道を走ると違反になります。仮ナンバーを取るか、レッカーを頼むか、ディーラーの積載車に来てもらうかのどれかになります。
乗船サイクルが2ヶ月乗船→20日休みのパターンだと、車検の時期と休暇が合わないことが頻繁にあります。乗船前に車検の有効期限を確認して、切れそうなら先に済ませておくのが鉄則です。
車検を切らさないための段取り
2025年4月の制度改正で、車検は有効期間満了日の2ヶ月前から受けても、次回の満了日が短くならなくなりました。以前は1ヶ月前からでないと損をする仕組みだったので、船員にとっては大きな変更です。
おすすめの段取りはシンプルで、次の3択です。
まず、休暇が2ヶ月前〜満了日の間に取れるなら、休暇中にそのまま受けてしまうのが一番楽です。
次に、休暇が短くて自分で持ち込めない場合は、乗船前にディーラーや整備工場へ預けておきます。「下船は○月頃」と伝えておけば、だいたい対応してもらえます。
最後に、すでに切れてしまった場合は、公道をそのまま走れないので仮ナンバーの取得か積載車での回送になります。ここまで来ると手間が一気に増えます。
独身船員ほど「切れてから考える」と面倒が跳ね上がります。乗船日が決まったら、まず車検証の満了日を確認する癖をつけておくとかなり楽になります。










レットの投げ方と巻き方
レット(ヒービングライン)は、着桟時に岸壁に投げるおもり付きのロープです。これが遠くまで飛ばないと綱取りの人が困りますし、何度も投げ直すと恥ずかしいです。新人船員が最初にぶつかる壁のひとつです。







































































































































僕も最初は全然飛ばなくて、何回も投げ直して先輩に笑われました。上に飛ぶし、届かないし、どっちの失敗もやりました。
コツをまとめると、まず最初は短く持って回し始め、徐々に長くして遠心力をつけます。腕だけで振らず、肩を使って体全体で回すのがポイントです。リリースのタイミングはステップで覚えるのが有効で、アゴを引いて目線を下げるだけでも飛距離が変わります。
また見落としがちですが、ヒービングライン自体が古くてゴワゴワだと飛びません。新品のナイロン系に変えるだけで飛距離が全然違います。道具のせいにしていいパターンもあります。
レットでよくある失敗パターン
新人が引っかかりやすい失敗は、大きく3つです。
1つ目は「上に抜ける」パターンです。力を入れすぎて目線が上を向いていると、レットも上に飛びます。アゴを引くだけでかなり改善します。
2つ目は「手前に落ちる」パターンです。回転の遠心力が足りないか、リリースが早すぎるのが原因です。最初は短く持って回し、ステップのタイミングで離す練習が有効です。
3つ目は「ロープが古い」パターンです。これは技術ではなく道具の問題で、ゴワゴワのラインは物理的に飛びません。新品に替えるだけで解決することもあります。
正直、10回もやれば感覚がつかめます。最初は失敗して当然なので、船長にちゃんと謝りつつ、空き時間にデッキで練習するのが一番の近道です。
レット巻き(パイナップル巻き)のコツ
レットの巻き方には「フットボール型」と「パイナップル型」があります。パイナップル型のほうが見た目がきれいで、ほどけにくいと言われています。







































































































































パイナップル巻きは船によっては「できて当然」とされますし、船によっては「フットボールでいい」で済みます。正直、どっちでも使えるならOKです。
覚えておきたいポイントは、重要なのは右手より左手のスナップだということです。ナイロン系はきつめに巻き、最初は手を軽く開いておくと抜きやすくなります。ビニール紐やセールトワインで練習するのは実際に有効で、家でも休暇中でもできます。










内航船のワッチ体制
内航船は基本的に1人ワッチが多いです。特に小型船は乗組員が少ないので、航海当直は1人で立つことになります。








































































































ワッチ体制は船の大きさと航路でまったく違います。僕の経験では、大型船(12人体制)では4時間×2回の3直制で、当直者のほかに見張りがついて2人体制でした。狭水道では船長も上がってくるので3人。大型船は人手があるので比較的安心感があります。
一方、小型のカーゴ(5人以下)は同じ3直制でも当直は基本1人です。狭水道でも船長が上がってくるかどうかは船によります。少人数なので、ワッチ以外の作業と掛け持ちになることもあります。
転職や就職活動のときは、「乗組員の人数」「狭水道で船長が上がるか」「ワッチ中の掛け持ち作業はあるか」を面接で確認しておくと、入ってからのギャップが減ります。同じ「内航船」でも、大型船と小型船ではワッチの負荷がまるで違います。
1人ワッチは最初は怖いですが、同じ航路を何十回も走っていると慣れます。ただし「慣れ」が一番危険なので、慢心しないことが大事です。










機関部の仕事内容と休暇中の勉強法
甲板部と比べて情報が少ない機関部。「機関の実務を体系的に学べるテキストがない」という声は昔から多いです。








































































































僕は甲板なので機関の実務は専門外ですが、機関部の「マニュアルがない」「機関長によってやり方が変わる」という問題は横で見ていてもよく分かります。
小さい船ほどこの傾向が強いです。整備記録すら残っていない船もありますし、引き継ぎが「口頭で5分」みたいな船もあります。対策としては、自分でメモを取って「自分用マニュアル」を作るしかありません。
新米機関部員の休暇中の勉強法










































機関部員の勉強は、全部まとめてやろうとすると続きません。「試験対策」「実務理解」「自分用の記録」の3つに分けると進めやすいです。
海技士国家試験は年4回実施されるので、まずは受験時期から逆算して勉強時間を決めるとブレにくくなります。実務理解の入口としては、「3級舶用機関整備士指導書」が日本財団のサイトで無料公開されているのでおすすめです。まず構造と用語を押さえて、試験対策は問題集(成山堂が定番)に切り替えるのが王道です。
現場では船ごとに手順が違うので、最後に効いてくるのは自分用のメモです。乗船中に「この船ではこうやった」を書き残しておくと、船が変わっても応用が利きます。
なお、日本財団の無料テキストは年度版の更新がある場合があります。古い版でも基本的な内容は変わりませんが、最新版が出ていないか一度確認しておくと安心です。
どちらにしても、免状は早めに取ったほうがいいです。僕は部員から免状を取って職員に昇格した結果、手取りが28万→40万に上がりました。










→ 4級海技士(航海)筆記試験対策|過去問横断分析+12回分データ
→ 4級海技士(航海)口述試験の答え方|出題69問の模範解答
船内でできる運動・ダイエット
乗船中は運動不足になりがちです。陸のようにジムやランニングコースがあるわけではないので、船内でできる運動を工夫する必要があります。







































































































































船内での運動は船の大きさや船長の方針によって制約が異なります。大型船ならデッキウォーキングができますが、小型船では安全上の理由で許可されないこともあります。
どの船でも取り組みやすいのは、折りたたみ式のエアロバイクです。場所を取らず、音も静かで、ワッチの合間にも使えます。狭い船室でもたためばコンパクトに収納できるので、乗船時に持ち込む船員も増えています。
船内の大掃除やデッキ整備も立派な運動です。仕事をしながらカロリーを消費できるので、意識して体を動かす習慣をつけると、乗船中の体型維持がかなり楽になります。










船員手帳の健康診断
船員手帳には健康診断の有効期限があり、定期的に受診する必要があります。休暇日数が限られる船員にとって、いつ・どこで受けるかは意外と重要な問題です。









































































健康診断の費用は病院によって3,500円〜25,000円と大きな差があります。指定医の先生が常にいるクリニックなら即日受診できることもありますが、大きい病院だと月1回しか先生が来ないケースもあります。
僕の場合は大きめの病院で受けていて、費用は1万円程度です(会社負担)。手帳は即日で返してもらえるので、休暇中に1日使えば終わります。
35歳以上は検査項目が増えて費用も上がるので、事前に確認しておくのがおすすめです。35歳以下なら持ち物は手帳と保険証だけで済みますが、35歳以上になると検便なども加わるのでその分手間が増えます。
予約前に確認すべき3つのこと
船員手帳の健康診断でまず大事なのは、「その病院が船員の指定医かどうか」を確認することです。船員の健康証明書は指定医の判定がないと就労に使えません。さらに、検査結果に基づく判定は検査から3ヶ月以内のものに限られます。
予約の電話をするときは、最低でも次の3つは聞いておきたいです。
1つ目は「指定医の判定までその場で完了するか」。指定医が週1〜月1でしか来ない病院もあるので、行く前に確認が必要です。
2つ目は「当日、手帳は返してもらえるか」。病院によっては1週間以上かかることがあり、乗船日に間に合わなくなるリスクがあります。
3つ目は「対応できない検査項目はないか」。一部の検査項目に対応していない病院もあり、その場合は別の病院で追加の検査が必要になります。
指定医の一覧は国土交通省のサイトで公開されています。毎回使える病院を1つ見つけておくと、休暇のたびに探し回る手間がなくなってかなり楽です。
有効期限が航海中に切れる分には問題ありませんが、停泊中に受診できるタイミングがあるのに行かないと、労務監査で指摘される可能性があります。休暇の予定が分かった時点で早めに予約を入れておきましょう。










この記事の内容を面接で確認するなら
ここまで紹介した話題は、そのまま転職・就職時の面接で聞くべきポイントにもなります。入ってから「聞いてない」を減らすために、面接で確認しておきたい質問をまとめました。
面接で確認しておきたい質問
- 「仮バースは週にどのくらいありますか?」(生活の余裕度が分かる)
- 「ワッチ体制は何人ですか?狭水道で船長は上がりますか?」(当直の負荷が分かる)
- 「乗組員は何人体制ですか?」(1人ワッチかどうかが分かる)
- 「健康診断の費用は会社負担ですか?」(自腹だと毎回の出費になる)
- 「機関部の引き継ぎ資料や整備記録はありますか?」(教育体制が分かる)
これらは「待遇」の質問ではなく「働き方」の質問なので、面接で聞いても印象は悪くなりません。むしろ、こういう具体的な質問ができる応募者のほうが、会社側も「ちゃんと調べてるな」と評価しやすいです。
まとめ:船の日常は乗らないと分からない
今回紹介したのは、教科書には載っていない「船員の日常のこまごましたこと」ばかりです。でも実際に乗ってみると、こういう小さな知識が毎日の生活を楽にしてくれます。
特に未経験から乗る人は、こういうリアルな情報を事前に知っておくだけで最初の不安がだいぶ減ると思います。
→ 未経験・無資格・借金150万から船員になった僕の3社転職記録
※この記事は現役・元船員の口コミをもとに構成しています。船種や会社の実態は時期や個々の船によって大きく異なります。就職・転職の際は必ず面接等で最新の情報を確認してください。



