













この記事はこんな方におすすめ
- 「未経験から船員になる方法を知りたい」
- 「学校に行くべきか、すぐ就職すべきか迷ってる」
- 「海技短大に社会人・30代からでも入れるか知りたい」
- 「求人の探し方が分からない」
- 「30代・40代からでも船乗りになれるか知りたい」
※この記事の内容は現役・元船員の口コミをもとにした参考情報です。制度の詳細は必ず公式機関に確認してください。
未経験から船員になるルートは大きく2つ
未経験から船員になる方法は大きく分けて2つあります。
ルート①:学校に行ってから就職する
水産高校、海技短大(JMETS)、海技大学校、商船系大学・高専などに通い、在学中に海技免状を取得してから就職するルートです。
ルート②:学校に行かず、すぐ就職する
未経験・無資格の状態で海運会社に部員(甲板員や機関員)として就職し、働きながら乗船履歴を貯めて海技免状を取得していくルートです。
| 学校ルート | 直就職ルート | |
|---|---|---|
| 期間 | 2年~4年(学校による) | すぐ働ける |
| 費用 | 学費+生活費で200~300万円程度 | ゼロ(むしろ稼げる) |
| 免状取得 | 在学中に4級~3級の筆記が取れる | 乗船履歴3年後に受験資格 |
| 就職先の質 | 教育体制のある会社に入りやすい | 人手不足の会社が多い |
| 向いてる人 | 20代・金銭余力あり・機関部志望 | すぐ稼ぎたい・甲板部志望 |
どちらが正解ということはなく、年齢・お金・時間の余裕・甲板部か機関部か・最終的にどこまで目指すかで変わってきます。
筆者自身は年齢と金銭面の事情で直就職ルートを選びましたが、振り返ると学校に行けばよかったと思っています。入れる会社の選択肢がまったく違うからです。もし今20代で機関部志望なら、迷わず大学に行きます。
ただし現場の声として一つ、知っておいてほしいことがあります。












































































学校に行く余裕があるなら学校に行くのが鉄則、というのが多くの現役船員の共通見解です。ここから先は、それぞれのルートを詳しく見ていきます。
航海(甲板部)と機関、どっちに進む?














| 航海(甲板部) | 機関部 | |
|---|---|---|
| 主な仕事 | 操船・見張り・荷役・係船作業 | エンジン整備・保守・機関当直 |
| 向いてる人 | 海や操船が好き、外で動くのが好き | 機械いじりが好き、一人で集中できる |
| 無資格の求人 | 甲板員の求人は豊富 | 機関員の求人は少ない |
| 学校の必要性 | 直就職ルートも十分あり | 学校経由が強く推奨 |
機関志望なら学校がおすすめな理由
無資格の機関員の求人は甲板員に比べて少なく、求人があっても司厨兼務を求められるケースがあります。また、航海中にエンジンをばらして整備する経験は実務ではなかなかできませんが、学校では実習として経験できます。機関部志望なら学校に行く価値は大きいです。
甲板部志望の場合
甲板員は無資格でも求人が豊富です。タンカーや貨物船の甲板員として乗り始めて、働きながら海技免状を取るルートが現実的な選択肢になります。ただし「入れる会社の質」は学校卒と無資格で大きく変わるため、余裕があるなら学校に行く方が長期的に有利です。












































































航海と機関の求人データ比較や給料の違いは以下の記事で詳しくまとめています。
学校の種類と選び方
船の学校にもいろいろな種類があります。それぞれの特徴をまとめます。
水産高校・海洋高校(中学卒業後)
中学生が最初に選べるルート。卒業すると4級海技士の筆記試験が受けられるようになります。内航船の部員~士官を目指す人が多いです。
海技短大・JMETS(高校卒業後・2年制)
宮古・波方・清水・館山などにある国立の学校で、旧称は「海員学校」です。2年で4級海技士の筆記が取れます。卒業後は内航船の部員~士官での就職が一般的です。
就活のタイミングは2年生の7月あたりから解禁で、乗船実習をしながらの就活になります。1年生のうちから求人票を調べたり、会社訪問・船見学・海技者セミナーに行っておくと有利です。
在学中に3級の筆記試験に受かると就職活動で高評価になります。
海技大学校(海技短大卒業後・1年制)
海技短大を卒業したあとさらに1年間進学するルート。3級海技士の筆記にチャレンジでき、卒業時には「士官採用」の求人に応募できるようになります。
3級の航海では4級にはないsin/cosを使った天測計算や海図作業が加わりますが、手順を覚えてしまえば独学でも十分合格できます。












































































3級の天測計算が不安な方へ
過去問12回分の出題分析と、sin/cosの電卓操作を15ステップで解説したnoteを用意しています。
海技大学校・専攻科(一般大学卒も入学可能)
2024年から新設された専攻コースでは、一般大学卒でも入学が可能です。航海・機関各5名程度の少人数制。情報がまだ広まっていないため、船と無関係の学部を卒業した人にとっては穴場のルートになり得ます。
商船系大学・高専
東京海洋大学、神戸大学、大島商船高専、弓削商船高専など。外航の大手(日本郵船・商船三井・川崎汽船)を目指すなら、大学ルートが一般的です。高専からも外航に行けます。












































































尾道海技学院(6級短期課程)
学費は約70万円~。座学2.5ヶ月+乗船実習2ヶ月の約5ヶ月間。40代以上で機関部を目指す人にはここが最もコスパが良いです。甲板部志望の人も利用可能です。
社会人・30代から海技短大に入れる?














海技短大(JMETS)は高校卒業以上であれば年齢を問わず出願できます。近年は社会人からの志願者が増えており、クラスに社会人経験者がいるのは珍しくありません。
出願条件を先に確認しよう
学校に行くかどうかを考える前に、まず自分が出願条件を満たしているか確認しましょう。JMETSの海技短大の場合、共通の条件は以下のとおりです。
18歳以上・高校卒業以上(または同等の学力)が基本条件で、入試は学力試験+面接+身体検査で行われます。身体基準(視力・色覚・聴力)も公開されていますので、各学校の募集要項で確認してください。
年齢の上限は制度上ありません。JMETSのFAQでも年齢制限なし・社会人入学ありと案内されています。
30代でも入学できる?
制度上は年齢制限がないため、30代でも出願可能です。実際に30代で入学して卒業後に就職している人はいます。












































































ただし、就職活動では年齢が影響するのも事実です。卒業時の年齢が若い方が有利なので、検討するなら早めに動くことをおすすめします。
大卒でも入れる?
大卒でも問題なく入学できます。船とまったく関係ない学部の出身者も在籍しています。2024年に新設された海技大学校の専攻科は、一般大学卒を明確にターゲットにしたコースです。
社会人入学で厳しいこと
2年間の収入ゼロ期間が最大のハードルです。学費に加えて生活費も必要になり、トータルで200~300万円程度はかかる計算になります。奨学金制度や教育訓練給付金が使える場合もあるので、各学校に確認してみてください。
また、学校によってはホームページに書いていない暗黙の年齢上限がある場合もあります。気になる学校には事前に電話で確認するのが確実です。






































40代以上の場合
40代以上で海技短大に行く人もいますが、就職面での不利は否めません。40代以上であれば、尾道海技学院の6級短期課程(約5ヶ月・約70万円)か、未経験OKの会社に直接就職して働きながら免状を取るルートの方が現実的です。












































































6級海技士で就ける仕事・求人の実態はこちらの記事でデータ分析しています。
学校に行かず直就職する場合
すべての会社がそうではないですが、無資格未経験者を募集している会社は慢性的に人が足りていないことが多く、船内の人間関係が良くないこともあります。
そんな中に何も分からない状態で入っていくのは大変です。でも転職も容易な業界なので、あまり気負わずに飛び込んでみてもいいと思います。
























































































































































ポイント
独学でも十分取得可能なので、定期試験を受けられるタイミングがあれば積極的に受験しましょう。
未経験者が最初の3ヶ月をどう乗り越えるか、求人の探し方、面接で確認すべきこと、ブラック会社の見分け方などの実践的な内容は、こちらの記事にまとめています。
求人の探し方と就職までの流れ
未経験で船乗りになる場合、求人をどこで探すかが重要です。主な方法は3つあります。
① 海のハローワークネットで検索する
船員専用の求人サイトです。船種・資格・地域で絞り込んで検索できます。
② 運輸局で求職者登録する
登録するとネット上には公開されていない未公開求人も見られるようになります。さらに、求職情報を船会社に公開すると、あなたを気になった会社から電話が来る仕組みも利用できます。最近ではインターネットからも求職登録ができるようになりました。
③ 海技者セミナー(合同説明会)に参加する
複数の船会社と直接話ができる合同説明会です。国交省・運輸局が各地で開催しています。
就職が決まったら、船員手帳の作成と指定医での健康診断が必要になります。具体的な手続きの流れ・必要書類・面接で確認すべきことは、以下の記事で詳しく解説しています。
お金がない場合の選択肢
「学校に行きたいけどお金がない」という方には、いくつかの方法があります。
① 資格取得支援のある会社に就職する
無資格で就職して、会社のサポートを受けながら免状を取る方法です。試験前に休暇をくれたり、費用を負担してくれる会社もあります。






































② 海上自衛隊・海上保安庁に入る
衣食住が保証された環境で給料をもらいながら乗船履歴を付け、海技免状の取得を目指す方法です。






































ただし注意点もかなりあります。















































自衛隊から内航船への転職について詳しく知りたい方はこちらも参考にどうぞ。
③ 使える支援制度を調べる
学校に行く場合、費用を抑えられる制度がいくつかあります。
SECOJ(船員教育・訓練センター)では資格取得訓練や各種講習を受講料無料で提供しています。また、尾道海技学院などの民間学校では公共職業訓練としての受講や、教育訓練給付制度の対象になっている場合があります。
利用条件や対象コースは時期によって変わるため、各学校やハローワークに直接問い合わせてみてください。
知っておきたい制度:一括公認と部員→士官
一括公認とは
船種選びの際に知っておくと得する制度が「一括公認」です。
通常、乗船履歴は「実際に船に乗った日数」で計算されますが、一括公認の会社では会社の在籍期間がそのまま乗船履歴になります。つまり休暇中であっても会社に在籍している限り、乗船履歴が貯まり続けます。















































ただし、一括公認はすべての会社が対象ではありません。応募前に「一括公認の対象かどうか」「履歴証明書の発行方法」を会社に確認しておきましょう。通常の乗船履歴とは証明の仕方が異なるため、受験時に書類が足りないというトラブルを防げます。
部員から士官になれるの?
部員から入っても、免状を取れば士官になることは可能です。ただし知っておくべきことがあります。


















































































































あなたの状況別ロードマップ














年齢の目安
内航船の部員(甲板員・機関員)は年齢制限がゆるい会社が多く、30代・40代からの未経験転職は十分可能です。外航は27~28歳がラストチャンスと言われている会社もあります。












































































| あなたの状況 | おすすめルート | 最初のステップ |
|---|---|---|
| 中学生 | 水産高校 or 高専 | 学校見学に行く |
| 高校生 | 海技短大 or 大学 | JMETS・大学のオープンキャンパスへ |
| 大学生(船と無関係の学部) | 海技大学校・専攻科 or 無資格で就職 | 専攻科の募集要項を確認 or 海のハローワークネットで検索 |
| 社会人(20代) | 海技短大 or 無資格で就職 | 運輸局で求職者登録 |
| 社会人(30代~) | 無資格で就職 or 尾道で6級 | 運輸局で求職者登録 |
| お金がない | 資格取得支援ありの会社に就職 | 海のハローワークネットで「資格取得支援」を確認 |
| 機関部志望 | できれば学校(短大 or 尾道) | JMETS or 海技大学校に問い合わせ |
| 外航を目指す | 大学 or 海技大学校 | 27歳前にSECOJの説明会へ |
給料の現実については、船種・会社・役職別の具体的な数字をこちらの記事にまとめています。
Q&A
未経験におすすめの船は?


















































































































無資格は船ではどんな扱いされるの?












































































職歴なし30歳のフリーターなんだけど












































































40代半ばのサラリーマンでも内航の船員になれますか?


















































































































最後に:船種より「会社選び」が大事
ここまで色々なルートを紹介してきましたが、最終的に一番大事なのはどの会社に入るかです。
同じ船種でも会社によって待遇も雰囲気も全然違います。気になる船種が見つかったら、次はその船種の中でどの会社がいいかをしっかり調べてみてください。






































→ 未経験・無資格・借金150万から船員になった僕の3社転職記録









※この記事は筆者の3社勤務経験、および掲示板・業界関係者からの情報をもとに構成しています。制度・求人・進学先の情報は時期によって変わる場合があります。最新の情報は各公式サイトや運輸局に確認してください。





