こんにちは。船員くんです。(@tankerkun)
この記事は司厨の仕事を知りたい人に向けて作成してます。
「船の司厨をやってみたいけど、どんな料理を出せばいいのかわからない。
食材の買い物はどうしてるか知りたい。常備しておいた方がいい食材を知りたい!資格は必要?」
こういった疑問に答えます。
司厨が作る料理は「家庭料理」で十分です


食の好みは人それぞれ
これから船の司厨として働き始める人は、どんな料理を出せばいいかわからないことが多いと思います。
僕個人としては、船で一番の楽しみは食事だと思っているので珍しい物や食べたことない料理を食べたいと思っていますが、
船舶料理士として働いていた僕の経験から言えば、いつも食べているような家庭料理で十分です。
理由として手の込んだ料理や珍しい料理を作ったとしても、喜ぶ人もいれば喜ばない人もいるからです。
船に乗っている人は年齢から出身地までバラバラなこともあり、特に年配の人は肉料理や、食べ慣れない料理を残す傾向が多いです。
逆に若い人は魚や野菜を食べない傾向が多いです。
せっかく時間をかけて手の込んだ料理を作ったとしても、食べる人の好き嫌いが理由で手もつけずに残された時はとても悲しい気持ちになります。
実際、人数分の焼肉をホットプレートで焼いて食べてもらおうと提供した時も全く手をつけない人がいたし、
鮮度のいい魚の姿作りを出した時も全く手をつけない人がいました。
でも、カレーや焼きそば、唐揚げやチャーハンなどの子供が好きそうな定番の料理は人気がありました。
ですので、僕は家庭料理を出せば十分だと思います。
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料理を提供する上で大切な3つのポイント
レストランや食堂などでも基本的なことではありますが、ポイントは
- 「温かいもの温かく」
- 「冷たいものは冷たく」
- 「できるだけ出来立てを提供する」
料理がある程度できる人であれば、作り置きをしておけば仕事が楽になることは理解できると思います。
ですが、それだと乗組員からの評判があまりよくない司厨になって、ワッチ中に食事の悪口の話題が多くなると思います。笑
僕が司厨になる前に乗っていた別の司厨は、朝のうちに夜ご飯に出す用の揚げ物を揚げていました。
そうすると、「衣がふにゃふにゃで油っぽく冷たい揚げ物」を夜に食べなければなりません。
それが美味しいわけもなく、その日の残飯を捨てるバケツには大量の揚げ物が入っていました。
揚げ物が好きな乗組員が多い船でしたので、揚げたてであればおそらく残飯として残ることはなかったと思います。
大切なポイントを守った基本的な家庭料理を提供できれば十分です。

食材の仕入れは入港地のスーパーか船食業者で仕入れます


司厨の大切な仕事の中の一つに、食材の仕入れがあります。
決められた予算の中で、人数分の食料を仕入れなければなりません。
予算は船と会社によって違いますが、大体1人あたり1日で1200円〜2000円の間に設定されていると思います。
食材の仕入れは、体力と時間と神経の全てを使うので出来るだけ早いうちに慣れることをおすすめします。
司厨の食材の仕入れ場所は乗ってる船や会社によって様々なパターンがあります。
大体が入港地のスーパーで買うか、船食(船の食材の専門業者)に事前に発注したのを配達してもらうことが多いです。
スーパーの場合
スーパーで仕入れる時は、船からスーパーまで専用の車で往復の送迎をしてくれるスーパーもあれば、タクシーで往復しなければならない場合もあります。
会社によっては経費削減のためなのか、船からスーパーまで自転車で往復されられる会社もあるようですが、こういう会社はおすすめしません。
一度に仕入れる量が自転車に積めるだけと限定されてしまいますし、大量の荷物を自転車の荷台に積んで走っても転ぶ未来しか想像できません。笑
スーパーで仕入れる際は1度の買い物でカート7台分ぐらい買うことが普通にあります。
商品をレジに通していくだけでも30分ぐらいかかったりしますので、港の近くのスーパーは船員専用レジがあったりします。
こういうスーパーは店員さんも慣れていて、レジを通した商品を次々にバナナ箱に入れてくれたりするので、買い物をするのが非常に楽です。
スーパーでの仕入れのメリットとして
- いつも買っているような普通の値段で買える
- 自分で食材を目で見て選びながら買うことができる
- 急に必要になった食材を買うことができる
デメリットとしては
- 商品を選ぶのが大変
- 購入した食材の箱詰め、搬送が大変
- 場所によっては品揃えが悪く、買いたいものが買えない
- 買い物カゴに入れる食材の順番を考えなければならない(生鮮食品、冷凍等)
といったことが挙げられます。
まとめると、スーパーでの仕入れは
買いたいものが安く買えることが多いですが、その代わりに時間と体力を使うことが多いです。

船食(船の食材の専門業者)の場合
船食で仕入れる場合、港に入港する2〜3日前に電話かFAXであらかじめ発注しておきます。
そうすれば入港日に発注した食材を船まで持ってきてくれます。
船食での仕入れのメリットとして
- 自分で買い出しに行かなくていいので時間と体力の節約になる
デメリットとしては
- 普通のスーパーより値段が2〜3割高い場合が多い
- 発注した食材が揃わない場合がある
- 欲しいものを事前に伝えておかなければならない
- そもそも入港地に船食がない場合がある
といったことが挙げられます。
食料金に余裕がある場合は船食を多めに使っても問題ありませんが、
食料金が少ない時はあまり使えません。
ちなみに僕の場合は船食はほとんど使わずに、スーパーで仕入れをしていました。
保存の効く食材や冷凍できる食材を活用してうまくやりくりしましょう。

これだけは常備しておいた方がいい食材の紹介
食材の仕入れ方法をお伝えしたところで、船に常備しておいた方がいい食材をご紹介します。
その1 卵
栄養価が高く、常温で保存もできて、価格も安い最強の食材です。
卵焼きや目玉焼きを朝ごはんで出したり、ゆで卵をサラダの付け合わせにしたり様々な使い方が出来ます。
在庫を絶対に切らさないように、常に余裕を持って仕入れておきましょう。
その2 冷凍鶏モモ肉
鶏モモ肉はどこのスーパーにも売っていますが、ここで紹介するのは少し大きめのスーパーに売っている「2kgの冷凍鶏モモ肉」です。
パックで売っている小分けの鳥モモ肉よりもグラムあたりの価格が安く、冷凍や解凍する際も品質が劣化しづらいです。
また、大体10人前後の鶏肉料理を作る時に2kgの量がちょうどいいです。
大きめのスーパーに行って売っているのを見つけた時はまとめ買いしておきましょう。
その3 キャベツ
野菜の中でも日持ちしやすく、価格が安いです。
千切りでサラダにしたり、肉と炒めたり様々な調理に使えます。
冷蔵庫の野菜室で保存をする場合、芯をくり抜いて湿らせたキッチンペーパーを代わりに詰めると長持ちします。
その4 シュレッドチーズ
冷凍で保存できます。
鶏肉にかけて焼いてもいいし、グラタン、朝ご飯のパンなどにも使えます。
開封済みのてチーズを冷蔵で保存するとカビが生えることがあるので、小分けにして冷凍で保存しましょう。
その5 缶詰
そのまま食べるだけではなく、缶詰を活用したレシピ本も出ています。
鯖缶を使った炊き込みご飯や、コロッケなど様々な種類があります。
コーン缶やツナ缶などはサラダによく使います。
常温で日持ちするので多めに買ってストックしておきましょう。
番外編 カップラーメン
急な夜荷役で夜食が必要になった時や、時化でどうしても料理できない時のために、お守り代りに人数分のカップラーメンを常備しておくことをおすすめします。
ジャンクなものもたまに食べたくなるようで、意外と喜んでくれる人が多いです。

船の司厨で働くために船舶料理士(調理師)資格は必要?
働くために資格は必須ではない
船で司厨として働くために資格は必須ではありませんが
必須条件とされている船もあります。
遠洋区域若しくは近海区域を航行区域とする船舶又は第三種の従業制限を有する漁船であつて、総トン数1000トン以上
のもののうち、その航海中に船員に支給される食料の調理が船内において行われる船舶において、船内における調理に
関する業務を管理する地位に就く場合は、船舶料理士資格証明書を受有していなければなりません。引用:関東運輸局
また船会社のなかには、
「船舶料理士、調理師、栄養士」のいずれかの資格を有することが
応募条件となっていることがあります。
船舶料理士(調理師)が無くても大丈夫な船
もし船舶料理士や調理師の資格がなく、
船の司厨として働きたい場合には
乗船人数が5~6人の比較的小さな船や、
司厨が何人か乗船している調査船や取締船等で
経験や実績を作り資格取得するのがおすすめです。
司厨としての実務経験や資格があれば
求職登録してから求人の電話がばんばんかかってきますので
どこの船でも選び放題です。
また、資格があれば手当がつくことも多いので
できる限り取得することをおすすめします。

まとめ
以上をまとめると、
- 家庭料理が作れれば十分
- 状況にもよるが、スーパーでの仕入れがおすすめ
- 船には「卵・冷凍鶏肉・キャベツ・シュレッドチーズ・缶詰」を常備しよう
- 資格は取得したほうが色々有利
このようになります。
最初は慣れない船内調理でも、やっているうちに必ず慣れますので頑張って挑戦してみてください!
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司厨の仕事はきつい?船舶料理士(調理師)の1日の仕事の流れとか給料とか
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