







この記事はこんな方におすすめ
- 「神戸大・海洋大・水産大・海技短大・高専、どれがいいか分からない」
- 「外航船員になるにはどの学校を出るべきか知りたい」
- 「浪人してでも商船大に行くべきか迷ってる」
- 「学校ごとの就職先の違いを知りたい」
- 「外航の給料や年齢制限を知りたい」
※この記事の内容は現役・元船員の口コミをもとにした参考情報です。各学校の最新の入試情報や就職実績は公式サイトで確認してください。
学校によって就職先が決まる──まずは全体像を知ろう
船の学校は色々ありますが、どの学校を出たかで就職先の選択肢がほぼ決まります。これは他業界と比べても顕著な特徴です。
大まかな住み分けはこうなっています。
| 学校 | 主な就職先 | 卒業時の免状 |
|---|---|---|
| 東京海洋大・神戸大 | 外航大手~中堅、大手内航、官公庁 | 3級(筆記)、在学中に2級・1級も可 |
| 水産大学校(下関) | 外航中堅、内航大手、官公庁船 | 3級(専攻科修了時) |
| 東海大・高専 | 大手フェリー、内航士官、外航は一部トップ層のみ | 3級(筆記) |
| 海技短大(JMETS)→海技大 | 内航士官、一部フェリー | 海技大修了で3級(筆記) |
| 海技短大のみ | 内航部員~士官 | 4級(筆記) |
| 水産高校・海洋高校 | 内航部員、地元フェリー・離島航路 | 4級(筆記受験資格) |
もちろん例外はあります。海技短大から外航に行った人もいますし、商船大を出て内航に行く人もいます。ただし「確率」で考えると、上の表がほぼ現実です。



















学校名より「どの資格ラインに届くか」で考えよう
進学先を選ぶときは、学校名の知名度より「卒業時点でどの免状ラインに届くか」を基準にした方が失敗しにくいです。
| ルート | 卒業時の到達点 | 外航に必要な追加ステップ |
|---|---|---|
| 東京海洋大・神戸大 | 3級筆記免除+在学中に2級・1級筆記も取得可。三海通・ECDIS等も在学中に積みやすい | 乗船実習科修了→口述合格→就職 |
| 水産大学校(専攻科修了) | 3級筆記免除。航訓の船に乗らなくて済む | 口述合格→就職 |
| 東海大(乗船実習課程修了) | 3級筆記免除 | 口述合格→就職。ただし外航大手の採用実績は少ない |
| 高専→東京海洋大・神戸大に編入 | 編入先と同じ到達点 | 編入学が前提。高専のみでは外航は狭き門 |
| JMETS海技大学校(専攻コース) | 3級筆記免除。一般大卒・社会人の再進入ルート | 口述合格→就職 |
つまり、東京海洋大・神戸大が強いのは「在学中に上級免状の筆記+三海通+TOEIC+ECDISまで積める環境が整っている」からです。学校名そのものだけでなく、この「到達点の高さ」が外航大手の採用に直結しています。
外航を目指すなら──東京海洋大・神戸大が圧倒的に有利
外航船員(日本郵船・商船三井・川崎汽船などの大手を含む)を本気で目指すなら、東京海洋大学か神戸大学の2択というのが業界の共通認識です。
この2校には外航大手からの採用枠があり、毎年安定して複数名が入社しています。実際に、両校の公式サイトでも主要な就職先として日本郵船・商船三井・川崎汽船・飯野海運・NSユナイテッド海運・出光タンカーなどの名前が確認できます。他の学校からも外航に行けなくはないですが、各校のトップ1~2名がかろうじて入れるかどうかという狭き門です。
いずれも国立大学で、授業料は年額53万5800円(入学料28万2000円)が基本です。学費の面でも、後述する東海大と比べるとかなり抑えられます。
東京海洋大のポイント
東京海洋大は3年進級時にコースの振り分けがあります。2年終了時の成績で振り分けられるため、大学に入ってからも勉強しないと、外航どころか内航にも行けないことがあります。
機関科(エンジン)については、なり手が少ないためデッキよりは比較的入りやすい傾向があります。
神戸大のポイント



















東京・神戸のどちらが良いかは一概に言えませんが、就活経験者の間では「外航航海士を目指すなら東京の方がメリットが多い」という声もあります。
なお、神戸大は乗船実習科が6ヶ月間(授業料26万7900円)です。卒業までの費用と期間は事前に確認しておくことをおすすめします。
外航に必要な資格
外航船に乗るためには海技免状だけでは足りません。以下の資格も必要になります。
- 海技免状:2級筆記は必須。できれば1級筆記も在学中に
- 三海通(3級海上無線通信士):外航船の航海士には必須
- TOEIC:会社によって求める点数は異なるが、高得点であるほど有利。700点以上あれば「まるっきり無理ということにはならない」レベル
特にデッキ(甲板部)はこれらすべてが求められます。エンジン(機関部)はデッキに比べてなり手が少ないため、条件はやや緩い傾向があります。
水産大学校(下関)──コスパの良い第三の選択肢
東京海洋大・神戸大に次ぐ選択肢として注目されているのが下関の水産大学校です。
水産大は国立相当の学費で安く、偏差値も東京・神戸ほど高くありません。専攻科を含めると卒業まで4年以上かかりますが、3級海技士の実免が取れます。公式の就職先にも日本郵船や外航商船の名前が並んでいます。
就職状況
専攻科を修了して船に乗る学生は約25人のうち半数程度。そのうち半数が外航商船や官公庁船に就職し、残りが内航という構成です。






































水産大は「大卒」の学歴になるため、仮に船を辞めた後も陸上への転職で学歴を活かせるのもメリットです。
海技短大との比較
海技短大と水産大のどちらに行くか迷う人も多いですが、結論としては外航や大手を視野に入れるなら水産大の方が有利です。



















ただし、地元のフェリーや離島航路を目指すなら海技短大で十分ですし、早く現場に出られるメリットもあります。
学校選びのポイント
水産大・商船大のメリット:大卒の学歴、船を辞めた後も転職に有利
→ 可能な限り上の学校を目指すのが一番良い。ただし、その先のキャリアを見据えて選ぶこと。
東海大学は要注意
東海大学海洋学部(海洋理工学科 航海学専攻・定員20名)も航海士を養成していますが、コストパフォーマンスの面で慎重に考えるべきという声が多いです。
私立大の学費に加えて乗船実習課程(約600万円程度)がかかるため、総額がかなり高額になります。国立の東京海洋大・神戸大・水産大とは学費だけで数百万円の差がつきます。
それでいて就職先は東京海洋大・神戸大と比べると差があり、現場でも「大卒のくせに」という目で見られることがあるという声もあります。
東海大を検討する場合は、まず東京海洋大・神戸大・水産大が学力的に無理かどうかをしっかり確認してからの方が良いでしょう。
高専からの外航は狭き門
大島商船高専や弓削商船高専からも外航に行くことは不可能ではありませんが、各校のトップクラスの1~2名だけというのが現実です。年によってはゼロの年もあります。
高専から外航を確実に狙いたい場合は、東京海洋大・神戸大への編入学が現実的なルートです。実際にこのルートで外航に入っている人もいます。
高専の強みはむしろ内航や大型フェリーの士官です。海技学校卒でも上級免状を取れば部員から士官→船長も目指せるため、外航に固執しないなら高専は十分に良い選択肢です。
浪人してでも商船大に行くべき?
「浪人してでも東京海洋大・神戸大に行くべきか」はよくある質問です。
結論としては、外航を本気で目指すなら1~2浪は十分アリです。ただし3浪以上は就職で不利になるリスクが高まります。
年齢と就職の関係──「制度上の条件」と「採用の実態」は別物
年齢制限の話は、2つに分けて考えた方が判断しやすいです。
①制度上の年齢条件──外航船員になるために「○歳以上は受験不可」といった法的な年齢制限はありません。海技免状の取得にも年齢上限はなく、制度上はいくつでも目指せます。
②採用慣行としての年齢──一方で、企業の採用選考では年齢が見られています。外航の大手は、海上勤務の後に陸上勤務(海務監督など)に移るキャリアパスが前提です。そのため社内の年齢構成を考えると、新卒の年齢は若い方が有利です。






































意見が分かれる話題ですが、ポイントは2つです。
①年齢のハンデは「実力+αの経歴」でカバーする必要があります。成績上位であること、在学中に上級免状の筆記を取っていること、TOEICのスコアが高いことなど、同期より秀でた部分がないと厳しいです。
②内航なら年齢はほとんど関係ありません。内航は陸上勤務がほぼなく、企業規模も小さいため、年齢よりもやる気と実力が優先されます。
























外航船員の給料
外航船員の給料は内航と比べてかなり高い水準にあります。
新卒の場合
大手外航の新卒は、乗船中の月額で額面50万円以上というのが一般的なラインです。乗船手当や時間外手当が加わるため、陸上勤務期間と合わせた年収は会社によって異なりますが、1年目から高い水準です。






































ただし外航は乗船期間が長く(3~6ヶ月以上)、乗っている間は自由がほとんどありません。高い給料にはそれなりの代償があります。
内航との比較
外航の給料が高いのは事実ですが、内航にも内航の良さがあります。



















給料だけで判断するのではなく、生活スタイルも含めて考えることが大事です。
外航船員の年齢制限
外航船員を目指す場合、年齢は重要なファクターです。
新卒の場合
前述の通り、東京海洋大・神戸大の新卒であれば+2年(24~25歳)くらいまでは問題ないとされています。+3年以上は不利になる可能性がありますが、絶対に無理というわけではありません。
中途で外航を目指す場合
内航から外航への転職は、27~28歳がひとつの目安とされています。



















30代で内航から外航に転職した例はありますが、40代になるとかなり厳しくなります。外航を少しでも考えているなら、SECOJの合同説明会(3級以上+三海通が参加条件)にまず参加してみるのがおすすめです。
ただしSECOJは「知名度の低い外航船社」が中心で、大手に入れるわけではありません。地方の外航船社の給料は内航並みかそれ以下のこともあります。それでも「外航の経験を積む入口」としてはありで、そこから優良企業に転職するルートもあります。
一般大卒・社会人から船乗りを目指すルート
商船系の大学・高専を出ていなくても、外航を目指す道はゼロではありません。
JMETS海技大学校には、一般大学卒や社会人を対象とした専攻コース(航海・機関各5名程度)があります。このコースを修了すれば3級海技士の筆記免除が得られるため、「大学を出てから船の道に入る」再進入ルートとして機能しています。
また、SECOJには若年船員向けの育成スキーム(原則30歳目安)もあります。ただしこれは「就職先の船社が決まった状態で訓練を受ける」仕組みなので、どの会社とマッチングするかで待遇が大きく変わります。
いずれのルートも「年齢が若いほど有利」なのは同じです。検討するなら早めに動くことをおすすめします。
20代後半で商船大に入り直す価値はあるか?
「20代後半で商船大に入って海上職で就職できるか?」という質問もよくあります。

























































大手外航のように「海上→陸上→管理職」というキャリアパスがある会社では年齢が重視されますが、中堅以下の会社で「ずっと海上勤務」なら年齢のハンデは小さくなります。自分が何を目指すかによって、最適な戦略は変わります。
→ 未経験・無資格・借金150万から船員になった僕の3社転職記録
外航の日本人船員はどのくらいいるのか
国土交通省海事局の統計(2024年10月1日時点)によると、日本人の外航船員は予備員を含めて約2,100人です。かつては5万人以上いましたが、混乗船化(外国人船員との混乗)が進んだ結果、大幅に減少しました。
地方港で年間数百隻の外航大型船が入港しても、そのうち日本人が乗っているのは10隻以下というのが現状です。
外航の日本人船員は今でもある程度のニーズがありますが、特に求められているのは「トラブル対処と本船修理が普通にできて、ルーチンワークを書類含めてきっちりできて、人間関係を無難にこなす」レベルの中堅以上のエンジニアです。



















つまり「外航は門が狭い」一方で、「入ってからちゃんとやれる人は貴重」という状況です。
外航の生活
外航船の生活は内航とはかなり異なります。
乗船期間
一般的に3~6ヶ月の乗船が基本ですが、中小の会社では乗船期間が不安定になることがあります。



















大手は比較的きちんと乗下船のサイクルが管理されていますが、中小は「その時の状況次第」になりがちです。
上陸と日用品
外航船では寄港地で上陸できる時間が限られていたり、そもそも上陸できないこともあります。日用品はバンカー(燃料補給)のタイミングで船食業者に頼んだり、乗船前に大量に送りつけるのが一般的です。
また、近年はテロ対策の強化で各国の入国手続きが厳格化しており、パスポートは外航船員には事実上必須です。船員手帳だけでOKだった時代は過去の話です。アメリカ航路ではVISAも必要ですし、ロシアではパスポートと船員手帳の両方にスタンプが押されます。
船を辞めた後のキャリア
船員を一生続ける人もいますが、途中で陸に上がるケースも少なくありません。
外航の大手であれば「海務監督」「船舶管理」「安全管理」などの陸上ポストに移るのが一般的なキャリアパスです。中堅以下の会社では、自分で転職先を探す必要があります。
船員の経験を活かせる陸上の仕事としては、以下のようなものがあります。
- 海務監督・機関監督(船舶管理会社)
- 港湾管制・運行管理
- 水産高校・海洋高校の教員(3級海技士+航海士5年以上で教員免許に)
- 海事代理士
- 船級協会・保険会社のサーベイヤー



















この口コミの意味は、「船を辞めた後」も含めたトータルのキャリアを考えると、大卒の方が選択肢が広いということです。海技短大卒で内航に行くのが悪いわけではありませんが、将来の選択肢を最大化したいなら、できるだけ上の学校を目指す方が良いのは事実です。
あなたの状況別おすすめルート
| あなたの状況 | おすすめの学校 | ポイント |
|---|---|---|
| 外航大手に行きたい | 東京海洋大 or 神戸大 | 成績上位+2級筆記+TOEIC必須 |
| 外航に行きたい(大手以外でもOK) | 水産大学校(下関) | コスパ良し。機関科は外航実績あり |
| 内航の大型船・フェリー士官 | 高専 or 東海大 | 高専はコスパ良い。東海大は学費に注意 |
| 内航士官(早くスタートしたい) | 海技短大 → 海技大 | 3年で3級筆記。進学で士官採用の道が開く |
| 内航(とにかく早く船に乗りたい) | 海技短大のみ | 2年で卒業。20歳で現場に出られる |
| 地元のフェリー・離島航路 | 水産高校 or 海技短大 | 地元の水産高しか採らない会社もある |
| 一般大卒・社会人から目指す | JMETS海技大学校(専攻コース) | 航海・機関各5名。3級筆記免除ルート |
| 20代後半・学校行く余裕がない | 無資格で内航に就職 | 部員→免状取得→士官のルート |
オープンキャンパスで聞くべき5つの質問
外航志望なら、オープンキャンパスでは雰囲気を見るだけでは足りません。最低でも次の5つは聞くことをおすすめします。
- ①最近3年で外航に行った人数と会社名──パンフレットに書いていない年もあるので直接聞く
- ②海上就職と陸上就職の比率──入学者のうちどれくらいが実際に船に乗るのかが分かる
- ③専攻科・実習科まで進む人の割合──進学率が低い学校は、途中離脱が多い可能性がある
- ④途中で進路変更する人が多いポイント──挫折しやすい時期やその理由が事前に分かる
- ⑤外航志望者が在学中に取っている資格や準備──入ってから何をすべきかの具体的なイメージが湧く
この5つを聞けば、その学校が「外航に強いように見える」だけなのか、「本当に毎年送り出している」のかがかなり分かります。
パンフレットに載っていない数字まで答えられる学校は、進路指導の実務も強いことが多いです。
最後に:学校選びは「入口」、大事なのは入ってからの努力
ここまで学校ごとの違いを解説してきましたが、大事なことを最後に。
どの学校に入っても、そこからの努力次第でキャリアは大きく変わります。
東京海洋大に入っても成績が悪ければ外航には行けませんし、海技短大から入っても独学で上級免状を取って船長になった人はたくさんいます。
学校はあくまでスタートライン。その先のキャリアを見据えて、今できる最善の選択をしてください。








※この記事は現役・元船員の口コミをもとに構成しています。各学校の入試制度・就職実績・カリキュラムは年度によって変わるため、最新情報は各校の公式サイトで確認してください。



